飛島建設、吹付型吸音工法の性能を維持した切土擁壁凸凹法面への施工法を確立
吹付型吸音工法の性能を維持した切土擁壁凸凹法面への施工法確立
―吹付施工面(地山等)変異可視化により維持管理の優位性を確認―
飛島建設株式会社(社長:池原年昭)は、環境対策技術を研究開発の柱の一つとして取組んでおり、その中の騒音対策分野では、道路・鉄道等の交通騒音対策、工場や建設工事によって発生する騒音対策技術として「吹付型吸音工法」や「次世代型吸遮音パネル」などを開発・展開してきています。
「吹付型吸音工法」は2001年2月に開発発表し、パネルタイプでは対応が難しい湾曲した擁壁やトンネル壁などで施工実績を重ねてきましたが、このたび、「切土法面(ブロック積擁壁)における反射音の低減技術」の技術公募に採用され、凸凹法面(ブロック積擁壁)での吸音性能を確保した施工法を確立しました。同時に、パネルタイプでは裏に隠れてしまう吹付施工面(地山等)を可視化することにより、施工後の変異監視など維持管理の優位性を証明しました。
【吹付型吸音工法】
道路、鉄道、工事現場から発生する騒音を吸収する目的で、音を反射する建築物の壁や擁壁を吸音処理する方法としては、パネルタイプの吸音材が一般的に利用されています。
吹付型吸音工法は、廃ガラスを原料とする超軽量な人工骨材を用いて多孔質化・軽量化させたセメントモルタル(吹付型吸音材)を現地で吹付施工して、耐候性や不燃性を備えた優れた吸音材を施工するものです。グラスウールなど一般的な吸音材の多くは,そのままでは屋外で使用可能な耐久性が得られないため,金属パネルに内包して使用されています。セラミックなどの成型パネル品は,屋外での暴露使用も可能ですが、下地形状に曲面や凹凸等がある場合は、下地処理が必要となり,直接施工可能な吸音材と施工方法は現在でも殆どありません。
【スプリットンブロックによるランダム凹凸形状の法面(ブロック積擁壁)への適用事例】
今回の施工は,スプリットンブロックによるランダム凹凸形状の反射面に直接吹付施工を行うという、当工法の特徴を最大限に活かした施工事例となりました。阪神高速道路(株)環境改善工事(17-山手)で、「切土法面(ブロック積擁壁)における反射音の低減技術」の技術公募に採用されました。施工前の表面は、意匠性を持たせたスプリットンブロックのランダムな凹凸面(写真-1(※関連資料参照))でしたが、吹付型吸音工法の施工によって、コンクリート系色彩の緩やかな法面となりました。(写真-2(※関連資料参照))
◎工事概要
工事名 : 環境改善工事(17-山手)
発注者 : 阪神高速道路株式会社
工事場所 : 兵庫県神戸市須磨区
施工期間 : 平成18年4月1日~平成19年3月20日まで
請負者 : 飛島建設株式会社
対象工種 : 法面工(約2,500m2)
工事目的 : 切土法面(ブロック積擁壁)における反射音の低減
【吹付吸音工法の特徴と優位性】
吹付吸音工法は、曲面や凹凸等の下地形状に直接施工可能な吸音材と施工方法として開発した技術ですが、今回の施工で以下の優位点が再確認できました。
金属パネル製品を使用した場合に生じがちなグレアの発生や景観の著しい変化もなく、直接吹付け施工のメリットを活かした最小限の形状・景観変更で騒音低減を実現しています。特に、擁壁面が表面の吸音層と一体化することにより、クラック発生等の変状目視管理が容易に行えることは、金属パネル製品には無い特徴です。
他の工法に比べ、専用プラントの設置に要するスペースや、アンカーボルトおよびメッシュ筋設置のための準備が必要ですが、パネル系吸音材と比べて遜色のないコスト競争力を有しています。
【今後の展開と課題】
◎営業展開のポイント(工法の特徴)以下の2点を重点に営業を展開
・(1)最小限の形状・景観変化による騒音対策、(2)光触媒による大気浄化機能による複合性能
・土木構造物反射面の吸音対策、周辺環境対策に活用するよう自社物件を中心に適用拡大
◎施工性向上、コストダウンへの取組
・プラントシステムの改良による施工性向上と現場適用性拡大や性能向上
・使用材料のバリエーション拡大によるコストダウン
(※参考資料あり)