IDC Japan、国内通信サービスの企業ユーザーデマンド調査結果を発表
国内通信サービスの企業ユーザーデマンド調査結果を発表
・WAN回線の冗長化に対するユーザー企業の取り組みは積極的
・基幹WAN利用において、IP-VPN(スタンダード)、インターネットVPN、専用線、広域イーサネットはそれぞれ2割弱の普及率
・今後、WANサービスプロバイダーは、ユーザー企業のコスト重視に加えて信頼性重視への意識変化を捉えることが重要
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、2007年2月に国内企業向け通信サービスのニーズについて実施した調査の結果を発表しました。これによると、WANサービスユーザー企業におけるネットワークの経済性および信頼性重視の姿勢が浮き彫りになりました。
本調査では、国内で提供される専用線、IPベースVPN、広域イーサネットなどのWAN(Wide Area Network:広域ネットワーク)サービスの需要動向に加えて、ダイバシティやリモートアクセスへの取り組みなどについて尋ねています。
WANに接続された回線の冗長化については、『「複数キャリア」で冗長化はすでに完了している』との回答が最も多く、全体のほぼ4分の1を占めました。「同一キャリア」による冗長化完了および冗長化が途中段階であるとの回答を含めると、全体のほぼ6割が冗長化を完了/構築中であり、ユーザー企業の冗長化に対する高い意識がうかがえます。
一方、企業のWANで採用されるサービス種別をみると、2007年の調査結果では、特定のWANテクノロジーが突出して高い導入率となる傾向は見られませんでした。基幹WAN利用状況は、IP-VPN(スタンダード)、インターネットVPN、高速(ATM専用含む)専用線、広域イーサネットの上位4つのWANテクノロジーの導入率は、すべて2割弱でした(図1参照)。
この背景には、2006年まで継続したインターネットVPNの急速な伸びが鈍化した影響があります。これまで毎年連続で増加してきた「インターネットVPNのみ利用とする回答」の割合は、2007年の調査で初めて前年を下回る結果となりました。ただし、伸びは鈍化しても、インターネットVPNが堅調なニーズに支えられているのは事実です。例えば、基幹WANとしてのインターネットVPNの普及率は、土木、建設、資源産業で構成されるセグメントで最も高い36.2%であり、従来からインターネットVPNを積極的に活用している流通セグメントでは、3割弱の普及率を維持しています。
専用線の利用に象徴される信頼性重視と、インターネットVPNの利用に象徴される経済性重視について、マクロ的な観点でみると、基幹WANにおける専用線の利用は、圧倒的に1,000人以上の企業セグメントで最も多く(図2参照)、企業規模に正比例して普及率が高くなっています。一方、インターネットVPNは、比較的中堅企業のセグメントで普及率が高くなっています。また、比較的規模の大きな企業ユーザーはIP-VPNとインターネットVPNを併用し、低廉なブロードバンド回線との組み合わせで経済性と信頼性を両立させています。
WANネットワークにおける経済性と信頼性の両立を図ろうとするユーザー企業の意識は不変ですが、WANサービスに対する価格や信頼性への要求度はユーザー企業ごとに異なります。このニーズの多様化に応えるために、通信事業者が複合型のネットワーク・ソリューションのラインアップを強化しています。今回の調査では、基幹WANとしてインターネットVPN、ライトVPNなど低廉なVPNを選択する中規模のユーザー企業の視点、および信頼性の高い基幹WANとして専用線、広域イーサネット、IP-VPN(スタンダード)などを選択する大規模のユーザー企業の視点があらためて浮き彫りになりました。
「IP-VPN(スタンダード)、インターネットVPN、高速専用線、広域イーサネットは、主要な上位4種のWANサービスとして挙げられるが、今後これらのサービスは、適材適所のネットワーク構築を推進するソリューション展開の影響が続くなかで、比較的短期間で順位を入れ替える可能性がある。通信事業者は、ユーザー企業のコスト重視に加えて信頼性重視への意識変化を捉え、求められる信頼性のレベルを的確に把握し、十分な選択肢をユーザーに示すことが重要になるであろう」と、IDC Japan コミュニケーションズの シニアマーケットアナリストである門脇 博之は分析しています。
今回の発表はIDCが発行したレポート「2007年 国内通信サービスの企業ユーザーデマンド調査」(関連リンク参照)にその詳細が報告されています。本調査レポートでは、100人以上の従業員を有する企業のネットワーク管理者を対象とした『Japan WAN Managers Survey 2007』における調査結果とその分析を提供しています。調査対象の主な分野は、専用線、広域イーサネット、IP-VPN(スタンダード)、インターネットVPN、リモートアクセス、などの各種WANサービスです。また、規模別、業種別などのクロス集計を行い、必要に応じて過去のデータとの比較を行っています。
(※レポートの詳細については IDC Japan へお問合せ下さい。)
【レポート概要】
2007年 国内通信サービスの企業ユーザーデマンド調査
http://www.idcjapan.co.jp/Report/T-com_Service/j7040104.html
<参考資料> (* 関連資料 参照)
図1. 企業における基幹WAN利用状況
図2. 企業における基幹WANサービス:規模別
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