カネカ、熱可塑性エラストマー事業の本格展開で鹿島工場敷地内に製造設備を新設
新製品の継続的投入で高付加価値エラストマー事業を本格展開
― 第一弾として、独自技術により開発した熱可塑性エラストマーを積極販売。5年後、売上高約20億円を目指す ―
株式会社カネカ(本社:大阪市。社長:大西正躬)は、高付加価値エラストマー事業を本格展開する。第一弾として、独自技術により開発した熱可塑性エラストマー『シブスター(SIBSTAR(R))』を積極販売する。
当社鹿島工場(茨城県神栖市。工場長:津下和永)の敷地内に、第一期として年産1200トンの能力を有する製造設備を新設する。稼働予定は2008(平成20)年秋で、5年後の売上高として約20億円を目指す。更に、『シブスター(SIBSTAR(R))』の能力増強、新製品の上市などにより、高付加価値エラストマー群として50億円以上の売上げを目指す。
『シブスター(SIBSTAR(R))』は、当社が2003(平成15)年に世界で初めて工業化に成功した精密重合(リビングカチオン重合)法により重合されるポリスチレン-ポリイソブチレン-ポリスチレンブロック共重合体(以下、SIBS)で、完全飽和型の熱可塑性エラストマーである。
従来のスチレン系熱可塑性エラストマーに比較して、
・柔軟かつ高い強度を持ち、可塑剤を使用しなくても充分な柔軟性が得られる。
・優れたガスバリア性を有し、ガスバリア性ゴムとして知られるブチルゴムと同等レベルである。
・外から加わる振動を熱エネルギーに変換してエネルギーロスを起こさせることにより、高い制振性能を発現する。
・主鎖が完全飽和型であることにより、優れた熱安定性を備えている。
など多くの特長を有している。
SIBSの事業化については、これまでにも市場で試みられてきたが、ポリマー構造の制御が難しいこと、製造コストが高いことなどにより、本格的な展開が困難であった。当社は、独自の技術で最適な製造プロセスを開発し、製造コストの大幅削減に成功した。主力の米国市場においては、既にガスバリア性を活かす用途での販売を開始した。また国内では、制振性能を活かして家庭用、小型機械設備用の耐震材に使用され高い評価を得ている。更に、粘着剤分野、ガスバリア性を活かしたシール材・パッキン・キャップ材・チューブ・ホースなど、幅広い分野での用途展開の可能性が高まったことにより、グローバルに事業を積極展開していく。
当社は、塩ビ強化用モディファイヤーのMBS期脂や、弾性シーリング材のベースポリマーとして世界初の変成シリコーンポリマーなど、独自技術による機能性樹脂をグローバルに展開し、順調に事業を拡大させてきている。
また最近では、エポキシ樹脂用モディファイヤー、ナノコンポジット技術による射出成形用樹脂など新製品を相次ぎ上市し、本格展開を進めている。今般新たな製品をラインナップすることにより、当社の重点戦略分野である機能性樹脂事業の拡大とグローバル展開をより一層加速させていく。
以 上