日本IBM、グリッドコンピューティングの研究貢献活動で日本語サイトを開設
ワールド・コミュニティー・グリッドの日本語サイトがオープン
日本IBM(社長・大歳 卓麻、NYSE:IBM)は、世界中のコンピューターのアイドリング時の膨大な処理能力をネットワークで結集し、いま人類が直面している医学や環境などの難問解決のための研究に貢献を続ける「ワールド・コミュニティー・グリッド」のWebサイト( http://www.worldcommunitygrid.org/ )に、新たに日本語サイトをオープンし、日本からのボランティアの参加を本格的に促進していくと発表しました。
ワールド・コミュニティー・グリッドは、エイズやHIV、がんなどの疾病のもととなる遺伝子や自然災害の予測精度の改善、世界的な食糧・水の飢饉から守るための研究を支援してきており、現在、次の5つの公的、または、非営利団体が実施する研究プロジェクトを支援しています。
-FightAIDS@Home(2005年11月21日発足)
-ヒトたんぱく質解析 フェーズ2(2006年6月23日発足)
-がん撲滅支援(2006年7月20日発足)
-ゲノム比較(2006年11月21日発足)
-筋ジストロフィー治療支援(2006年12月19日発足)
ワールド・コミュニティー・グリッドのプロジェクト第1弾として2004年11月に発足した「ヒトたんぱく質解析」は、2006年7月に終了し、有機体やヒトゲノムにあるタンパク質を染色体上に位置づけ、約120000のたんぱく質ドメインの構造を解明しました。これらはマラリアや他の病気に関連する特定のタンパク質の研究に活用される予定です。従来の研究機関が持つ計算能力では同じ成果を得るために約100年かかったと言われていますが、ワールド・コミュニティー・グリッドは12ヶ月で終了することができました。今後、ワールド・コミュニティー・グリッドでは、気候予測、米供給のモデリング、鳥インフルエンザ、デング熱などの新しい研究プロジェクトを支援する予定です。
2004年11月に発表されたワールド・コミュニティー・グリッドは、世界中、誰でも簡単にWebサイトから無料で小さなソフトウェアをPCにダウンロードすることで人道的貢献に参加できるイノベーティブな社会貢献活動です。できるだけ多くの方々に参加いただくことこそが、ワールド・コミュニティー・グリッドが持つ使命、成功の鍵となります。
現在ワールド・コミュニティー・グリッドには、世界200ヶ国以上、331のパートナー、26万人強のボランティアが参加し、約54万台のコンピューター資源が提供された世界最大級のコンピューティング・グリッドです。活動開始以来、約2年間で寄付されたコンピューターの稼働時間は、PC1台の稼働時間に換算すると79000年分、PC1万台が約8年間連続して稼働した処理能力に相当します。現在でも毎週平均1000年分(PC1台の稼働時間に換算)の処理能力を提供し続けています。
IBMはワールド・コミュニティー・グリッドの情報インフラ構築のため、ハードウェアをはじめソフトウェア、技術サービス、およびホスティング、メインテナンス、サポート・サービスを提供しています。特にセキュリティーに関しては、ウィルス・スキャン、デジタル署名付情報、ファイルの暗号化、認証によるアクセス制御などの対策により安全性の高いシステムを提供しています。
現在、日本では、ユーオス・グループをはじめ3団体がワールド・コミュニティー・グリッドのパートナーとして当活動へのボランティアの参加を促進しています。
今回の日本語サイトの開設により当社は、ワールド・コミュニティー・グリッドのパートナーとして参画いただける企業や学術機関、人道支援団体との協力をさらに推進し、日本からの支援の輪を広げていきます。
以 上
※IBMは、IBM Corporationの商標。
日本におけるワールド・コミュニティー・グリッド・パートナー:
●特定非営利活動法人 イーエルダー( http://www.e-elder.jp/ )
●障害者自立生活センター 自立の魂 ~略してじりたま!~ ( http://www.jiritama.jp/wcg/ )
● ユーオス・グループ ( http://www.uos.gr.jp/ )
注:グリッド・コンピューティング
グリッド・コンピューティングは、数千台規模、ときに数百万台規模で個人のコンピューターの処理能力を結集し、途方もない演算能力を備えた巨大な「仮想」システムを構築することができる、急成長を遂げる先進的な技術です。