ノバルティス、アルツハイマー型認知症治療薬「Exelon」パッチ剤がEUから承認勧告を取得
ノバルティス アルツハイマー型認知症に対する初の経皮吸収型製剤、
Exelon(R)のパッチ剤がEUにおける承認勧告を取得
" 1日1回のパッチ剤という新しいアプローチで、24時間にわたってなだらか、かつ持続的に薬剤を供給することで、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症を治療(※1)。
" Exelon(R)のパッチ剤の有効性は同カプセル剤の最高用量(6mg、1日2回)と同等で、プラセボと比較して記憶力ならびに日常生活能力を有意に改善(※1)。
" 本剤は服薬コンプライアンスを考慮して設計されており、患者ケアが容易で投与状況が一目でわかるため介護者より支持を得る(※2)。
" 経口剤投与時にみられる消化器に対する副作用を最小限に抑制(※1)。
2007年7月19日、スイス・バーゼル - アルツハイマー型認知症に対する経皮吸収型製剤であるExelon(R)(一般名:リバスチグミン)のパッチ剤が、欧州連合(EU)における承認勧告を取得しました。EUにおいてアルツハイマー型認知症の治療薬としてパッチ剤が適用されるのは、今回が初めてです。
Exelonのパッチ剤は、27のEU加盟国およびアイスランドとノルウェーにおける医薬品の承認審査機関であるヒト用医薬品委員会(CHMP)から、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症の治療に対して承認勧告を取得しました。
今回の発表と同時に、CHMPはノバルティスの2型糖尿病治療薬であるGalvus(一般名:ビルダグリプチン)と骨粗しょう症治療薬であるAclasta(一般名:ゾレドロン酸5mg)にも承認勧告を行いました。ノバルティスは今年これまでに、米国および欧州の規制当局から、新製品に関して7件の承認および4件の承認勧告を取得しており、これにより患者さんに革新的な治療薬を提供すると共に、確固たる新たな成長基盤を築くことが可能となりました。
欧州委員会はCHMPの意見に従うことが一般的であり、今後3カ月以内に決定を下すものと予想されます。本剤は既に数週間前、米国で承認されています。
ドイツのミュンヘン工科大学の精神医学・精神療法部認知障害センター長で精神医学教授のアレキサンダー・クルツ医学博士(Alexander Kurz, MD, Professor of Psychiatry and Head of the Centre for Cognitive Disorders at the department of psychiatry and psychotherapy of technische Universitat Munchen, Munich, Germany)は次のように述べています。「Exelonのパッチ剤は特有の治療効果を有しており、血中の薬剤濃度が一定に保たれるため、忍容性が改善し、治療効果を示すのに必要な用量を投与することができる患者さんの割合も高まる可能性があります。また、投薬の簡便さという点で介護する方にとって明らかなベネフィットがあるばかりでなく、アルツハイマー型認知症の治療に飛躍的な進歩をもたらします。この重要な新技術が、EU諸国で利用できるようになるのを楽しみにしています」
アルツハイマー型認知症は進行性の疾患であり、脳が変性・萎縮することで記憶や思考、行動が減退します。世界では約1,800万人がこの病気に罹患しています。本パッチ剤を貼る部位は背中、胸、上腕部であり、貼付部位から薬剤が24時間にわたってなだらかに、かつ持続的に供給されるため、有効性が高まる可能性があります(※1)。
Exelonのパッチ剤の主な特性は、コリンエステラーゼ阻害剤と呼ばれるこのクラスの薬剤で一般的に見られる消化器に対する副作用を大幅に減少させたことです。臨床試験では、 Exelonのカプセル剤を投与した場合と比較して悪心および嘔吐の発現頻度が3分の1程度になるなど、消化器に対する副作用の大幅な減少が認められました(※1)。
服薬コンプライアンスの改善を考慮して開発されたExelonのパッチ剤は、臨床試験成績によると、「投与スケジュールを守りやすい」、「日常生活への支障が少ない」、「経口剤よりも全般的に使いやすい」との理由で、介護者の70%以上に従来のカプセル剤よりも好ましいと評価されています(※2)。
ノバルティス ファーマ社のグローバル開発部門責任者であるジェームズ・シャノン医学博士(James Shannon, MD)は次のように述べています。「欧州における承認勧告が米国での承認直後にだされたことは、Exelonのパッチ剤が既に効果が実証されている薬剤の革新的なデリバリー方法として極めて重要であることを示しています。このパッチ剤は、薬剤の使用状況を一目で確認することができ、深刻な病気の患者さんを世話する介護者の負担を軽減します」
EUにおける肯定的見解は、国際的な臨床試験であるIDEAL (Investigation of Transdermal Exelon in ALzheimer's disease)試験の結果に基づいてだされました。この試験の結果では、プラセボを使用した患者さんよりもExelonのパッチ剤を使用した患者さんにおいて、記憶力、機能性全般および日常生活能力の改善が認められました(※1)。
Exelonは、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症の治療薬として1997年に発売されて以来、現在70カ国以上で使用されています。Exelonは欧州および米国において軽度から中等度のアルツハイマー型認知症とパーキンソン病に伴う認知症の両方に対して適応が認められている唯一のコリンエステラーゼ阻害剤です。米国食品医薬品局は、7月6日、Exelon Patch(米国での製品名:リバスチグミン経皮吸収製剤)を軽度から中等度のアルツハイマー型認知症とパーキンソン病に伴う認知症の両方の治療薬として承認しました。
アルツハイマー病は65歳以上の10人に1人が罹患する疾患で、認知症の最も一般的な臨床型であり、この年代においては循環器疾患、がんに次いで死亡原因の第三位となっています(※3)。全世界で認知症にかかるコストは、2003年で1560億ドルと見積もられています(※4)。
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、将来の結果が現在の予想と異なる場合があることをご了解下さい。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照下さい。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。ノバルティス グループ全体の2006年の売上高は370億米ドル(約4兆2,943億円)で、当期純利益は72億米ドル(約8,354億円)、研究開発費は54億米ドル(約6,205億円)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは、約100,000人の社員を擁しており、世界140カ国以上で製品が販売されています。詳細はインターネットをご覧下さい。 www.novartis.com
以上
参考文献
(※1) Winblad B, Cummings J, et al. A 6-Month Double-blind, Randomized, Placebo-Controlled Study of a Transdermal Patch in Alzheimer's Disease - Rivastigmine Patch versus Capsule. International Journal of Geriatric Psychiatry May 2007: 22: 5:485-491.
(※2) Winblad B, Cummings J, et al. Caregiver Preference For Rivastigmine Patch Relative to Capsule For Treatment of Probable Alzheimer's Disease. International Journal of Geriatric Psychiatry May 2007: 22: 5: 456-67.
(※3) Alzheimer's Association. Alzheimer's Disease Facts and Figures, 2007.
(※4) Wimo A, Jonsson L, Winblad B. An Estimate of the Worldwide Prevalence and Direct Costs of Dementia in 2003. Dementia and Geriatric Cognitive Disorders 2006; 21:175-181.