日本精工、耐クリープ力や信頼性などを向上させた「クリープフリー軸受」を開発
クリープフリー軸受(TM)を開発
~耐クリープ力、信頼性、耐油性を飛躍的に向上、
モータのメンテナンス期間延長、組立て性向上に大きく貢献~
日本精工株式会社(本社/東京都品川区、取締役 代表執行役社長 朝香聖一、以下NSK)は、クリーンルーム用ファンモータやポンプ用モータに広く使われている、クリープ防止軸受の耐クリープ力、信頼性、耐油性を飛躍的に向上させた「クリープフリー軸受(TM)」を開発し、サンプル出荷を開始しました。
ファンモータやポンプ用モータ等で使用される軸受は、モータ組立て上の制約から、外輪とハウジング間をすきまばめ(*1)で使用されることが多く、軸受に偏心荷重(*2)が負荷された場合、条件によっては軸受とハウジング間でクリープと呼ばれるすべり現象が発生し、摩耗により軸受寿命を低下させる可能性がありました。特に、最近ではモータ軽量化のためアルミニウム製ハウジングの使用が増えてきており、熱膨張量の違いから従来の鋳鉄製ハウジングに比較すると軸受とハウジング間のすきまが増大しクリープが起こりやすいため、クリープ防止が強く望まれています。
今回NSKは、このニーズにお応えし、以下の優れた特長を持つ「クリープフリー軸受(TM)」を開発、サンプル出荷を開始しました。
(*1)すきまばめ:軸受と、軸やハウジングとの間にすきまが存在して装着された状態
(*2)偏心荷重 :回転軸に対して方向が変化するラジアル(半径方向)荷重
【 製品の特長 】
(1)耐クリープ力を20%以上(当社比)向上
OリングやOリングを装着する外輪外径部のみぞ寸法を見直し、Oリングの弾力・反発力を適正化することで、クリープ防止軸受の基本性能である耐クリープ力を当社比で20%向上させました。
(2)高温(120℃)での耐クリープ性向上により、モータ用軸受のメンテナンス期間延長に貢献
Oリング材料(ゴム)組成の見直しにより、高温環境下でのOリングの永久ひずみ量を当社比で1/5に低減し、高温下でも安定した耐クリープ力を維持することができます。モータ用軸受のメンテナンス期間延長が可能となります。
(3)耐油性の向上により、組立て時に軸受外径に塗布する油脂の選択肢が拡大
エステル系油脂に対する耐油性を7倍に向上させたOリング材料の採用により、モータ組立て時に軸受外径又はハウジング内径に塗布する油脂について、鉱油系だけでなくエステル系油脂も使用可能としました。お客様での組立て時の作業性向上に貢献します。
本クリープフリー軸受はNSKの企業理念に基づき、環境配慮型製品として開発されたもので、長寿命化による省資源に貢献いたします。
NSKは、信頼性を重視する各種モータ用途向けに、本製品で2010年度 年間25億円の売上を目指します。なお、NSKは本製品を6月27日(水)~29日(金)に東京ビッグサイトで開催される「第11回機械要素技術展」に出展いたします。
以 上