ルネサステクノロジ、「SH-4A」CPUコアを搭載したSuperHファミリーを発売
アミューズメント機器や産業機器など幅広い分野向けに、
「SH-4A」CPUコアを搭載したSuperH(TM)ファミリ「SH7730グループ」を製品化
~当社従来品より最大約1.8倍に高性能化しながらも、高性能機器の低価格化を実現可能~
株式会社ルネサス テクノロジ(本社: 東京都千代田区、会長&CEO: 伊藤 達)は、このたび、32ビットRISC(Reduced Instruction Set Computer)マイコン「SuperHTM(注1)ファミリ」のCPUコア「SH-4A」を搭載した製品のラインアップ強化として、幅広い用途向けの「SH7730グループ」を3品種製品化しました。2007年8月24日からサンプル出荷を開始します。
「SH7730グループ」は、「SH-3」CPUコアを搭載した当社従来品「SH7709S」の後継品で、アミューズメント機器をはじめ、産業機器やデジタル民生機器、PC・OA機器他の幅広い分野に向けた製品です。QFPパッケージの採用により、低コストの基板を使用して高性能な「SH-4A」CPUコアを活かす機器設計を手軽に行えるため、機器の高性能化を図りつつ低価格化が可能です。
本グループの特長は以下のとおりです。
(1)高性能CPUコア「SH-4A」により、高性能で低消費電力の機器を実現可能
SuperHファミリでは最上位でスーパースカラ採用のCPUコア「SH-4A」を搭載し、最大動作周波数266MHzで、当社従来品の約1.8倍となる480MIPS (million instructions per second)の処理性能と、0.6mA(typ.)/MHzの低消費電流を実現しています。また、大容量のキャッシュメモリ(命令、データ用各32Kバイト)およびRAM(16Kバイト)を内蔵しており、ソフトウェア処理の高速化に寄与します。加えて、浮動小数点演算器(FPU:Floating-point Processing Unit)やメモリ管理ユニット(MMU: Memory Management Unit)を内蔵しています。これらの特長により、高性能で低消費電力の機器を実現可能です。
さらに「SH-4A」は「SH-3」の上位互換で、既存のソフトウェア資産を流用できるため、機器の開発期間短縮を図れます。
(2)基板設計が容易なQFPパッケージを採用
本グループはQFPパッケージを採用しており、安価な4層基板等を使用することができます。これにより、高性能な製品を使用しながらも機器のコスト増加を抑制できます。
(3)汎用用途に適した周辺機能を内蔵
FIFO(First-In First-Out)内蔵のシリアルインタフェースを最大6チャネル、32ビットまたは16ビットのタイマを合計14チャネル、DMA(Direct Memory Access)コントローラを6チャネル内蔵し、加えて、汎用用途でニーズの強い10ビットA/D変換器(4チャネル)と10ビットD/A変換器(2チャネル)を内蔵した製品も揃えています。これらの汎用用途に適した豊富な周辺機能を内蔵していることにより、産業機器やデジタル民生機器における汎用システムコントローラとして、幅広い用途に対応できます。
また、SDRAM(Synchronous DRAM)インタフェースのバス周波数は、当社従来品の「SH7709S」と同じ66MHzのため、基板のバス設計がし易く、かつ既存の資産を流用することも可能です。
<製品化の背景>
近年、アミューズメント機器の分野では、表示の大画面化に加えて、3Dグラフィックスやムービーなどの高度な表示を行う傾向が拡大しています。このため、画像処理用の専用プロセッサを含めて機器全体を制御する汎用マイコンに対しては、より高性能化が求められています。また、アミューズメント機器以外の産業機器やデジタル民生機器等の分野においても、マンマシンインタフェースの高度化やソフトウェアの複雑化に伴い、32ビットRISCマイコンの採用が拡大しています。
当社は、これまでこのような市場ニーズに応えるため、32ビットRISCマイコンSuperHファミリにおいて、「SH-3」CPUコアを搭載した「SH7709S」を製品化し、多くの機器に採用されています。そして今回、さらなる高性能化のニーズに対応するため、「SH7709S」の後継品として、「SH-4A」CPUコアを搭載した「SH7730グループ」を製品化しました。
「SH7730グループ」は、「SH-4A」CPUコアを搭載した汎用マイコン「SH7780シリーズ」のラインアップ強化の一環であり、BGAパッケージを採用した既存製品「SH7780グループ」や「SH7785グループ」に対し、機器の低価格が図れるQFPパッケージを採用しています。これにより、「SH7780シリーズ」としては、400MHz動作でDDR1(Double Data Rate 1)SDRAMインタフェース搭載の「SH7780グループ」、600MHz動作でDDR2 SDRAMインタフェース搭載の「SH7785グループ」、そして従来型SDRAMインタフェースとA/D変換器、D/A変換器を搭載した今回の「SH7730グループ」によるラインアップで、性能やコストなどのユーザが求める要望に対応します。
<製品の補足>
「SH7730グループ」は、高性能CPUコア「SH-4A」を搭載し、最大周波数266MHzで動作します。当社既存のCPUコア「SH-3」を搭載し、これまで多くの機器に採用されている「SH7709S」に対し、より広範囲の用途向けに最適化した周辺機能を搭載しています。加えて、動作周波数の高速化、内蔵RAMやFPUを新規搭載して、使い勝手の向上や適用アプリケーションの拡大を図っており、より幅広いニーズに対応できます。
キャッシュメモリとしては、4ウェイセットアソシアティブの命令キャッシュを32Kバイト、同じく4ウェイセットアソシアティブのデータキャッシュを32Kバイト搭載しており、ソフトウェア処理の高速化に寄与します。また、従来品に対して新規搭載したRAMは16Kバイト内蔵しており、RAMに例外処理プログラムなどを格納することで、システムのリアルタイム性能の向上を図ることが可能です。
周辺機能としては、シリアルインタフェースやタイマ、DMAコントローラなどの汎用用途に向けた機能を内蔵し、加えて、2品種には、A/D変換器、D/A変換器を内蔵しています。また、メモリインタフェースは、「SH7709S」と同様に、66MHzで動作するSDRAMインタフェース、およびSRAMタイプのアドレスデータセパレート型のメモリインタフェースを内蔵しています。これにより、基板設計が容易であり、また既存資産の流用も可能です。
パッケージは環境に優しい鉛フリー仕様の208ピンQFP(28mm×28mm、0.5mmピンピッチ)を採用しています。
また、本製品はオンチップデバッグ機能を搭載しており、最大動作周波数でのリアルタイムデバッグが可能です。開発環境としては、オンチップデバッギングエミュレータの「E10A-USB」を用意しています。
今後も「SH-4A」CPUコアの製品展開を進め、加えて、CPUのデュアルコア化や種々の高速インタフェースへの対応など、さらなる高性能化や高機能製品などの開発を行ってラインアップを強化し、市場ニーズに応える製品をタイムリーに投入していきます。
■注記
(注 1)SuperHは、(株)ルネサス テクノロジの商標です。
*その他記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。
■応用機器例
アミューズメント機器
産業機器、デジタル民生機器等
■価格、仕様
添付資料をご参照ください。
■お客様からの問い合わせ先
株式会社ルネサス テクノロジ マイコン統括本 マイコン製品技術統括部
マイコン製品技術第二部
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 (日本ビル)
電話 03(5201)5134 (ダイヤルイン)
以 上
*このニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
*発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。