帝人ファイバー、高性能耐久制電ポリエステル素材「ビーウェル」を開発し販売開始
高性能耐久制電素材「ビーウェル(R)」の開発と販売について
帝人ファイバー株式会社(本社:大阪市中央区、社長:唐澤 佳長)は、画期的な高性能耐久制電ポリエステル素材「ビーウェル(R)」を開発し、このたび販売を開始しました。
本来、疎水性であるポリエステルは“静電気を帯びやすい”という本質的な弱点がありました。そのため、これまでは生地への後加工などでその弱点を克服するのが一般的で、その制電性能は十分とは言えませんでした。
そこで当社は、高度なポリマー開発技術と極細製糸技術を駆使し、原糸レベルで優れた制電性能を有する新素材「ビーウェル(R)」を開発しました。また、「ビーウェル(R)」は高い制電性を持った極細糸であるため、繊細な外観を有するテキスタイル開発が容易となり、従来の制電ポリエステル素材に比べて商品提供の範囲が広がりました。
今後、当社では、スポーツ、裏地、インナー、ユニフォーム、ファッションなどのあらゆるポリエステル衣料用途に対して、積極的に販売展開していきます。
詳細は下記のとおりです。
記
1.開発の経緯
(1)様々な用途で幅広く利用されているポリエステル素材は、疎水性であることから静電気を帯びやすいという本質的な弱点を持っていますが、より良い着用快適性を得るため、静電気でパチパチしないことや、花粉を含む埃などの付着を抑制することなどが求められており、制電性付与に対する高いニーズがありました。
(2)この課題に対し、これまでは導電性繊維を使用したり、後加工によって対策を図ってきましたが、導電性繊維を使うと生地に線が出てしまうなど外観が低下し、後加工では、生地の風合いが硬くなったり、撥水性などの複合機能性の機能低下、制電性能の洗濯耐久性が十分でないなどの問題がありました。
(3)そこで、このたび当社では、ポリエステル繊維の長所を損なうことなく、優れた耐久制電性を付与することが可能な「ビーウェル(R)」の開発に取り組み、それを実現しました。
2.「ビーウェル(R)」の特徴
(1)「ビーウェル(R)」は繊維の芯部に制電性ポリマー、鞘部にレギュラーポリエステルポリマーを配したコンジュゲート繊維(*)であり、通常のポリエステル繊維と同様に取り扱いやすく、製織・製編や加工の際に制約が全くありません。
*コンジュゲート繊維:主として2種類の異なったポリマーを2つに区切られた口金から紡糸した1本の繊維で、2成分が貼り合わされたような構造の繊維。
(2)「ビーウェル(R)」は、独自の制電剤をポリエステルポリマーにナノオーダーで均一に分散させているため、従来品に比べて極めて良好な耐久制電性を有しています。
【制電性比較】(一定の同条件における当社調査結果)
「ビーウェル(R)」:洗濯50回後 ⇒ 摩擦帯電圧1300V程度
従来後加工品:洗濯50回後 ⇒ 摩擦帯電圧4100V程度
(3)一般にコンジュゲート糸では繊維径を細くすることが困難でしたが、「ビーウェル(R)」は独自の紡糸技術によって極細化を実現し、生地にした際のソフトな風合いや嵩高性、高密度織編物での優れた撥水性など、高機能性や着用快適性を有しています。
(4)さらに特殊糸加工を施し、かつ独自の織編物構造体や耐久撥水加工、起毛加工などの後加工と組み合わせることで、スポーツ、裏地、インナー、ユニフォーム、ファッションなど、あらゆる着用シーンに対応した商品展開が可能になりました。
3.技術概要
(※ 関連資料を参照してください。)
4.販売計画
(1)主要用途
1)当社では、「ビーウェル(R)」を2008年秋冬向けのスポーツウェア用重点プロモーション素材と位置付けています。
2)スポーツに加え、裏地やインナー、ユニフォーム、ファッション等の各用途へも積極的に販売展開していきます。
(2)売上計画
初年度 2万反/年 売上:約6億円
3年後 6万反/年 売上:約18億円
5.特許
4件出願済み
以 上
(※ 参考画像、技術概要は関連資料を参照してください。)