NECエレクトロニクス、消費電力低減のセルベースIC「CB-55L」を受注開始
消費電力を大幅に低減した55ナノメートルノードのセルベースICの受注開始について
~最先端のASICで携帯端末機器の長時間駆動に貢献~
NECエレクトロニクスはこのたび、消費電力を大幅に低減した55ナノメートル(nm)ノードのセルベースICの開発を終え、「CB-55L」の名称で本日より受注活動を開始いたしました。
今回受注活動を開始したCB-55Lは、低消費電力化技術を駆使した当社独自の55nmのプロセス技術「UX7LS」を用い製品化されるもので、当社従来品である90nmセルベースIC「CB-90M」に比べ、40%程度消費電力を低減していることが最大の特長となっております。また、従来品の2倍を超える高集積化を実現していること、微細化にともない発生するばらつき問題を解決した高い信頼性を実現していること、などの特長も有しております。
ユーザーは新製品を採用することにより、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの携帯端末機器の電池使用時間の長時間化が実現できることになります。当社は、当分の間注力受注分野をこれらの携帯端末機器分野に絞り、この分野における必要マクロの拡充を図ります。
セルベースICは特定用途向け半導体(ASIC: Application Specific Integrated Circuit)の一種類で、半導体メーカーがあらかじめ準備しているIPコアと、半導体メーカーが提供するセルライブラリーを用いてユーザーが設計する独自回路を組み合わせることにより作り上げるシステムLSIです。その応用分野は、汎用コンピューターやサーバーなどのコンピューター製品、通信機器、およびデジタルカメラなどのコンシューマー製品など、幅広い分野に亘っております。またセルベースICは、高集積化が可能なため、比較的大規模なシステムLSIを多量に生産する手段として用いられる製品でもあります。
当社は、かねてよりASIC分野において最先端の生産プロセスに対応したセルベースICを市場に提供し、業界をリードしてまいりました。2002年11月には90nmのセルベースICを投入し、通信機器やコンピューターなどの応用分野で実績を積んでおります。
一方プロセス技術は微細化が着実に進展し、当社は2005年12月、65nm世代のプロセス技術として、55nmのプロセス技術UX7LSを開発し、量産に向けて開発を推進するとともに、UX7LSベースでIPコアの開発を行っております。
当社が今回市場に提供するセルベースICは、これらの開発の成果として市場投入されるもので、従来の当社のセルベースIC製品戦略と異なり、戦略受注分野をデジタルカメラなどの携帯端末機器に絞った製品となっております。
新製品の主な特長は次の通りです。
(1)大幅な低消費電力化を実現
世界に先駆けて高誘電率(High-k)絶縁膜を用いることで高性能CMOSトランジスタを形成した当社の55nmプロセス技術UX7LSを採用しているため、90nm品と比較してトランジスタのオン電流を向上させつつ、40%低減となる消費電力の大幅低減を実現。
(2)高集積化を実現
最先端の55nmのプロセス技術を採用することにより、1平方ミリメートルのチップ上に従来品の2.3倍の回路となる92万5千ゲートを搭載可能。
(3)高い信頼性を実現
最新のDFM (Design For Manufacturing)技術としてオンライン/オングリッドレイアウト技術を採用することにより、高い信頼性を確保。
(4)開発期間を短縮
最先端のシステムLSI開発手段として注目を集めている統計的STA(Static Timing Analysis)手法などの55nmプロセスに対応した先端設計環境をサポートすることにより、大規模システムLSIの開発期間を大幅に短縮することが可能。
(5)携帯機器分野を狙ったIPコアの豊富な品揃え
PLL、A/Dコンバーター、D/AコンバーターなどのコモディティIPコアをはじめ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの携帯端末機器向けに最適なUSB2.0、JPEG、DDR/DDR2 SDRAMインタフェースなどのIPコアを提供。
当社は、新製品の発売により携帯端末機器の駆動時間が大幅に長時間化できるものと考えており、これらを必要とする応用分野に向けて積極的な受注活動を展開することにしております。新製品の仕様および当社が提供するIPコアは別紙をご参照ください。
以上