あいおい損保、金融庁から業務の一部停止と業務改善命令を受ける
弊社に対する行政処分について
弊社は本日、金融庁より、保険業法第132条第1項の規定に基づく業務の一部停止命令および業務改善命令を受けました。本件に関しまして、お客様および関係先の皆様にご心配とご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。
行政処分等の概要は下記のとおりでありますが、弊社では今回の行政処分を厳粛に受け止め、今後、業務改善計画の策定にあわせて役職員の責任を明確にするとともに、このような事態を二度と発生させぬよう、全社を挙げて再発防止に取組み、徹底を図ってまいります。
記
1.処分の概要と根拠となる法令の条項
<保険業法第132条第1項の規定に基づく命令>
[1]保険業法第98条第2項及び第三分野商品(医療保険、がん保険、所得補償保険、医療費用保険、介護費用保険その他の疾病又は介護を支払い事由としている保険及び特約条項をいう。ただし、海外旅行傷害保険を除く。以下同じ。)に係る第123条1項の規定に基づく認可の申請並びに同条第2項の規定に基づく届出に関する業務について、平成19年3月15日(木)から平成19年4月14日(土)までの間停止をすること。
*保険業法第98条第2項:他の保険会社、その他金融業を行う者の業務の代理又は事務の代行に係る認可の申請
[2]経営管理(ガバナンス)態勢の改善・強化
(1)保険金の不適切な不払いが生じないような適正な業務運営態勢の整備に経営陣が関与する態勢を構築すること。
(2)保険金の不払い状況に係る問題についても、適切に実態を把握し、改善が行われる実効性のある内部監査態勢を構築すること。
[3]保険金支払管理態勢の改善・強化
(1)公正かつ的確な審査体制・手続きの確立を含め第三分野商品に係る保険金支払管理態勢を整備すること。
(2)第三分野商品に係る保険募集業務、保険金支払業務等の顧客対応に係わる全ての業務の検証を行った上で、適切な業務運営を行うための規定・マニュアル等の必要な見直し・改善を行うこと。
(3)第三分野商品に係る支払事務関係者に対する教育を徹底すること。
(4)判明した保険金の不適切な不払いについて、迅速かつ適切な顧客対応を図るための態勢を整備すること。
[4]契約者保護、契約者利便の改善・強化
(1)第三分野商品に係る適切な保険募集や顧客説明を行うための社員及び代理店に係る管理態勢を確立すること。
(2)苦情を含む商品販売後の事後検証を可能とする実効性のある態勢を整備すること。
(3)苦情に関する情報等の透明性を高めること。
[5]法令等遵守態勢の改善・強化
(1)法令等遵守態勢の見直し・改善を図ること。
(2)法令等遵守の企業風土を醸成させるための徹底的な研修の実施及びその後の定期的なフォローアップ研修の実施を図ること。
[6]役職員の責任の明確化
上記業務停止命令、業務改善命令に至るようになった問題等の原因となった役職員の責任を明確化すること。
[7]改善計画の提出、改善状況の報告
(1)上記[2]から[6]まで及び金融庁の報告徴求命令に応じて提出した報告書に記載した事項に関して、平成19年4月13日(金)までに、具体策及び実施時期を明記した業務改善計画書を提出すること。
この改善計画には、計画実施のための体制及び責任分担をあわせて明確に記述すること。
(2)業務改善計画の実施完了までの間、計画の進捗・実施及び改善状況をとりまとめ、第一回目の報告については平成19年7月13日(金)までに、それ以降は6ヶ月毎に報告すること。
2.処分の原因となる事実
平成18年7月14日付保険業法第128条第1項に基づく当社からの報告において、第三分野商品に関して、以下のような多数の保険金の不適切な不払いが認められた。
(1)保険責任開始以前の発病(以下「始期前発病」)という。)について、約款上は医師の診断により始期前発病が認定された場合に保険会社の免責が適用されることになっている。この始期前発病の取扱いについて、社員が医師の診断に基づかずに判定を行う等、免責が不適切に適用された事例
(2)契約者から保険加入時に告知されなかった病歴等と保険金請求原因との間に因果関係がないにもかかわらず告知義務違反を適用して不払いとしたり、保険会社が除斥期間経過後に解除を行う等、告知義務違反を理由とする不払いが不適切に行われた事例
(3)特定の疾病を不担保とする特約が付されていないにもかかわらず、社員が特約は付保されていると錯誤したことなどにより、不担保特約を不適切に適用した事例等
(4)その他、顧客が保険金の請求を放棄する旨意思表示をしたとして不払いとしている事案につき、経緯が検証できない事例等
これらは、保険業法第4条第2項第2号に掲げる事業方法書、同項第3号に掲げる普通保険約款に定めた事項等に基づいた保険金支払業務が適切に行われていなかったものと認められる。
こうした事例が発生した要因として、以下のものが認められる。
(1)第三分野商品の特性として留意すべき要素(「始期前発病」の判断又は「健康状態告知」の認定等)を勘案しない不十分な支払査定マニュアル等が用いられていた。不払いとする際の認定基準や手続きも確立されておらず、支払判断が担当者の裁量に大きく委ねられていた。
(2)約款解釈や支払査定マニュアルの作成等を行うに際し、商品開発部門と支払管理部門等の連携が不十分であった。このため、商品特性を踏まえた支払時の適切な事務フローが十分に構築されていなかった。
(3)第三分野商品の特性等に配慮した研修・教育・指導が不足していた。また、支払査定担当者等の人材育成が不十分であったため、担当者等の商品理解が不足したまま支払業務が行われていた。
(4)保険金支払管理部門等による不払事案の検証プロセスは第三分野商品の特性を踏まえておらず、十分に機能していなかった。また、苦情の分析を通じた業務の検証・改善も十分に機能していなかった。
このように、事後検証の機能発揮は不十分であった。
(5)第三分野商品の不払いを検証するための内部監査が十分に機能していなかった。したがって、多数の保険金の不適切な不払いが発生している問題を内部監査部門は把握していなかった。
(6) 第三分野商品の特性に関する問題認識等が不足していたため、保険金の不適切な不払いが多数発生し、極めて重大な問題になっていることを経営陣は把握していなかった。
以上