英グラクソ、欧州でインフルエンザパンデミックワクチンの承認を申請
グラクソ・スミスクライン、欧州において
インフルエンザパンデミックワクチンを承認申請
グラクソ・スミスクラインplc(本社:英国 以下GSK)は、1月29日付で欧州のヒト用医薬品委員会(CHMP)に対し、同社の新しいプレ・パンデミックワクチンの認可に向けた申請を行なったと発表しました。これはH5N1型インフルエンザウイルスの「スプリット」抗原* を使用したものであり、また3.8μg という少量の抗原で高い免疫応答を引き出すことを可能にしたGSK独自開発のアジュバント(免疫増強剤)が組み込まれた「抗原節減型」の画期的なワクチンです。
* スプリット抗原: インフルエンザウイルスの抗原成分のHAタンパクを精製した抗原。全粒子抗原よりも夾雑物が少ない。
ベルギーで実施された新世代のH5N1型インフルエンザワクチンに関する臨床試験の結果によると、3.8μg という非常に低用量の抗原をGSK独自開発のアジュバントと組み合わせて21日間おきに2回接種したところ80%以上の人において、インフルエンザワクチンの審査当局が定める基準値を上回る高い免疫応答が確認されました。「抗原節減型」ワクチンによって、多くの人数分のワクチンを製造し、インフルエンザパンデミックから守るための集団接種を行うことが可能となります。さらに、抗原に対する免疫応答の大きさを見てみると、この新しいアジュバントを使用することで、変異したH5N1型のウイルス株に対する予防効果も期待できます。このワクチンは安全性や副反応の面でも十分に基準を満たしています。
GSKのワクチン部門を統括するGSKバイオロジカルズ社の社長であるジャン・ステファン氏は以下の通りコメントしています。
「今回の新世代プレ・パンデミックワクチンの申請は、私たちのパンデミック対策のためのワクチン開発において、非常に重要なマイルストーンです。
免疫原性や安全性に関するデータを迅速に出せたことが今回の申請につながり、これはインフルエンザパンデミックの脅威に対して有効な対策をできる限り短期間で提供するために取り組んできた成果です。
新世代のプレ・パンデミックワクチンには、交叉免疫の獲得も期待されていることからパンデミックが発生する前に積極的なプレ・パンデミックワクチン接種プログラムにも使用できると考えられます。パンデミック発生前もしくは発生時の積極的なプレ・パンデミックワクチン接種によりパンデミック・インフルエンザウイルスから人々をある程度守ることができると期待されており、政府や保健当局がパンデミックが起こる前にワクチン接種を提供するという選択肢を選ぶことができます。」
インフルエンザパンデミックの原因となるウイルス株が一旦同定されれば、この新世代のワクチンはパンデミック用として適応が可能です。実際、GSKはすでに多くの国の政府とプレ・パンデミックやパンデミックワクチンの供給について積極的な協議をおこなっています。GSKは世界の他の国においてもプレ・パンデミックワクチンの申請を予定しています。