NECエレクトロニクス、「化合物デバイス事業」強化で戦略・施策を発表
化合物デバイス事業の強化について
~高成長市場へフォーカスし、業界リーダーの地位を確立~
NECエレクトロニクスはかねてより、ガリウムひ素などの化合物やシリコンを材料とする光半導体やマイクロ波半導体を総称した「化合物デバイス事業」を推進してまいりましたが、このほど、同事業分野において、将来の成長を図るための戦略および施策をとりまとめました。
今回とりまとめた戦略は、注力分野の集中を図る当社の事業戦略に則って策定されたもので、今後の高成長が期待される化合物デバイス製品の中でも特にフォトカプラおよびガリウムひ素スイッチICを注力製品のひとつと定め、事業拡大を計画しております。
当社は両市場において、いずれも世界規模で業界第1位のシェアを目指します。
そのための施策として、当社は(1)今後1年間でフォトカプラ10品種、また、今後2年間でガリウムひ素スイッチIC20品種の市場投入、(2)生産能力に関し、フォトカプラでは2年以内に月産2億個へ、またガリウムひ素スイッチICの小型・薄型品では今年度後半には前年度に比べ10倍へ増強、の2点を遂行することにいたします。
当社は、今回の施策を着実に実行するとともに、現在の注力製品の事業も推進し、2010年度には化合物デバイス事業の売上を2006年度の約1.5倍となる750億円の事業に育成したいと考えております。
当社の化合物デバイス事業は、1960年代のマイクロ波シリコントランジスタ事業から始まり、70年代には世界に先駆けてガリウムひ素を材料としたマイクロ波ガリウムひ素トランジスタ事業に参入し、現在ではブロードバンド、モバイルネットワークおよびマルチメディア関連市場向けの化合物やシリコンを材料とした光半導体とマイクロ波半導体分野で事業を展開しております。光半導体では、フォトカプラ、光ピックアップ用受光ICやDVD用可視光レーザダイオードなどの製品を、マイクロ波半導体分野では、ガリウムひ素スイッチIC、シグナルトランジスタなどを生産しておりますが、なかでも雑音特性に優れた衛星放送受信用のローノイズガリウムひ素FETや、豊富な品種系列を誇る携帯端末用シグナルトランジスタは、特に市場から好評を博しており、現在世界シェアトップの地位を築き上げております。また、DVDレコーダーや家庭用ゲーム機器などに用いられる光ピックアップ用受光IC分野でもその性能が認められ、現在世界第2位のシェアを獲得しており、これらの注力製品を中心として、2006年度の売上高で年間500億円を超える事業に成長しております。
このような状況のなか当社は、化合物デバイス事業で更なる成長を実現するため、当社独自の技術を有し、成長が期待される製品の中でも特にフォトカプラやガリウムひ素スイッチICを注力製品のひとつと定め、事業拡大を計画するものであります。
注力する2分野の事業概要は次の通りです。
(1)フォトカプラ事業
・市場規模、成長性、および現在の当社ポジション
2006年約800億円弱、2010年までに8%程度の成長が見込まれる。当社は世界シェア13%で業界第3位。2010年までに17%シェアを獲得し、No.1を目指す。
・当社の技術
回路技術としてマイクロ波半導体の高周波設計を応用している。デバイス技術としては、高速バイポーラ技術、アナログMOS技術、高耐圧BiCMOS技術など、当社独自の光シリコンプロセスを有している。さらに小型高密度パッケージ技術を駆使した一貫生産ラインを有している。
(2)ガリウムひ素スイッチIC事業
・市場規模、成長性、および現在の当社ポジション
2006年の市場規模は200億円強、2010年まで15%程度の成長が見込まれる。当社は世界シェア15%で業界第3位。2008年に25%のシェアを獲得し、No.1を目指す。
・当社の技術
デバイス技術として、効率の良いスイッチングを実現するヘテロジャンクション・フィールド・エフェクト・トランジスタ(Hetero Junction Field Effect Transistor:HJFET(*注))技術を有している。また、業界最小レベルの超小型薄型パッケージ技術を有している。
当社はこれら2つの施策を、化合物デバイス事業の飛躍的な発展の第1歩と考えており、これらを着実に遂行し、事業拡大を図っていく所存です。
以上
(*注)ヘテロジャンクション・フィールド・エフェクト・トランジスタ
バンドギャップの異なる半導体接合を利用した電界効果型トランジスタの総称。今回の製品には、不純物をドープしていないインジウム・ガリウム砒素(InGaAs)チャネル層をn形のアルミニウム・ガリウム砒素(AlGaAs)電子供給層で挟み込んだ独自の構造を開発適用した。電子濃度と移動度が高いため、損失の低いスイッチICの実現が可能である。