住友化学、高分子有機ELデバイス開発の米CDT社を完全子会社化
Cambridge Display Technology Inc.社の完全子会社化について
住友化学は、本日、高分子有機ELのデバイス開発のパイオニアであるCambridge Display Technology Inc.社(以下「CDT社」)を買収し、住友化学の完全子会社とすることで、CDT社と合意いたしました。買収予定金額は約285百万米ドルです。CDT社は、本年秋頃に開催予定のCDT社の株主総会で本件に関する決議を得た後、住友化学が買収対価をCDT社の株主に支払うことにより住友化学の完全子会社となります。なお、CDT社の筆頭株主でありますKelso & Company社およびCDT社の株式を保有する同社経営陣、その他の株主等(合計で普通株式の約43%相当分を保有する株主)と住友化学の間で、株主総会において当該買収提案に賛成の議決権行使を行う旨の合意をいたしております。
有機ELデバイスは、高精細で視認性が高く、自発光であるため高速応答性に優れ動画が美しく、また、低消費電力で環境に優しい表示デバイスです。特に高分子有機ELは、発光層の形成方法として溶液系での印刷法が適用できるため、低コスト高生産性で大型パネルが製造でき、次世代のディスプレイとしての大型テレビ、あるいは照明などを中心に今後市場が急速に成長するものと予測されています。
住友化学は、表示材料を重点事業領域の一つとして位置付け、液晶表示装置用部材の事業拡大を進めるとともに、高分子有機ELを始めとする次世代表示材料の開発に注力しています。高分子有機ELについては、1989年に開発を開始しましたが、2001年にCDT社の関連会社と発光材料に関するライセンスを含む技術援助契約を締結するとともに、2002年には出資も行いました。さらに、2005年には、CDT社の関連会社と発光材料の開発、製造、販売の合弁会社「サメイション株式会社」を設立し、高分子有機ELの事業化に向けて密接な協力関係を築いてまいりました。現在、発光材料の性能は著しく向上し、ディスプレイ用途等での実用レベルに到達しています。
CDT社は、有機ELに関するデバイスおよび材料の基本的な知的財産を多数保有しており、一方、住友化学は、材料開発に関する高度な知見に加え、化学素材全般にわたる豊富な技術や人材を有しております。今回の買収で、両社の経営資源が融合され、発光材料やデバイス関連材料の性能向上とともに、デバイス製造のための実用化技術開発が一段と加速されることにより、“材料からプロセスまでのトータルソリューション”の顧客への提供が可能となります。さらに、ディスプレイメーカーとのアライアンスも視野に入れ、大画面高品位テレビをはじめとする本格的有機ELディスプレイの早期の事業化に向けて一層注力してまいります。
以上