タニタ、睡眠の状態を簡単にチェックし点数で総合評価する睡眠計測システムを開発
睡眠の状態を簡単にチェックし、点数で総合評価
睡眠計測システム「SLPモニター」を開発
体組成計や体脂肪計、ヘルスメーターなど家庭用計量計測機器のトップメーカーである株式会社タニタ(東京都板橋区前野町1-14-2、社長・谷田大輔)は、太田総合病院太田睡眠科学センター(神奈川県川崎市)の指導を得て、眠りの深さやその状態を定量的に評価して表示する睡眠計測システム「SLPモニター」を開発、7月25日より発売します。医療で使われている睡眠ポリグラフ検査装置による結果と極めて相関性の高いアルゴリズムを見いだすとともに、これにさまざまな情報から確立した指標を加えることで点数による総合評価を行えるようにしました。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)(※1)など睡眠障害にかかわる問題がクローズアップされていますが、SLPモニターを使えば睡眠の過不足やリズムをチェックすることが可能になるだけでなく、医師による適切な診断や健康管理に反映できるようになるとみています。価格は52万5000円(消費税込み)。まず睡眠外来のある医療機関や介護施設、運輸業界など向けに、初年度300台の販売を計画しています。
SLPモニターはコントローラーとセンサーマットから構成されます。このセンサーマットを寝具の下に敷き、横になって就寝するだけで簡単に計測できます。具体的にはマットに組み込んであるセンサーが脈拍数、呼吸数、体動を検出、これらの情報に基づき睡眠の深さを4段階のステージグラフで表示します。さらに睡眠時間や寝つき時間、途中で目覚めた回数などの情報を加味して睡眠の質を統計的に算出し、これを点数によって評価します。100点満点で51-100点までを「平均的な睡眠」、50-0点を「改善の余地あり」とし、睡眠の状態を判断する目安としています。
このほか寝つき時間や途中で目覚めた回数・時間、睡眠効率などを表示することが可能で、これらの情報をコントローラーに14日分記録することもできます。この記録は睡眠日誌としてグラフ化することができ、睡眠の時間的傾向を把握することも可能です。また、データ転送機能を使えば、市販のUSBメモリーを介して睡眠点数や睡眠周期などの情報をパソコンに取り込む(睡眠日誌を除く)ことができ、長期にわたる時系列的な管理が行えるようになります。
SLPモニターは睡眠ポリグラフ検査装置のような医療機器ではありませんので、SASなどの睡眠障害の診断には使用できませんが、身体を拘束したり多数の電極を取り付けたりする必要がなくリラックスした状態で計測できるため対象者に負荷がかかりません。タニタでは当面、業務用として睡眠の状態をチェックするモニタリング分野など向けに展開しますが、3年後をめどに一般家庭向け製品も投入する計画です。
日本では現在、5人に1人が何らかの形で睡眠にかかわる悩みを抱えるといわれています。特に日中の眠気による交通事故や労働災害など引き起こす恐れがあると指摘されているSASは、潜在患者数が国内で200万人以上いるとされ社会問題になっています。実際に警察庁交通局がまとめた「睡眠障害と安全運転に関する調査研究」の報告書では、SASと診断された運転手の30%以上が居眠りで事故を起こしそうになったことが明らかになり、SASと交通事故との間に一定の関係があることが裏付けられたとしています。
ただ、これら睡眠障害にかかわる検査に関しては対象者に対し肉体的・金銭的な負担を強いることから、思うように進んでいないといわれています。このためまず検査に入る前段階として、睡眠の状態を医療機関や事業所あるいは在宅で簡単に利用できチェックできる機器が求められていました。
(※1) 睡眠時に呼吸が繰り返し停止する疾患。睡眠時に10秒以上の無呼吸や低呼吸が、睡眠1時間あたり5回以上起こる場合をいいます。
【太田総合病院太田睡眠科学センター・佐々木三男所長のコメント】
現在、我が国では国民の5人に1人が、睡眠に関する何らかの問題を抱えているとされています。睡眠は休息、回復としての様々な重要な機能をもっています。睡眠不足や睡眠の質の低下は日中の眠気を誘発しQOL(生活の質)の低下を招いたり、今話題のメタボリックシンドロームとも関連したりすることから、最近、特に「よい睡眠」の重要性が再認識されています。今回、タニタが開発したSLPモニターは、睡眠障害を診断する医学的な検査とは一線を画しますが、自分自身で毎日の睡眠について手軽にチェックおこなうことが可能で、一般家庭での使用により、毎日の健康維持やQOLの向上に応用できる可能性が期待されます。
【SLPモニター仕様】
型番:SL-101
センサー:コンデンサマイクロフォン方式
マット:ウオーターマット
表示部:6.5インチVGAカラー液晶
外部出力:USB端子×2
操作ボタン:スタートスイッチ、メニューキー、カーソルキー、決定キー
計測時間:1-12時間
計測可能マット厚:約20cm
表示内容:睡眠点数(睡眠の総合評価)、睡眠ステージ(4段階)、睡眠時間、睡眠日誌(グラフ14日分メモリー)
サイズ・重量:コントローラー(H62×W248×D161mm、約1.0kg)
センサーマット(H37×W1050×D316mm、約1.5kg)
電源:DC12V
価格:52万5000円(消費税込み)
(※添付資料あり)