ライオン、乳由来成分「ラクトフェリン」による脂質異常改善効果を確認
世界初歯周病菌毒素「LPS」がメタボリック症候群(シンドローム)の“引き金”となることを解明し
乳由来成分「ラクトフェリン」による脂質異常改善効果を確認
ライオン株式会社(社長・藤重貞慶)研究開発本部では、2005年、東京医科歯科大学、国立がんセンター、株式会社ジェネティックラボとの共同で、歯周病菌由来の毒素「リポポリサッカライド(以下LPS)」が、歯周病の進行以外にも血液中のコレステロールや中性脂肪の増加の原因となり、メタボリック症候群の一つである脂質異常をひき起こすことを確認いたしました。そしてこの度新たに、牛乳・母乳などに含まれる多機能性タンパク質「ラクトフェリン」が、(1)「LPS」による脂質異常を改善させる効果をもつこと、(2)高コレステロール食によって誘引される脂質異常に対しても予防効果を有することを、遺伝子の網羅的解析法(DNAマイクロアレイ解析)を用いて、世界で初めて見出しました。なお、この研究成果は、『2007年日本農芸化学会大会(2007年3月24日~27日東京農業大学)』において発表する予定です。
1.研究の背景
当社は、1964年の歯槽膿漏予防ハミガキ『デンターライオン』発売以来、長年にわたり歯周病に関する研究を行う中で、2006年、歯周病菌から産生され、歯周病の進行に関わる毒素「LPS」が、動物の乳に含まれている多機能性タンパク質「ラクトフェリン」によって不活性化されることを、遺伝子解析により確認いたしました。(概要は参考資料参照)
一方で、歯周病は歯を失う以外に、生活習慣病などの全身健康へのリスクについても疑われています。当社は、歯周病研究の一環として、歯周病と全身健康との関係について幅広く研究を進めてまいりました。その結果、「LPS」が血中に入ると、体内でのコレステロールや中性脂肪の合成・分解にかかわる酵素の量に影響を与え、メタボリック症候群の因子の一つである脂質異常を引き起こすことを、遺伝子解析により確認いたしました。
さらに当社は、歯周病におけるラクトフェリンの「LPS」不活性化効果に着目し、この度、脂質異常に対するラクトフェリンの予防効果についての研究を進め、その有効性を確認いたしました。
2.研究内容の詳細
※ 関連資料参照
3.総括
今回の、歯周病と全身疾患に関する一連の研究により得られた結果は、ラクトフェリンが歯周病の進行の抑制および、メタボリック症候群の一要因である脂質異常の改善という両方に効果を有することを示すものであると言えます。
当社は今後、これらの技術をオーラルケア製品や機能性食品・特定保健用食品など、メディカルヘルスケア分野に応用すべく研究開発を進めて参ります。
以上