富士通、有機合成経路設計支援ソフトウェア「シンセパス エクスプローラー V1.0」を発売
有機合成経路設計支援ソフトウェア「SynthPath Explorer V1.0」を販売開始
~合成経路の予測処理速度が、従来製品の4倍にスピードアップ~
当社は、このたび有機化合物の事実反応データベース(注1)をもとに合成経路を予測する有機合成経路設計支援ソフトウェア「SynthPath Explorer(シンセパス エクスプローラー) V1.0」を開発し、本日より販売を開始します。本製品は、当社が従来提供してきた「AIPHOS/KOSP(エイフォス コスプ)」のさらなる機能強化を図ったうえで、名称を変更したものです。今回、従来製品に比べ4倍の処理速度を実現することで、ターゲットとなる化合物をより短期間で設計することができます。
これにより、化学・製薬業界のお客様の有機合成(注2)の設計作業のスピードアップを図るとともに、製品の製造コスト削減や性能向上を支援します。
近年、化学・製薬業界では、海外企業の参入による競争激化や業界再編など目まぐるしい環境の変化にともない、企業の優位性を保つには製品の製造コスト削減や売れ筋製品の性能向上が欠かせない状況にあります。
これを踏まえて、当社では、「SynthPath Explorer V1.0」を提供します。本製品は目的の化合物を合成する過程(合成経路)を予測することにより、有機合成経路の設計作業を短縮し、製品の製造コスト削減・性能向上を支援します。
当社では、東京大学 船津 公人教授が開発した合成経路設計支援ソフトウェア「AIPHOS/KOSP」を2003年より製品化してきましたが、このほど、さらなる機能強化を図り、製品名も新たにしました。
●「SynthPath Explorer」による計算結果表示
(※ 関連資料を参照してください。)
【販売価格、および出荷時期】
(※ 関連資料を参照してください。)
【販売目標】
今後3年間で、国内・海外合わせて5億円。(100ライセンス)
【本製品の特長】
1.従来の4倍の処理速度を実現
前躯体(注3)生成プログラムを全面的に改良し、計算速度を従来比で4倍にアップしました。これにより、合成経路を網羅的に探索する際に費やす時間を大幅に短縮することが可能です。
2.マルチステップ機能により、合成経路設計作業の効率化を実現
ターゲット化合物の2次元化学構造式を入力するだけで、3ステップ先(注4)までの前駆体を予測します。このため、多くの前躯体候補を1度の操作で得ることができ、より迅速で正確な前躯体の検討が可能になります。
3.自社の合成ノウハウと市販データとの融合が可能に
複数の種類の反応データベースを取り込むことができ、お客様がこれまで蓄積してきた自社の合成ノウハウを市販(社外)データで補完し、より精度の高いものにすることが可能です。
【主な仕様】
ソフトウェア容量 600メガバイト
必須ソフトウェア Apache Tomcat1.4(注5)
PostgreSQL8.0(注6)
【動作環境】
[サーバ]
Microsoft Windows 2000,XPおよび2003 Serverが動作するPC/AT互換機
(注)Microsoft Windows Vistaについても、12月以降対応予定
[クライアント]
Microsoft Windows 2000,XPが動作するPC/AT互換機
(注)Microsoft Windows Vistaについても、12月以降対応予定
【商標について】
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
[注釈]
注1 事実反応データベース:
実験で確認された反応に関する情報データベース。
注2 有機合成:
有機化学を基本にして目的とする化合物を合成すること。
注3 前駆体:
合成過程において目的化合物を生成するもとの化合物。
注4 3ステップ先:
例:Aを目的化合物(生成物)、BとCとDをそれぞれ前躯体とすると次の逆反応の模式図のようになる((1)~(3)がそれぞれ1ステップ)。
A => B :(1)
B => C :(2)
C => D :(3)
(1) => (2) => (3) :逆反応経路(3ステップ)
注5 Apache Tomcat:
Webインタフェースを運用するために必要なフリーソフトウェア。
注6 PostgreSQL:
データ管理に必要なデータベースフリーソフトウェア。
[関連リンク]
●「SynthPath Explorer」紹介サイト
http://software.fujitsu.com/jp/chem/