DNAチップ研究所、米社に新規アミノ化試薬の製造販売権を供与
新規なアミノ化試薬の製造販売権をSigma-Aldrich Corporationに供与
-非独占、かつ全世界にわたるライセンス契約を締結-
株式会社DNAチップ研究所(神奈川県横浜市 松原謙一社長)は、独立行政法人産業技術総合研究所と共同開発した新規なアミノ化試薬を、Sigma-Aldrich Corporation(本社:米国ミズーリ州セントルイス)及びその子会社に対し、非独占、かつ全世界にわたるライセンスを供与する契約に合意しました。
この新規なアミノ化試薬は、オリゴヌクレオチドにアミノ基修飾を行うための試薬であり、この試薬を用いたオリゴヌクレオチドの合成に関しては、既に平成17年11月にシグマアルドリッチジャパン株式会社とライセンス契約を締結しておりましたが、このたびシグマアルドリッチジャパン株式会社の親会社であるSigma-Aldrich Corporationと全世界にわたるライセンス契約を締結したことにより、従来のシグマアルドリッチジャパン株式会社との契約は今回の契約に一本化されることになります。
なお、本ライセンス契約による当年度の当社の業績への変更はありません。
[補足説明]
1.新規なアミノ化試薬
独立行政法人産業技術総合研究所ゲノムファクトリー研究部門(小松康雄核酸工学グループリーダー)と協力して開発したアミノ化試薬であり、特異な構造を有したリンカーにアミノ基を結合させることで、分子内で水素結合を形成させるように改変した。これにより1時間以上要していた精製行程が、数分以内で完了し、さらに従来よりも高い純度で多種類のアミノ化オリゴヌクレオチドが得られ、飛躍的に精製効率を改善させることができるようになった。さらに、分子内水素結合の効果によって、この新しいアミノ化オリゴヌクレオチドを、DNAマイクロアレイなどの基板表面上や多くの蛍光色素とも、従来の試薬よりも数倍高い効率で反応させることもできるようになった。この結果、例えばDNAマイクロアレイを作製する場合、より少量のアミノ化オリゴヌクレオチドを用いるだけで、従来よりも高密度に基板表面上にオリゴプローブを固定化することが可能となり、より高感度な遺伝子検出にもつながると考えている。
2.オリゴヌクレオチド
DNAまたはRNAの構成成分であるアデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、チミジン(T:RNAの場合はウリジン,U)が、鎖状に結合したポリマー分子。各遺伝子に相補的に結合できるように、任意の配列で化学合成される。PCRのプライマーやDNAチップなどの遺伝子検出に用いられる。百塩基程度の化学合成は可能であるが、検出や実験に用いるためには、遺伝子特異性の高い数十塩基の鎖長が用いられる。
3.アミノ化オリゴヌクレオチド
1つの窒素原子(N)と2つの水素原子(H)からなるアミノ基(NH2基)を、1個ないし複数個オリゴヌクレオチド中に導入したポリマー分子。オリゴヌクレオチドを化学合成する過程で、特異的な部位(例えば末端)にアミノ化用の試薬によって導入する。オリゴヌクレオチドそのものでは、ガラス、プラスチック、微粒子などの様々な基板上に、強固に結合させることはできないが、アミノ基は基板上にコーティングした物質と化学反応することが可能であり、強固に結合することができ、オリゴヌクレオチドが剥がれ落ちなくなる。また、アミノ基の反応性を利用し、蛍光化合物などをアミノ基に結合させることによって、オリゴヌクレオチドを蛍光標識することも可能になる。
4.Sigma-Aldrich Corporation
Sigma-Aldrich Corporation(本社:米国ミズーリ州セントルイス)は世界32ヶ国に生産、研究開発、物流及び営業の拠点を擁するグローバル企業であり、グループの傘下には各ブランドとバルクビジネス部門を有し、世界をリードする試薬メーカーである。
2006年度の売上高は$1.8billion、収益は$277millionである。
以上