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2007'07.23.Mon

ベーリンガーインゲルハイム、「ダビガトラン」が静脈血栓塞栓症予防で有効性などと発表

新規経口トロンビン阻害剤ダビガトラン、
整形外科手術後の静脈血栓塞栓症予防での有効性と安全性が明らかに
‐新たに発表された第3相臨床試験結果が示す‐


2007年7月11日 スイス/ジュネーブ

 第21回国際止血血栓学会(ISTH)でこのほど、ベーリンガーインゲルハイムが開発中の経口トロンビン阻害剤ダビガトラン エテキシレート*について実施された第3相臨床試験のひとつ、RE-NOVATE(TM)試験の結果が発表されました(*1)。この試験結果は、ダビガトランが低分子量ヘパリンのエノキサパリン投与群と比較して、平均33日間投与後の人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)発症の予防、及び、死亡(原因を問わない)の抑制で同等の有効性を示すものでした。また、ダビガトランを起因とする大出血を含む出血の発現率は、エノキサパリンと同等に低いレベルに抑えられたことも示されました。
 ダビガトランは、血液凝固能のモニタリングを必要としない、1日1回投与の抗凝固薬です。現在、日本での開発段階は、第2/3相臨床試験中です。
*ダビガトラン エテキシレート:便宜的に、ダビガトラン エテキシレートを「ダビガトラン」と記載する。

 サールグレンスカ大学病院整形外科(スウェーデン)のベングト・エリクソン先生は、「人工膝関節や人工股関節置換術後に起こりえる、生命を脅かす恐れのある静脈血栓塞栓症の予防に、ダビガトランが有効で安全な選択肢となり得るとの試験結果が発表されました。このことは、医師や患者さんの双方が歓迎する、治療の進歩の到来を期待させるものです」とコメントしました。


●RE-NOVATE(TM)試験
 RE-NOVATE(TM)試験の結果により、経口剤のダビガトランは注射剤のエノキサパリンと比較して、平均33日の投与期間後で整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の発症の低減について、有効性と安全性が同等であることが示されました。主要評価項目とされた全ての静脈血栓塞栓症や死亡(原因を問わない)の発生率は、1日1回のダビガトラン150mg投与群8.6%、220mg投与群6.0%、1日1回のエノキサパリン40mg投与群6.7%と同等でした。いずれかの治療群に割り付けられた3,463人で安全性が評価されましたが、大出血の発現率はダビガトラン150mg投与群1.3%、220mg投与群2.0%、エノキサパリン40mg投与群1.6%と、3群の間に有意な差は見られませんでした。また、治療期間もしくは追跡調査期間で、肝酵素の上昇や急性冠イベントの発症も、各治療群で有意差が見られませんでした。

 EU加盟25ヵ国(人口4億5,400万人)での静脈血栓塞栓症の罹患率は、症候性深部静脈血栓症が64万人、肺血栓塞栓症が38万3,000人と推定され、静脈血栓塞栓症の関連で50万人が死亡していると推定されています(*2)。現在の治療ガイドランでは、人工股関節置換術後に、エノキサパリンのような低分子量ヘパリンやワルファリンのようなビタミンK拮抗薬を、術後から28日~35日間投与する静脈血栓塞栓症の予防が推奨されています。両剤ともに有効性はありますが、臨床使用上、注意を払わなければならない点を併せ持っています。その点ダビガトランは、病院外での使用が制限される皮下注射剤のエノキサパリンとは異なり、術後早期からカプセルでの経口投与が可能です。また、ワルファリンで必要とされる抗凝固能のモニタリングや投与量の調整も、ダビガトランでは必要ありません。

 ベーリンガーインゲルハイム取締役会副会長で、医薬開発担当取締役のアンドレアス・バーナー博士は、「長期の抗凝固薬による予防は、生命を脅かす可能性のある血栓塞栓症から患者さんを守る、優れた治療選択肢であることが証明されています。我われの新規経口トロンビン阻害薬によって、臨床医が多くの患者さんに対して、推奨されている治療期間にわたって有効で安全な静脈血栓塞栓症の予防を提供できる機会の可能性を示せたことを、嬉しく思います」と、述べました。

●統合解析(pooled analysis)の結果
 今回の国際止血血栓学会では、主要な静脈血栓塞栓症(近位型深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の発症、及び、その関連死を試験開始前に予め評価項目に設定した上での統合解析の結果も発表されました。これは、静脈血栓塞栓症予防を掲げた3つの第3相臨床試験(RE-MODEL(TM)試験、RE-MOBILIZE(TM)試験、RE-NOVATE(TM)試験)で無作為に割り付けられた8,000人以上の被験者を対象に、主要な整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の発症、及び、その関連死について解析したものです(*4)。この統合解析により、ダビガトラン投与群はエノキサパリン投与群と比較して、人工膝関節や人工股関節置換術後の主要な静脈血栓塞栓症の発症、及び、その関連死の予防で同等の有効性が得られたと結論付けられました。主要な静脈血栓塞栓症の発症率は、エノキサパリン投与群3.3%に対して、ダビガトラン150mg投与群3.8%、220mg投与群3.0%でした。大出血はいずれの投与群でもまれで、各群での発現率は同等でした(ダビガトラン150mg投与群1.1%、220mg投与群1.4%、エノキサパリン投与群1.4%)。安全性分析の一環として肝酵素の上昇もモニターされましたが、正常値上限の3倍を超える異常値が見られたのはまれで、各治療群でほぼ同等でした。また急性冠症候群(ACS)イベントの発症についてもまれで、各治療群でほぼ同等でした。

 今回発表されたRE-NOVATE(TM)試験とは別に実施された、欧州などでの人工膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症の予防を検証したRE-MODEL(TM)試験結果は2006年12月に、発表されました(*5)。この試験でも、1日1回のダビガトラン150mg投与群および220mg投与群はエノキサパリン40mg投与群と比較して、人工膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症または死亡(原因を問わない)の発生率において、有効性ならびに安全性ともにほぼ同等であることが示されています。ダビガトラン150mg投与群および220mg投与群での大出血、及び、肝酵素の上昇ともに低い発現率でした。

 またもうひとつ、北米でも人工膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症の予防を検証した臨床試験が実施されています。RE-MOBILIZE(TM)試験と呼ばれるこの試験結果も、今回の学会会期中に発表されました(*6)。ダビガトラン150mg投与群および220mg投与群に対し、対照群のエノキサパリン投与群は、北米での添付文書に沿って1日60mgの用量に設定されました。この試験で、主要評価項目の近位型深部静脈血栓症や遠位型深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症を複合した発症率および静脈血栓塞栓症による死亡率は、同等ではありませんでした(ダビガトラン150mg投与群33.7%、220mg投与群31.1%、エノキサパリン投与群25.3%)。この相違は、臨床的に意義のある主要な静脈血栓塞栓症が全治療群でほぼ同率で発症していたことから判断して、主に無症候性の遠位型深部静脈血栓症の発症に起因するものと考えられます。大出血の発現については、治療群間で統計的有意差は無いものの、エノキサパリン投与群では、ダビガトラン投与群に比較して、2倍となりました。

●RE-NOVATE(TM)試験
 RE-NOVATE(TM)試験は、人工股関節全置換術後の合計3,494人の被験者を対象とした、欧州や南アフリカ、オーストラリアにまたがる国際的な無作為化二重盲検非劣性の第3相臨床試験です。ダビガトラン150mgまたは220mg1日1回投与群(手術日は半量を術後1~4時間に投与)とエノキサパリン40mg1日1回投与群(術前12時間前に皮下注射開始)とに無作為に割り付けられました。治療期間の中央値は、全治療群が33日で、87%の患者が28日から35日の治療期間のあいだに入りました。また、術後3ヵ月間は経過観察が行なわれました。静脈血栓塞栓症発症の有無は、症候を伴うイベントについては客観的な画像の中央読影委員会での判断を採用し、無症状のイベントについては、服薬最終日の両肢の静脈造影の中央読影委員会での読影結果で判断されました。

●Dabigatran etexilate(ダビガトラン エテキシレート)
 ダビガトラン エテキシレート(便宜的にダビガトランと記載する)は経口トロンビン阻害剤で、新規経口抗凝固薬の中でも特に開発段階が進んでいる医薬候補物質です。ダビガトランは特異的かつ可逆的に、血液凝固に主要な役割を担う酵素のトロンビンを阻害します。一定用量での経口投与が可能で、作用発現までの時間が短く、有効性の発現も安定しています。更には他の薬剤や食品との相互作用も少なく、投与後の血液凝固能のモニタリングも必要ありません。ダビガトラン エテキシレートはプロドラッグであり、投与後は速やかに活性代謝物ダビガトランに変化します。ダビガトランについては、複数の血栓塞栓症に関連した疾患への適応をにらんで、RE-VOLUTION(TM)と呼ばれる一連の臨床試験プログラムがグローバルで大規模に展開されています。

●RE-VOLUTION(TM)臨床試験プログラム
 RE-VOLUTION(TM)臨床試験プログラムは、新規経口トロンビン阻害剤ダビガトランの血栓塞栓症疾患の治療および予防に関する適応の可能性を探るようデザインされています。アジアやオーストラリア、欧州、米州、南アフリカの合計2万7,000人以上にのぼる被験者を対象に実施される計画です。また被験者は、ワルファリンもしくはエノキサパリンを対照薬として、ダビガトランと各治療群に割り付けられます。今回、試験結果が発表されたRE-NOVATE(TM)試験も、RE-MODEL(TM)試験などとともに、このプログラムを構成しています。

 RE-MODEL(TM)試験は、2004年11月に、欧州や南アフリカ、オーストラリアで2,000人以上の被験者を対象に、人工膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症の予防でのダビガトランの有用性を検証するために開始されました。またRE-MOBILIZE(TM)試験もRE-MODEL(TM)試験と同じく、人工膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症の予防を適応として北米で2,600人以上の被験者を対象に実施されました。異なる適応でRE-VOLUTION(TM)臨床試験プログラムの一環をなすRE-LY(TM)試験は、ダビガトランの心房細動に起因する脳卒中予防への有用性を検証する試験です。この試験には、世界約1,000ヵ所の施設で合計1万5,000人の登録を目指します。
更にRE-COVER(TM)試験およびRE-MEDY(TM)試験も、ダビガトランの静脈血栓塞栓症の急性期治療および2次予防での有用性の検討を目的に実施されています。

【References】
*1 Eriksson BI, Dahl OE, Rosencher N et al. Dabigatran etexilate is effective and safe for the extended prevention of venous thromboembolism following total hip replacement. Abstract presented at XXIst Congress of the International Society on Thrombosis and Haemostasis in Geneva, Switzerland, July 2007

*2 Report of the independent expert working group on the prevention of venous thromboembolism in hospitalised patients. Department of Health, March 2007

*3 Geerts WH, Pineo GF, Heit JA et al. Prevention of Venous Thromboembolism: The Seventh ACCP Conference on Antithrombotic and Thrombolytic Therapy. Chest 2004;126:338-400

*4 Caprini JA, Hwang E, Hantel S et al. The oral direct thrombin inhibitor dabigatran etexilate is effective and safe for prevention of major venous thromboembolism following orthopaedic surgery. Abstract presented at XXIst Congress of the International Society on Thrombosis and Haemostasis in Geneva, Switzerland, July 2007

*5 Eriksson BI, Dahl OE, van Dijk CN, et al. A New Oral Anticoagulant, Dabigatran Etexilate, is Effective and Safe in Preventing Venous Thromboembolism after Total Knee Replacement Surgery (The RE-MODEL Trial). Blood (ASH Annual Meeting Abstracts) 2006;108: Abstract 573

*6 Friedman RJ, Caprini JA, Comp PC et al Dabigatran Etexilate Versus Enoxaparin In Preventing Venous Thromboembolism Following Total Knee Arthroplasty. Abstract presented at XXIst Congress of the International Society on Thrombosis and Haemostasis in Geneva, Switzerland, July 2007


ベーリンガーインゲルハイムについて

 ドイツのインゲルハイムに本拠を置くベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業の一つで、2006年度の売上高はおよそ106億ユーロ(約1兆5,500億円)になりました。1885年の設立以来、人々の健康および保健医療の向上に寄与すべく、世界各国の市場に革新的な医薬品を送り出してきました。2006年度は医療用医薬品売上高の5分の1を投資するなど、研究・開発投資に注力しています。

 日本ベーリンガーインゲルハイムは同グループの一員として、日本で40年以上にわたる企業活動を展開してきました。グローバルな研究・開発の一翼を担う川西医薬研究所や、国内向けの生産拠点として山形工場を擁し、呼吸器、循環器、中枢神経、消化器などの疾患領域で有用な医薬品を提供しています。

 ベーリンガーインゲルハイムについての詳細情報は:
  www.boehringer-ingelheim.com (ベーリンガーインゲルハイムグループ)
  www.boehringer-ingelheim.co.jp (日本ベーリンガーインゲルハイム)
からご覧いただけます。

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