サントリー先進コア技術研究所、水質浄化植物の開発に成功
水質浄化植物の開発に成功
―河川や湖沼の浄化が期待されるリン高蓄積植物が誕生―
サントリー先進コア技術研究所(所在地:大阪府三島郡島本町 所長:辻村英雄)は、フロリジン社(オーストラリア・ヴィクトリア州 社長:芦刈俊彦 出資比率:サントリーグループ100%)と共同で、バイオテクノロジーを用いて、従来の植物よりもリンを高濃度に蓄積する"水質浄化植物"の開発に成功しました。今後は、近年問題となっている河川や湖沼の汚染に対する新たな浄化方法として利用すべく、実用化へ向けた検討を進めていきます。
植物には、もともと必要栄養素であるリンを吸収・蓄積する能力が備わっています。今回、開発に成功した"水質浄化植物"は、シロイヌナズナから取り出したリン吸収・蓄積に関わる遺伝子をトレニアに組み込むことで、リンを高濃度に吸収・蓄積することを可能にしたものです(特許申請中)。遺伝子を組み込む前のトレニアに比べ、植物体内のリン濃度は、3~6倍上昇しました。
実用化へ向けては、当社独自の水上栽培装置(特殊スポンジを浮かべて育てる方法、特許申請中)を利用し、この水質浄化植物を育てます。従来の河川や湖沼の水質浄化方法よりも、環境への負荷が少なく、低コスト、かつ環境美化との両立を実現できる点が特徴です。さらに、水質浄化に使用した植物は、回収後も高濃度のリンが含まれているため、そのまま肥料として使用することが可能になり、将来的には、さらに蓄積の濃度を高めることで、リン鉱石の代替としての利用を目指します。
当社は、バイオテクノロジーを用いて、世界初の青色色素を含む「青いバラ」や青いカーネーション「ムーンダスト」の開発に成功したほか、土壌に含まれたダイオキシンに反応して花の色が変化する「環境モニタリング植物」の開発にも取り組んでいます。
今後も新技術による新たな価値の提案、社会に役立つ技術の確立に挑戦していきます。
以 上