ソニーPCL、映画の高精細なデジタル上映を実現するシネマパッケージ製作サービスを開始
DCI準拠の4K、2K対応デジタルシネマパッケージ製作サービスを2月より開始
~独自開発の色空間座標変換エンジン“CoSTE”により、マスターに忠実な色変換を実現~
ソニーピーシーエル株式会社(以下、ソニーPCL)は、映画の高精細なデジタル上映を実現する、DCI準拠の4Kおよび2K対応デジタルシネマパッケージ「DCP」製作サービスを、2007年2月より開始します。
デジタルシネマ・スクリーニング&カラーグレーディングルーム“CineLaPista(シネラピスタ)”映画を取り巻く環境は、デジタル技術の進歩によりフィルムからデジタルへと変化し、また近年はデジタルによる上映が可能なデジタルプロジェクターを導入した上映館が多数登場するなど、本格的なデジタルシネマ時代が到来しつつあります。
デジタルシネマの実現には、制作者の意図するイメージやサウンドを忠実に再現するための映像・音声技術に加え、色空間の変換、圧縮や著作権保護のための暗号化処理など、米国7大スタジオによって設立された組織Digital Cinema Initiative(DCI)が提唱した仕様※に準拠するデジタルシネマパッケージ「DCP」と呼ばれるデータを製作する必要があり、画面サイズは4K(4096×2160画素)と2K(2048×1080画素)が定められています。
※本年中に、全米映画テレビジョン技術者協会(SMPTE)で規格化される見込み。
ソニーPCLでは、映画フィルムの現像プリントサービスに携わった経験とHD(High Definition)制作で培ったデジタル技術を融合し、来る本格的デジタルシネマ時代に向けて、4Kおよび2Kサイズに対応したDCI準拠「DCP」製作サービスを開始します。
当サービスでは、HDビデオテープやフィルム素材などからのデジタルでの取り込みや編集、カラーグレーディング(色の補正や加工)などはもとより、DCI仕様に基づいた変換・処理などを行うことで、ワールドワイドでのデジタルシネマ上映に対応できる「DCP」を製作します。特に、DCI仕様の特長であるXYZ色空間に対しては、独自の色空間座標変換エンジン“CoSTE(コステ)”を開発し、マスターに忠実で高精度な色再現を行います。また、著作権保護や配給、興行契約に基づいた上映期間の管理などをデジタルで行うキーデリバリーメッセージ「KDM」の発行や管理の代行も行います。
ソニーPCLは、デジタルシネマを重要な市場として捉え、今後も迅速なサービスや技術開発などに積極的に取り組むとともに、撮影から上映までの幅広い制作支援サービスを通じて、映画産業の更なる発展に貢献してまいります。
【映画がデジタルシネマ上映されるまでのフロー概略】
※添付資料を参照
1)デジタルHDビデオテープなどで納入された映像素材をサーバに取り込み、デジタルソースマスター「DSM」を製作します。(「DSM」が記録されたHDDなどから取り込む場合もあります)
2)RGB(YUV)色空間で記録されている「DSM」を、独自開発の3次元色空間座標変換エンジン“CoSTE”を用いて、DCI仕様である12ビットXYZ色空間に変換し、デジタルシネマディストリビューションマスター「DCDM」を製作します。
3)映像信号はJPEG2000方式で圧縮、音声や字幕などのデータを含めて、DCI仕様である転送レート250Mbps以下(2時間作品で総容量は250GB以下)に圧縮し、デジタルシネマパッケージ「DCP」を作成します。
この際、著作権保護のための暗号化や興行契約などに基づいたキーデリバリーメッセージ「KDM」の発行などを行います。
4)「DCP」は、ハードディスクドライブなどの媒体を用いて、上映館などのデジタルシネマ用サーバ内に記録され、別途配布される「KDM」を用いて暗号を解除、デジタル上映されます。
将来は、高速ネットワーク回線などを通じて配布することも可能になります。
※ソニーPCLでは、映画制作における編集・加工などのプロセスを、フィルム編集・加工の場合と同様のプロセスのままフルデジタル化した“D-EDIT”システムの他、劇場品質でのスクリーニングやカラーグレーディング、試写上映などが可能な“シネラピスタ”も構築済みです。
【シネラピスタの概要】
完成: 2005年2月
所在地: 品川区上大崎(当社本社/SPセンター内)
主な設備: 4K SXRDプロジェクター
2K DLPシネマ.プロジェクター
230インチスクリーン
7.1チャンネルサラウンド対応
座席数30席
~DCP製作サービスに関するお客様からのお問い合わせ先~
ソニーPCL株式会社デジタルシネマ事業推進部
電話:03-5792-9342