協和発酵、抗体医薬の活性を高める新技術を米現地法人バイオワに実施許諾
抗体医薬の活性を高める新技術 COMPLEGENT(TM)(コンプリジェント)を
子会社の米国現地法人バイオワ(BioWa,Inc.)に実施許諾
協和発酵(東京都千代田区 社長:松田 譲)は、当社が独自に開発した強活性抗体作製技術(高ADCC活性抗体作製技術)「POTELLIGENT(R)(ポテリジェント)」に続き、同じく抗体医薬の活性を高める高CDC活性抗体作製技術「COMPLEGENT(TM)(コンプリジェント)」を開発し、この技術をPOTELLIGENT(R)と同様に当社の米国現地法人(100%子会社)であるバイオワ(BioWa,Inc.米国 ニュージャージー州 社長:小池 正道)に実施許諾いたしました。
抗体のCDC活性(補体依存性細胞障害活性 CDC:Complement-Dependent Cytotoxicity)は、ADCC活性(抗体依存性細胞障害活性 ADCC:Antibody-Dependent Cellular Cytotoxicity)と同様に、抗体医薬の主要な薬効発現機構のひとつです。
抗体分子のIgG(Immunoglobulin G)には、いくつかのアイソタイプ(亜型)が存在していますが、当社は2つのIgGアイソタイプ分子の特長を組み合わせる"アイソタイプキメラ"という手法で、抗体医薬の標準的なアイソタイプであるIgG1に、IgG3の一部分の配列を取り込んで高CDC活性抗体を作製することに成功しました。
COMPLEGENT(TM)を用いて作製された抗体は、天然型の抗体アイソタイプ分子IgG1およびIgG3の双方を凌ぐCDC活性を有しています。さらにPOTELLIGENT(R)と併用することにより、強力なADCC活性とCDC活性を併せ持つ抗体医薬を作製することが出来ます。
(なおバイオワは、POTELLIGENT(R)とCOMPLEGENT(TM)を併用して作製する抗体を『AccretaMab(TM)』(アクリタマブ)と命名しました)
当社では今後、POTELLIGENT(R)とCOMPLEGENT(TM)を用いた抗体医薬AccretaMab(TM)の研究開発を推進し、いっそう抗体医薬パイプラインの強化を図ってまいります。
バイオワでは、POTELLIGENT(R)およびCOMPLEGENT(TM)の、さらなる全世界の製薬企業やバイオ関連企業を対象とする技術ライセンス展開が期待されます。
以 上
POTELLIGENT(R)(ポテリジェント):協和発酵が独自に確立した高ADCC活性抗体作製技術。抗体が保有する糖鎖の中のフコースという糖の量を低減させた抗体を作製できる。それによりADCC活性を飛躍的に向上させ、標的細胞を極めて効率的に殺傷することが可能となる。これまでに動物試験レベルで、本技術を応用した抗体が、従来の抗体に比べ100倍以上高い抗腫瘍効果を示すことや、抗アレルギー抗体医薬の創出にも寄与できることを確認しています。
ADCC活性:ヒトが持っている免疫機能のひとつ。ナチュラルキラー細胞や単球などの白血球が抗体を介して癌細胞などの標的細胞を殺傷する活性のこと。
CDC活性:補体を介して標的細胞を殺傷する活性のこと。(補体:多細胞生物が異物に対し生体を守るため獲得した防御機構。抗原と抗体との複合体や病原微生物に結合すると活性化し、抗体の働きを補助したり、貪食細胞による捕食促進作用や溶菌作用を示す)
AccretaMab(TM)(アクリタマブ):当社が独自開発したPOTELLIGENT(R)とCOMPLEGENT(TM)をコンビネーションして活性を"増大(=Accretion)"させた抗体、という意味で、両技術を併用して作製した抗体を称する商標。