三菱重工、原子力発電設備「US-APWR」2基を米テキサス電力で採用
US-APWR原子力発電設備2基
米国テキサス電力で採用決定
三菱重工業が米国向けに市場投入を進めている世界最大級(170万kW)の加圧水型(PWR)原子力発電設備であるUS-APWRが、米国テキサス電力(TXU、本社:テキサス州ダラス)で計画中の約200万kW~600万kW(2~5基程度)の新規プラント建設で採用されることが決定した。各々のプラントは、2015年から2020年にかけて順次営業運転が開始される計画。
今回採用が決定したUS-APWRのうち、2基は、TXUがダラス近郊に所有するコマンチェピーク原子力発電所の増設用となる予定。同社は10日(日本時間)、US-APWRの採用を米国原子力規制委員会(NRC)に通知し、今後、建設運転一括許可(COL)申請に向けた準備を行う。
なお、今回の建設は米国の大手建設・エンジニアリング会社ワシントングループ(Washington Group International)をパートナーとして進める計画で、商談では三菱商事も参画する。
US-APWRは、日本原子力発電(株)敦賀3、4号機向けに建設準備工事中の改良型PWR(APWR、153万8,000kW)をベースに、米国の顧客ニーズを反映し、世界最高レベルの熱効率(39%)やプラント建屋容積の約20%低減、さらに24ヵ月連続運転の実現などにより、大幅な経済性向上を可能にした。
今回の採用決定は、これらの優れた経済性や、実証された高い安全性・信頼性に加え、当社が有する国内23基のPWR建設・運転実績と、きめ細かなメンテナンス対応、信頼性の高い原子燃料の供給などの幅広い実績が高く評価されたことによる。
当社は、US-APWRの米国への市場投入を早期に実現するため、2006年7月に100%出資の現地法人Mitsubishi Nuclear Energy Systems,Inc.(MNES)をワシントンD.C.に設立。
米国電力会社向けに営業を行うとともに、NRCへの型式証明(DC)取得手続きを進めている。
現在、NRCとの事前ヒアリングも順調に進捗中で、2007年末にDCの正式申請を行う予定。
米国では地球温暖化防止や原油価格の高騰などを背景に、原子力発電の重要性が高まり、2030年頃までに新設プラント数十基の需要が見込まれている。当社は今回の採用決定を機に、原子力発電設備の新設を検討する全米の電力各社に対し、さらに積極的なUS-APWRの営業活動を展開していく。
以 上