NEC、将来の情報通信システムの研究を行う「C&Cイノベーション研究所」を設立
C&Cイノベーション研究所を開設
~世界の知の結集を目指して、オープンな研究開発拠点を構築~
NECは、今後30年先を見据えた将来の情報通信システムの研究を行う「C&Cイノベーション研究所」を奈良県生駒市に設立し、本日、開所式を開催し、本格的な活動を開始します。同研究所は、国内外の大学や研究機関、異業種などと連携を行うグローバルなオープン・イノベーション型の研究開発を推進します。当初、約20機関との連携を目指し、順次、連携の拡大を図る計画です。
1977年に当時NEC会長の小林宏治が、通信技術とコンピュータ技術が融合する「C&C」の概念を世界に先駆け提唱してから、今年で30周年を迎えます。この間、インターネットや携帯電話など、通信技術とコンピュータ技術の融合が進み、時代はまさに、いつでも、どこでも、さまざまな情報通信機器を通じて人々が必要な情報をやり取りできる「ユビキタス社会」の到来を迎えようとしています。
ユビキタス社会の実現を支える従来の情報通信システムは、人の道具として業務の効率を飛躍的に進歩させる役割を担ってきました。NECでは、30年後の情報通信システムはこの役割に加えて、人を中心として相互に強く関連する社会、環境、モノ、情報、エネルギーなどとの連携を取りながら、世界の人々が相互に理解を深め、人間性を十分に発揮する豊かな社会の実現に貢献できると考えています。(図1参照)
このような将来の情報通信システムの実現を目指し、以下の2点を当面の主な研究課題として取り組んでいきます。(図2参照)
1. 世界中に散らばった個々の知恵やひらめきを結集し、これをさらに増幅、発展させることにより、従来では考えられなかった新しいイノベーションを創 出する「知識コンピューティング」の原理探求や活用システムの探索。
2. 時間、空間の制約を受けず、言葉や文化の違いの壁を越えて、遠く離れた人とも、対面で話す時以上の効果で、自分の感情や体験も伝え、心通じ合うことができる「こころコミュニケーション」の原理探求と活用システムの探索。
NECは、同研究所を国内外の幅広い諸機関との共創の場と位置づけています。上記の次世代の研究テーマに基づき、オープン・イノベーション型の研究開発を進めるにあたり、以下のような研究環境を整えています。
1. オープンかつセキュアな研究環境の整備
大学や外部の研究機関に所属する研究者と研究フロアを共有したり、ハイビジョンカメラ/テレビによる高精細遠隔研究室を実現することで、ネットワークを介してリアルタイムに議論できる環境を備えたオープンラボ。気軽に入室し、すぐ共同研究できる環境を整備。このため、データを端末に格納せずにサーバーで集中管理することで情報漏えいを防ぐことができるシンクライアントシステムの採用や、RFIDを活用したパソコンや書籍、資料の管理により、万全なセキュリティ体制も構築。
2. イノベーション創出プロセスの分析のための知的活動の記録・解析システムの構築
研究所内の映像や音声、人の移動や接触、書籍や文献の参照履歴、パソコン操作履歴、ホワイトボードに書かれた内容等のデータベースを自動的に構築するシステムを導入。以前に考えたことや知的活動の履歴を簡単に再確認し、更なる発想を支援する仕組みを提供。さらに、人と人・人とモノの接触とイノベーション創出との関係の発見や知的活動のプロセスの解明に活用する。
3. 創造力刺激の実験場「ひらめきの径」を開発
ふとした「ひらめき」や「おもいつき」を人に伝えることで、そのアイディアを大きく発展させ、イノベーションの創出につなげていくコミュニケーションツール。思いついた時点では連絡が取れない研究者間との共創も促進できる。廊下などでひらめいたアイデアを話すと、壁に設置した機器が記録し、その前を通った別の人に伝えて、さらにアイデアを膨らませたものを当人に返したり、さらに別の人に伝えていくことで、ひらめきを増幅する仕組み。
4. 世界のみんなで創造する仕組みWiki型オープン共創基盤の開発
世界に散らばる知識を集約し、まとめ上げるための共創基盤を開発。例えば、PaPeRoの動作シナリオを、専門家から子供まで幅広い人が参加して作成することができるため、異分野の得意領域を効率的に活用し、インターネット上で多様な共創を促進するツール。
5. WEB上の様々な情報から、因果関係を自動抽出できるエンジンの開発
WEB上のテキスト情報から人物の関係を抽出し、人脈情報として表示するシステムを開発。異分野のキーマンを探索し、仲間に勧誘できる。将来は、人物に限定せず、Webや実世界にある全ての情報から物事の因果関係を導き出し、知識をつなぎ合わせることで、大規模な知識体系を築きあげるシステムへの応用を図る。
NECは、この30年間で培ったC&C技術を基に、世界中の知を結集して、人々の生活の豊かさとは何かという観点から人と情報通信システムとの新たな関係を考え、豊かな社会の実現に向けた研究開発に取り組み、グローバルなイノベーションカンパニーを目指していきます。
なお、研究所に関する写真については以下のサイトをご参照下さい。
http://www.nec.co.jp/press/ja/pr-room/inov.html
以上
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NEC 研究企画部 企画戦略グループ
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