英ARM、米社とCortexプロセッサ・ファミリーの高性能実装作成で契約締結
ARMとIntrinsity、Cortex-R4プロセッサの性能を大幅に向上
ストレージ、プリンタ、ネットワーク・アプリケーションの最大動作周波数を倍増するCortex-R4Xプロセッサ実装
英ARM社(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:横浜市港北区、代表取締役社長:西嶋貴史、以下ARM)と米Intrinsity社は、両社がARM(r) Cortex(tm)プロセッサ・ファミリの高性能実装を作成するための契約を結んだと発表しました。最初の製品は、同じシリコン・プロセスで標準的な合成手法を使った場合の約2倍の周波数で動作するCortex-R4プロセッサの実装となる予定です。Cortex-R4Xプロセッサ実装は、すでにARMからライセンス供与可能です。
このARM Cortex-R4Xプロセッサ実装は、IntrinsityのFast14(r) 1-of-N Domino Logic(NDL)技術を組み込むことで、消費電力と実装面積を最小限に抑えつつ、回路速度を向上させています。そして非常に高い処理速度により、ハードディスク・ドライブ、プリンタ、ネットワーク機器などの量産型の組込み装置の単価を上げることなく容量とデータ転送速度の増加を可能にします。
ARMのプロセッサ部門 執行副社長兼ジェネラルマネージャであるGraham Buddは、次のように述べています。「マス・ストレージ、印刷、ネットワーク・アプリケーションは、高いデータ転送速度、多くのメディア・サービス、暗号化などの新しい機能に対応するため、常に性能の向上を必要としています。今回の契約により、当社はCortex-R4プロセッサの性能幅を広げ、そのようなニーズ、そして新しい市場のニーズにも対応することができます。」
Cortex-R4Xプロセッサ実装は、人気の高いCortex-R4プロセッサの高度な機能をすべて組み込んでいます。このため、次世代の組み込みシステムにおける複雑な制御アルゴリズムやリアルタイム動作を実行し、なおかつ電力効率を最大限に高めることができます。また、ローカルメモリ・アーキテクチャが極めて柔軟なため、密結合メモリ(TCM)を1つの論理アドレス空間に統一しつつ、キャッシュ・メモリと同じ性能を提供することができます。
容易なTCMに対するダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)のサポートにより、このメモリは共有バッファやストリーミングデータにも使用できます。さらに、すべてのバージョンのCortex-R4プロセッサは、メモリ・アクセスをモニタし、エラーを検出、訂正する組み込みエラー訂正コード(ECC)技術を装備しているため、信頼性と可用性に非常に優れています。最新のAMBA(r) 3 AXI対応バス・インタフェースは、ARM PrimeCell(r)ポートフォリオを使った高性能メモリ・バックプレーンの実装を可能にします。
Cortex-R4プロセッサのさまざまな構成が、幅広いシリコン・プロセスでCortex-R4X実装として提供される予定です。最初の実装は、TSMC 65LPプロセスのワーストケース動作条件において600MHzで動作します。これは、Cortex-R4プロセッサのサイクル精度実装として、同じソフトウェア・バイナリをすべて実行し、RealView(r) Development Suiteで完全にサポートされています。高速プロトタイピングとアーキテクチャの検討に対応するRealView SoC Designerでは、標準的なCortex-R4プロセッサ・モデルを使ってCortex-R4Xプロセッサ実装のサイクル精度モデリングが可能です。
IntrinsityのCEO(最高経営責任者)であるBob Russoは、次のように述べています。「Fast14テクノロジーを搭載したIntrinsity FastCoreは、非常に低い消費電力で画期的な組み込みプロセッサ性能を実現します。Cortex-R4Xプロセッサ実装の開発においてARMと緊密に協力することにより、ARMも当社も、電力効率を犠牲にすることなく性能を向上させた新しいSoCを短期間で市場に投入する方法を模索している多くの設計者層に訴求できるようになります。」
<提供時期>
Cortex-R4Xプロセッサ実装はARMからただちにライセンス可能ですが、デリバラブルの提供は2008年の第一四半期の予定です。ARMパートナーは希望の構成をあらかじめ決められた構成の中から選ぶか、または必要に応じてカスタム構成をオーダーすることもできます。
<Intrinsity, Inc.概要>
Intrinsity社は、独自のFast14設計技術を使い、FastCoresと呼ばれる高性能組み込みIPコア実装を開発する設計技術会社です。Intrinsityは、設計、ツール、技術、専門知識を提供することにより、お客様が高性能、低消費電力でコスト効果の高い製品を効率的かつ予測した性能で市場化するのを助けます。IntrinsityのFastCoreとFast14技術は、通常の合成されたスタティック回路技術を使って構築されたコアに比べ、劇的な性能向上を実現するだけでなく、速度、消費電力、実装面積のトレードオフによってお客様の設計目標に最適なソリューションを生み出す手段となります。本社は、米国テキサス州オースチンにあります。Intrinsityについて詳しくは、 http://www.intrinsity.com をご覧ください。
<ARM社概要>
ARMは、ワイヤレス、ネットワーク、デジタル家電、イメージング、自動車、セキュリティ、そしてストレージ機器といった高度なデジタル製品のコアとなる技術をデザインしています。ARMが提供する総合的な製品・IP(知的財産)には、16/32ビット組込みRISCマイクロプロセッサ、データエンジン、グラフィック プロセッサ、デジタルライブラリ、組み込みメモリ、ペリフェラル、ソフトウェア、開発ツールならびにアナログ機能や高速インタフェース製品が含まれます。 ARM は、ARMの幅広いパートナーコミュニティと共に、信頼性の高い製品を迅速に市場へ投入するためのトータルシステムソリューションを、大手エレクトロニクス企業に提供しています。ARMについて詳しくは当社Webサイトをご覧ください。( http://www.jp.arm.com/ )
※ARMはARM社の登録商標です。CortexはARM社の商標です。その他のブランドあるいは製品名は全て、それぞれのホールダーの所有物です。「ARM」とは、ARM Holdings plc、その事業会社であるARM Limited、各地域の子会社であるARM INC.、ARM KK、ARM Korea Ltd.、ARM Taiwan、ARM France SAS、ARM Consulting (Shanghai) Co.Ltd.、ARM Belgium N.V.、AXYS Design Automation Inc、AXYS GmbH、ARM Embedded Solutions Pvt. Ltd.、ARM Physical IP, Inc.およびARM Norway, ASの全部または一部を意味します。
Fast14はIntrinsity社の登録商標です。FastCoreはIntrinsity社の商標です。その他の商標は各社に帰属します。