帝国データバンク、2006年の全国企業倒産集計を発表
2006年報
2006年(平成18年) 1月1日~12月31日
四半期ベースでみると、件数は緩やかな増加基調続く
大型倒産は減少し、負債総額は5兆円台にとどまる
倒産件数 9351件
負債総額 5兆2717億9700万円
■件数
近年の倒産のトレンドを振り返ると、2000年から2002年の倒産ラッシュを経て、2003年以降は倒産が沈静化。この間に大手の問題企業は私的整理による処理が進み、中小企業も政府による金融セーフティーネットの拡充などもあり倒産を回避してきた。
倒産減少局面は2005年に底を打ったとみられ、2006年に入ると、中小・零細企業の倒産が増加。引き続きバブル処理型の大型倒産は発生しているが、中堅クラスの企業で景気回復に伴う投資失敗型の倒産が散発するなど、実体のある企業の倒産へとシフトしつつある。
こうしたなか、2006年の倒産件数は9351件となった。2005年4月以降は法的整理のみに集計対象を変更しており、前年(2005年)との単純比較はできないが、参考値ながら2005年の単純合算した年間合計(7905件)と比べると、18.3%の増加(1446件増)となった。
また、現在と同じ法的整理のみを対象として集計した2005年度(2005年4月~2006年3月)の件数(8759件)と比べても、6.8%の増加(592件増)となっている。
2006年の倒産推移を四半期ベースでみると、第2四半期(2270件、前年同期比+12.8%)から第3四半期(2187件、同+4.1%)、第4四半期(2539件、同+10.8%)にかけて、前年同期比で一貫して増加した。このように、倒産は緩やかな増加基調が続いている。
■負債総額
近年の負債総額の推移を振り返ると、大型倒産ラッシュとなった2000年をピークに負債規模は縮小。とくに2003年以降、大企業の再建手法が法的整理から私的整理へとシフトしたことで大型倒産は沈静化し、この傾向は倒産件数が緩やかに増加した現在も変わらない。
こうした流れを受けて、2006年の負債総額は5兆2717億9700万円にとどまった。2005年4月以降は法的整理のみに集計対象を変更しており、前年(2005年)との単純比較はできないが、参考値ながら2005年の単純合算した年間合計(6兆1163億7200万円)と比べると、13.8%の減少(8445億7500万円減)となった。
また、現在と同じ法的整理のみを対象として集計した2005年度(2005年4月~2006年3月)の負債総額(5兆7494億4100万円)と比べても、8.3%の減少(4776億4400万円減)となっている。
2006年の推移を四半期ベースでみても、第3四半期(1兆556億9000万円、前年同期比△18.6%)、第4四半期(1兆4113億8600万円、同△20.5%)と、前年同期比で減少した。このように、大型倒産の減少から「倒産件数増、負債総額減」という現象が続いている。
■業種別
建設業(2606件、構成比27.9%)が最も多く、次いで小売業(1609件、同17.2%)、サービス業(1560件、同16.7%)となっている。
■主因別
販売不振(6325件、構成比67.6%)が最も多く、次いで放漫経営(498件、同5.3%)、業界不振(315件、同3.4%)となった。
■規模別
負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は5392件(構成比57.7%)発生した。一方、負債100億円以上の倒産が89件(同1.0%)となった。
■態様別
破産が8416件で全体の90.0%を占め、民事再生法は571件(構成比6.1%)、特別清算が359件(同3.8%)となった。会社更生法も5件(同0.1%)発生している。
■地域別
関東(3443件、構成比36.8%)が最も多く、次いで近畿(2359件、同25.2%)、中部(976件、同10.4%)となっている。
*数値について
2005年の数値は法的整理のものですが、2005年4月以降は“月をまたいで任意整理から法的整理へ移行した企業”を含みますが、3月以前は含んでいません。2005年の年間合計は両者を便宜上合算した数値であるため、2006年との単純比較はできません。