STマイクロ子会社、マルチコア64bitプロセッサ用PGI 7.0最適化コンパイラを発表
Portland Groupは、マルチコア64bitプロセッサ用の
PGI 7.0最適化コンパイラを発表
MicrosoftのSUAに対する
クロスプラットフォームのサポートを拡張
STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、http://www.st-japan.co.jp/、以下ST)の完全子会社であるPortland Group(TM)は、Fortran、CおよびC++のコンパイラおよび開発ツール・スイートのPGI(R)リリース7.0の一般出荷を開始したことを発表しました。PGIコンパイラとツールは、海洋モデリング、気象予測、地震解析、バイオインフォマティクスなどの複雑なプロセスのモデリングやシミュレーションに特化した技術計算分野であるハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)において広く使用されています。PGIコンパイラは、ソフトウェア・プログラムをコンピュータが理解できるバイナリの命令に変換するもので、広範なアプリケーションやベンチマークにおいてワールドクラスの性能を発揮するコンパイラとしてHPCの分野で評価が高く、性能の高さと信頼性で業界標準となっています。
今日のPGIコンパイラとツールは、AMD社やIntel社製のマイクロプロセッサを搭載する64 bitおよび32 bitのLinuxおよびMicrosoft Windowsベースのワークステーション、サーバおよびクラスタで主として使用されています。
PGIリリース7.0の発売開始に伴って、Portland Groupは、MicrosoftのUNIX関連のサブシステム(Subsystem for UNIX-based Applications:SUA)にまでサポート範囲を拡張します。SUAとは、Windows(R) Vista(TM) EnterpriseおよびWindows Server(R) 2003を含むWindows Serverクラスのオペレーティング・システムが動いているコンピュータ上で、UNIXベースのアプリケーションをコンパイルおよび実行するためのソースコード互換のサブシステムです。
Portland GroupのディレクタであるDouglas Milesは、次のように述べています。「当社のクロスプラットフォームのコンパイラとツールに対する需要の拡大を見込んでいます。PGIリリース7.0によって、Intel社とAMD社の両社のプロセッサに最適化された性能指向のコンパイラとツール・スイートをプログラマおよび開発者に提供するという、当社の戦略において重要な次の一歩を踏み出しました。PGIコンパイラとツールは、現在、x64プロセッサ・ベースのプラットフォーム上で動く主要な64bitオペレーティング・システム全てをサポートしており、さらにMicrosoft SUAに対する完全なネイティブ・サポートによって、UNIXからWindowsへの移行を素早く、かつ容易に行うという重要な機能を付加しています。」
Microsoft社のプラットフォーム戦略担当ディレクタであるRyan Gavin氏は、次のように述べています。「Portland Groupとの共同開発によって、同社の高性能コンパイラとツール・スイートが、MicrosoftのUNIX関連サブシステムのサポートを開始し、Windows ServerおよびWindows Vistaで使えるようになることは喜ばしいことです。SUAは、従来のUNIXおよびLinuxの開発者に対して、これまで培ったスキルとアプリケーションをWindowsプラットフォーム上で活用する簡単かつ効率的な手段を提供します。これによってユーザは、既存のUNIXおよびLinux環境との相互運用を可能にしながら、Windowsプラットフォームに内在する高い信頼性と費用効率をうまく利用することができます。PGIコンパイラはSUAと組み合わされることで、IT専門家に対し、需要の高い異機種環境で使用できる使い慣れたツール・セットを提供します。」
PGIコンパイラとツールは、OpenMP並列プログラミング・エクステンションの完全なネイティブ・サポートや、マルチコア・プロセッサ向けの自動並列化、64 bitアドレッシングの完全サポートを提供し、ネイティブでのスカラー/ベクトル統合SSE/SSE2/SSE3コード生成の機能、PGIのワールドクラスの最適化インフラを備え、さらに、数学、工学、科学、および財務アプリケーション用に高度に最適化された数値関数のライブラリであるAMD社のACMLのバンドル版を提供しています。
AMD社の市販ソリューション担当ディレクタであるMargaret Lewis氏は、次のように述べています。「Direct Connect Architectureを備えたAMDのマルチコア・プロセッサは、PGIコンパイラと組み合わせることにより、地球物理学モデリング、機械工学、非線形力学、計算機化学、高エネルギー物理学など、広く使用されている多くの64bitの技術および科学アプリケーションで驚異的な性能を発揮します。Portland Groupのような一流の技術革新企業と密接に協力して、最新のプロセッサ革新に対し継続的サポートを確保することは、当社の戦略およびHPCへの取組みの重要な要素です。」
PGIリリース7.0の新機能として、Fortran 2003のいくつかの機能のサポート、ANSI C99サポートの拡張、およびネットワーク・インストール・オプションの追加があります。ネットワーク・インストールによって、複数の異なるディストリビューションのLinux OSを搭載したシステムを含む大規模ネットワーク上で、PGIコンパイラとツール・ソフトウェアの設定と使用が簡単になります。さらにPGIリリース7.0には、Apple社のMac OS Xオペレーティング・システムに対するサポートも含まれます。Mac OS Xの完全サポートは、2007年中旬開始の予定です。PGIリリース7.0のすべての新機能の概要は、下記のPortland Group社Webサイトから入手することができます。
http://www.pgroup.com/support/new_rel.htm
また、PGIコンパイラ/ツールの主な利点については、下記で見ることができます。
http://www.pgroup.com/about/why_PGI.htm
新しいPGIコンパイラの評価版は、Portland Groupの下記Webサイトから入手できます。入手には、登録が必要になります。
http://www.pgroup.com
全ての商標、商標名、サービス・マークやロゴは、それぞれ関係各社に帰属します。
Portland Groupについて
STマイクロエレクトロニクスの100%子会社であるPortland Group(社名:The Portland Group, Inc.)は、ハイエンド・コンピューティング・システムとx86プロセッサ・ベースのワークステーション、サーバ、クラスタ向け高性能Fortran、C、C++コンパイラ/ツールを提供するトップクラスのサプライヤです。
Portland Group製品の詳細については、http://www.pgroup.comをご覧ください。
STマイクロエレクトロニクスについて
STマイクロエレクトロニクスは、多種多様な電子機器向けに半導体製品やソリューションを開発・提供する世界的な総合半導体メーカーです。STは、他社の追随を許さない高度なシリコン技術とシステムノウハウを擁しており、幅広いIP(Intellectual Property)ポートフォリオ、戦略的パートナーシップ、大規模な製造力との組合わせにより、SoC(システム-オン-チップ)技術に関し世界的リーダーとしての地位を確立しています。またSTの半導体製品は、市場における技術やシステムのコンバージェンス化を促進するために重要な役目を果たしています。STは、ニューヨーク証券取引所(NYSE:STM)、パリ証券取引所(Euronext Paris)とミラノ証券取引所に上場されています。
2006年の売上は98.5億ドルで、純利益は7億8200万ドルでした。
さらに詳しい情報はSTのホームページをご覧ください。
ST日本法人: http://www.st-japan.co.jp
STグループ(英語): http://www.st.com