富士経済、ファーストフードなど6分野63業態の外食市場の調査結果を発表
ファーストフード、テイクアウトなど外食市場の調査を実施
牛丼復活で2007年の牛丼店市場はピーク時を超え2,600億円超に
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 03-3664-5811)は、ファーストフード、テイクアウト、ホームデリバリー・ケータリングなど6分野の外食市場について調査を実施した。その結果を調査報告書「外食産業マーケティング便覧 2007(上巻)」にまとめた。
今回の調査では、4月~7月にかけて14分野129業態について調査する。上巻では、ファーストフード、テイクアウト、ホームデリバリー・ケータリング、料飲店、交通機関、レジャー施設の6分野63業態を調査した。下巻では、ファミリーレストラン、喫茶、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理、給食、宿泊宴会場の8分野66業態を調査し、上下巻をあわせて外食市場全体の動向を報告する。
<注目市場>
業 態 2006年 前年比 2007年見込 前年比
ハンバーガー 6,205億円 103.3% 6,545億円 105.5%
回転ずし 3,690億円 105.3% 3,875億円 105.0%
牛丼 2,300億円 109.8% 2,615億円 113.7%
複合カフェ 930億円 132.9% 1,050億円 112.9%
●ハンバーガー
市場の70%以上を「マクドナルド」が占めており、「モスバーガー」、「ロッテリア」と続く。100店以上出店しているのは上位3チェーンと「ファーストキッチン」、「フレッシュネスバーガー」、「ドムドムハンバーガー」を加えた6チェーンで、1,000店以上出店しているのは上位2チェーンのみである。特に「マクドナルド」は「モスバーガー」の2.7倍近い約3,800店を出店している。2006年は、「マクドナルド」の好調で市場が拡大した。"100円マック"を拡充・強化したこと、"サラダマック"、"マックフルーリー"など周辺商材が好調であったこと、24時間営業店舗を拡大したことなどにより過去最高の売上高を達成している。2007年も、「マクドナルド」は1月に日商記録を更新、全店ベースでも1月から5ヶ月連続して各月売上を更新するなど、引き続き好調である。「モスバーガー」も4月にハンバーガーの食材を全面的に見直し、売上が上向いており、他チェーンも立地やニーズに対応した展開を行なっている。また、ロッテとリヴァンプが共同で設立したバーガーキング・ジャパンが「バーガーキング」を6月から展開しており、2007年のハンバーガー市場は前年比5.5%増の6,545億円に達すると見られる。
●回転ずし
2006年は、市場をリードしてきた「かっぱ寿司」が低迷したが、2番手以下の「あきんど」/「スシロー」、「無添くら寿司」などのチェーンが店舗数の増加、既存店の好調維持により市場を牽引し、市場全体も拡大した。あきんどスシローは、「あきんど」/「スシロー」を展開し、2006年は初の中国地方の出店地となる岡山県を含む20店を超える出店をしたほか、鮎の塩焼きをネタに取り入れたり、一貫105円の'極上一貫'ブランドで"タコのやわらか煮"や"海老の創作すし"を導入するなどメニューの充実を図っている。くらコーポレーション「無添くら寿司」は、2006年に20店以上出店し、全皿88円の'謝恩88キャンペーン'や、'旬のネタフェア''ブランド寿司フェア'といった販促策により大幅に売上を伸ばした。下位グループでは、ネタに特徴のある、「すし銚子丸」、「にぎり長次郎」が好調である。下位チェーンの好調に加え、「かっぱ寿司」、「あきんど」/「スシロー」、「無添くら寿司」の上位3チェーンの出店意欲はまだまだ旺盛であることから今後も市場は拡大していくと見られる。
●牛丼
「吉野家」、「すき家」、「松屋」の3強で市場の80%近くを占める。2006年は、米国産牛肉の輸入が再開され、9月以降「吉野家」が期間限定、時間限定で牛丼の販売を再開し、売上を大幅に伸ばした。また、「すき家」は、年間100店舗以上の大量出店により売上を拡大し「吉野家」に次ぐ地位を確保している。「吉野家」、「すき家」が市場を牽引した結果、2006年の市場は前年を10%近く上回り、ピーク時の2003年に近づいている。2007年は、「吉野家」が3月から"牛丼"の販売時間を午前11時~午前0時の13時間と大幅に延長し売上も好調に推移しており、通年でも前年の伸びを上回るとみられる。また、上位2社は引き続き積極的に出店していくと見られることから2007年の市場は、前年比13.7%増の2,615億円に達すると見込まれる。
●複合カフェ
日本複合カフェ協会(JCCA)加盟店舗を対象とし、漫画のみ等単一サービス内容の店舗は含まない。
1990年代半ば以降は、不況による賃料が低下で都心部への出店が容易になり、料金時間制でフリードリンク、24時間営業といったサービスが利用者に受け入れられてきた。漫画やインターネットだけでなくビリヤードや卓球、ダーツ、DVD、岩盤浴などさらに複合化することによって若年層をはじめ、ビジネスマン、OLなどへ利用者層が拡大し、店舗数も急速に増加、市場も急成長を遂げた。近年は、差別化の一貫として飲食メニューの充実を図るチェーンが現れている。飲食メニューの充実により顧客満足度を高めることに加え、女性客の新規取り込みを図っている。
2.調査結果の概要
※表は関連資料をご参照下さい。
●ファーストフード
外食産業が低迷する中でファーストフードは拡大している。中でも、ハンバーガーはトップチェーンの「マクドナルド」が過去最高の売上高を記録し、市場を索引している。ビビンバはメニューバリエーションの拡大で客層の拡大に成功したこと、牛丼は米国産牛肉の輸入再開により「吉野家」が息を吹き返したこと、定食チェーンは「まいどおおきに食堂」の出店増や相次ぐ新規参入により、拡大している。また、ハンバーガー、ドーナツ、サンドイッチなど成熟した市場において、撤退経験のある海外ブランドや新規ブランドが相次いで日本に上陸しており、今後の展開が注目される。
●テイクアウト
簡便性志向が依然として消費者の中で高いことや日常の中でのちょっとしたおかずとしての需要があることから、多くの市場で順調に拡大している。新規参入や既存企業の出店意欲の高さ、更にディベロッパーからの引き合いの高さもなども市場の拡大につながっている。しかし、百貨店という立地自体が頭打ちとなり始めていることや、量販店やCVSも店舗数拡大に伴う市場飽和に直面しており、これまでの拡大ペースを維持していくことは難しくなっており、立地選択や提供方法などの新たな取り組みが始まっている。
●ホームデリバリー・ケータリング
2006年は、仕出し弁当・ケータリング、宅配ピザ市場が縮小したため、ホームデリバリー・ケータリングトータルでは前年に続き縮小したものの、宅配ずし、宅配釜めし、病者・高齢者食宅配などは市場が拡大した。特に病者・高齢者食宅配は高齢者の増加や生活習慣病、メメタボリック症候群の予防食の導入などにより、成長していくと見られる。
●料飲店
バブル崩壊以降は宴会・接待需要の減退という打撃を受けて市場規模は縮小を続けてきたが、居酒屋・炉端焼で、客単価が低価格チェーンより高めのアッパー居酒屋、アッパーミドル居酒屋が台頭してプラスに転じており、またスナック・クラブ・パブの下げ止まりもあり、縮小幅は小さくなってきている。今後も居酒屋・炉端焼はわずかずつではあるが売上増が予想され、料飲店市場も徐々に回復に向かうと予想される。
●交通機関
原油高騰が航空会社の経営を圧迫し、機内食を製造するケータリング会社が値下げ要請を強いられるなど交通機関の飲食部門は苦戦が続いている。比較的好調を維持しているのは駅構内飲食店である。特に、"駅ナカ"は駅構内という集客力のある立地条件を活かすべく、鉄道各社の開発推進やそれに伴うディベロッパーの開発が進んでおり、中食事業のデリカショップも駅ナカへの出店を強化するなど注目を集めている。
●レジャー施設
比較的安定した推移が続いているが、スキー場、レジャーランド、ギャンブル場などの古くからあるレジャー産業の低迷が続いている。しかし、スーパー銭湯、シネコン、フードテーマパーク、複合カフェなど新興業態が市場を拡大している。主軸となるサービスに飲食を含めた他のサービスの付帯など提供サービスの複合化により集客力の向上、滞在時間の長期化、新規顧客の開拓などにつなげている。
<調査対象>
※ 関連資料参照
<調査方法>
弊社専門調査員による対象企業への直接面接取材を基本に、電話ヒアリング、公的データ・公表資料等文献調査により補完
<調査期間>
2007年4月~6月
以上
資料タイトル:「外食産業マーケティング便覧 2007 (上巻)」
体 裁 :A4判 191頁
価 格 :98,000円(税込み102,900円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第一事業部
TEL:03-3664-5831(代) FAX:03-3661-9778
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