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ニュースリリースのリリースコンテナ第二倉庫

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2025'02.12.Wed
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2007'07.08.Sun

東レ、山形大学と共同でゴムのように変形して衝撃を吸収するプラスチックを開発

世界初、衝撃吸収プラスチックを開発
―産学官連携で革新ナノアロイプラスチックを創出―


 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(神奈川県川崎市、理事長:牧野 力、以下「NEDO技術開発機構」)の委託事業である「精密高分子技術プロジェクト」(*1)において、 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:榊原 定征、以下「東レ」)はこのたび、山形大学・井上教授グループと共同で、通常は高機能プラスチックとしての特性を示し、急激に衝撃を加えたときにゴムのように変形して衝撃を吸収する世界初の衝撃吸収プラスチックの開発に成功しました。2種類以上のプラスチックをナノメートル単位で最適にアロイ化(混合)する「ナノアロイ技術」の深化により実現したもので、従来のプラスチックの常識を覆す革新材料の創出により、全く新しい用途、分野への材料展開が可能になります。本プロジェクトにおいて、2008年までに実用化に向けた基本技術を確立し、プロジェクト終了後、東レは2010年までの製品化を目指します。

* 関連資料「大型高速落錘特性」参照

 プラスチックは一般的な特性として、通常は高い強度や剛性を有しますが、急激に衝撃を加えると脆くなる欠点があります。一方でゴム材料は、強度、剛性は低いものの、急激に衝撃を加えても脆くならない靱性(じんせい)を有します。これまで、プラスチックの耐衝撃性を改良するため、衝撃を吸収するゴム成分をアロイ化する試みがなされてきましたが、従来のポリマーアロイ技術ではミクロンメートル単位で異種ポリマーを分散していたため、組み合わせるポリマーそれぞれの特長を充分に反映できず、かえってプラスチックの強度や剛性を低下させてしまうことから、 限定的な展開にとどまっていました。

 今回の開発プロジェクトでは、2種類以上のポリマーを混合する製造装置の設計を見直し、 スクリューの長さと径の比を従来の約3倍以上とした二軸押出機を新たに開発しました。これにより、プラスチックとゴムを溶融状態で強い剪断力(せんだんりょく:ポリマーを変形させる力)を付与しながら混練することが可能となり、それぞれの材料特性を併せ持った数十ナノメートル 単位の粒子「ナノミセル」を多数含むナノアロイ構造「ナノミセルアロイ」を形成することに成功しました。この特異なナノアロイ構造が、世界初の材料特性を創出できたキーポイントです。

 本技術をポリアミド(ナイロン)とポリオレフィンに適用し、実物大の自動車部品を模した成形品で各種物性試験を行ったところ、ポリアミド特有の強度、剛性を維持しつつ、高速の衝突実験(*2)で材料の大塑性変形(ゴムに似た変形作用)を実証することに成功しました。衝撃吸収の詳細なメカニズムについては解析中ですが、ナノメートル単位でプラスチックとゴムそれぞれの特性を併せ持った「ナノミセルアロイ」の構造が、衝撃に対して緩衝材の役割を果たすものと推定しています。

 今回の革新技術により、一つのプラスチック材料に相反する特性を両立させることが可能になることから、例えば自動車材料向けには、耐久性や耐候性を満たしつつ、衝撃吸収による歩行者保護にも貢献できる外装部材への適用など、全く新しい素材提案が期待されます。東レは本技術を用いた自動車材料をはじめ、エネルギー吸収性能を活かせる電機・電子部品やスポーツ用品等、新規用途の開発を進めていきます。

 「精密高分子技術プロジェクト」は、経済産業省の「ナノテクノロジープログラム」の一つとして、NEDO技術開発機構が財団法人化学技術戦略推進機構(JCII)、独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)に委託して実施しています。具体的には15の民間企業とJCII、AIST、大学が参画して14の開発チームを構成、5つの集中研究体において研究開発を進めています。今回開発に成功した衝撃吸収プラスチックは、山形大学集中研究体において井上教授をリーダーに、東レが中心となって開発に取り組んできた成果です。

 NEDO技術開発機構では、本プロジェクトにおいて、高分子材料が本来持っている極限的な性能・機能を発揮させるために、ナノレベルの高次構造制御(分子の集合状態の制御)を行い、高度化しつつあるユーザーの要求に応えるための取り組みを行います。そのために、プロジェクトの後半では、より実用化イメージを明確にした研究テーマに資源を集中し、情報通信、自動車等の分野の具体的な出口の提示につなげます。プロジェクト終了後は、プロジェクトの開発成果をもとに、参画の各企業が製品化を推進します。


(*1)
 プロジェクト実施期間:平成13年4月~20年3月
 プロジェクト18年度予算:6.6億円
 プロジェクトリーダー: 中濱精一(独立行政法人産業技術総合研究所 研究コーディネータ)

(*2)
 自動車の衝突事故による衝撃イメージを想定して、時速36kmで衝撃を加えたもの。

以上

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