松下電工、静電微粒子水によるフケの原因菌マラセチアの除菌作用を検証
静電微粒子水(ナノイー)による
フケの原因菌マラセチアの除菌作用を検証
~第24回 エアロゾル科学・技術研究討論会※1(2007年8月開催)で発表~
松下電工株式会社では、頭皮からの臭気の発生原因と考えられる頭皮一般細菌(黄色ブドウ球菌等)や脂漏性のフケ発生、頭皮の炎症原因とされる酵母の一種であるマラセチア(Malassezia furfur)※2に着目し、水に高電圧を印加することで発生する静電微粒子水(以下、「nanoe(ナノイー)」と記載)が、頭皮一般細菌やマラセチアに除菌作用を有することをモデル実験系で検証しました。
また、その作用要因には、「nanoe」の成分の1つであるラジカルおよび静電微粒子水の酸性化が関与していることを検証しました。
この結果は、2007年8月開催の第24回エアロゾル科学・技術研究討論会で発表しました。
※1:日本エアロゾル学会は、気体中に浮遊する微粒子(エアロゾル)に関心のある大学や企業などの研究者、技術者が集まり発足した学会で、医学、薬学、農学、工学、理学など広い分野の人が参加しており、エアロゾルを通じて横の研究交流情報交流を重視していることが特徴
※2:マラセチア(Malassezia furfur)は、菌(酵母)の一種で、人の頭皮などに生息し、皮脂等の脂分を栄養として成長、繁殖する。繁殖した結果、皮膚炎等を引き起こしたりする。また、マラセチアは10種類以上のものが存在し、マラセチアフルフルはその1種類に該当する。
■検証方法
頭皮一般細菌およびマラセチアの除菌作用評価は、プラスチックシャーレに作製した各菌体用の寒天培地※3に菌体を所定量植菌した後に、「nanoe」を照射して実施しました。「nanoe」の照射は70Lチャンバー内で寒天培地表面から30mmの距離で各10、30、60、120分間照射しました。照射後の各サンプルを所定条件※4で培養し、コロニー数※5をカウントして除菌作用を評価しました。
また、「nanoe」の除菌作用へ影響している特性の評価として、ラジカル量※6、pH※7による影響について検討しました。
※3:頭皮一般細菌:標準寒天培地、マラセチア:1%オリーブオイル含有寒天培地
※4:頭皮一般細菌:37℃,24時間、マラセチア:37℃,48時間
※5:1つの菌体が細胞分裂により増加し目視可能になったもの
※6:電子スピン共鳴分析装置計測(スピントラップ剤に「nanoe」を20分間照射してラジカル計測)
※7:pHメータ計測(純水に「nanoe」を30分間照射してpH計測)
■検証結果
『「nanoe」による頭皮一般細菌およびフケの発生の原因とされるマラセチアへの除菌作用』を確認しました。
(1)「nanoe」の照射で頭皮一般細菌、マラセチアともに除菌作用があり、照射時間と共に除菌率が増加することを確認
(2)「nanoe」に含まれているラジカルの量の増加によって除菌率が増加することを確認
(3)pHによる菌体への作用を確認、頭皮一般細菌は酸性領域で減少することを確認
(「nanoe」により純水のpHは酸性側:4.5~5.0に変化)
以上の検証結果から、「nanoe」が頭皮一般細菌、マラセチアへの除菌作用を有すること。
その作用要因は「nanoe」に含まれるラジカルおよび酸性のpHであることを確認しました。
■背 景
近年、室内での快適性追及から空気浄化技術が注目されており、松下電工株式会社では水に高電圧を印加し帯電した微粒子水を空気中に噴出させる静電霧化現象を用いて、付着臭の消臭や花粉アレルゲンを不活化することを報告してきました。
新たな効果の1つとして、室内生活環境の除菌作用のみでなく、頭皮からの臭気の発生原因と考えられる頭皮一般細菌や脂漏性のフケ発生、頭皮の炎症原因とされる酵母の一種であるマラセチアへの除菌作用の検証を実施しました。
※以下、詳細は添付資料をご参照ください。