野村HD、アジアのプロジェクトファイナンス案件でメザニンローンを提供
野村グループ、アジアのプロジェクトファイナンス案件でメザニンローン提供
野村ホールディングス株式会社(執行役社長兼CEO:古賀信行)は、東京電力及び丸紅が設立したCrimsonPower Holdings Company, Inc.(以下CPHC、フィリピン共和国法人)がミラント社(米国の独立系発電事業者)からフィリピンの発電施設(発電量持分2200メガワット)を買い取る※1ための資金調達の一部として、メザニンローン※2を提供したと発表した。
野村グループは、今年に入り東京及び香港にプロジェクトファイナンス※3の専門部署を設けており、その第一号案件としてアジアでのプロジェクトファイナンスにおいて、流動化を前提としたメザニンローンを同グループのSPC(特別目的会社)を通じて提供する。
本買収はプロジェクトファイナンスの手法により構成されており、当グループが提供したメザニンローン230百万米ドルは、シニアローン2700百万米ドル(国際協力銀行と市中銀行の協調融資)とエクイティ(東京電力及び丸紅)の中間部分にあたる。
経済成長著しいアジア地域において、インフラ整備事業(電力、資源、上下水道、道路、交通、港湾、空港、通信等)の必要性が高まり、それに応じてプロジェクトファイナンスの需要が更に高まると見込まれている。
欧米においてはプロジェクトファイナンスの手法が高度化しているが、通貨危機以降あまり目立った動きの無かったアジア地域においても、インフラ整備事業を中心に同様の金融技術革新が始まろうとしている。
野村グループは、今後、こうした新しい資金調達手法の活用を通じてプロジェクトスポンサーがリスクを取り易くなり、アジア地域におけるインフラ整備事業の活性化に繋がるものと期待すると同時に、流動化を前提としたメザニンローンの提供またはアレンジ等により、資本市場の活用を通じて幅広い投資家層を対象とした新たな投資機会の創出を行う。
※1 今回の買収案件は、CPHCが、ミラント社からフィリピンのルソン島にあるパグビラオ石炭火力発電所(出力735メガワット)およびスアル石炭火力発電所(同1218メガワット)の全体、およびイリハンガス火力発電所(同1251メガワット)の20%持分を購入するというもの。発電した電力は、主として国営フィリピン電力公社(National Power Corporation)との契約に基づき、同公社に供給されることになっている。
※2 銀行借り入れなどのシニアローンと株式などの資本との「中間」に位置づけられるローンのこと。シニアローンに比べると、返済順位が劣後する代わりに利回りが高い。
※3 プロジェクトのキャッシュフローを主な返済原資とするファイナンスのこと。