凸版印刷、国重要文化財「宋版漢書慶元刊本」の高精細デジタルアーカイブを完成
国重要文化財「宋版漢書慶元刊本」をデジタルアーカイブ化
~世界に三組のみ現存する、松本市所蔵の文化財を高精細アーカイブ化、広く一般公開へ~
凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:足立直樹、以下 凸版印刷)は、長野県松本市(市長:菅谷 昭)の所蔵する国重要文化財「宋版漢書慶元刊本」(そうばんかんじょけいげんかんぽん)の高精細デジタルアーカイブを完成しました。またあわせて研究者向け全ページ収録データベース、一般公開用解説コンテンツ(専用端末版・インターネット公開版)、研究者向け影印本(レプリカ本)も作成しました。
デジタルアーカイブは全60巻、5,500ページに渡り、市制100周年の記念行事のひとつとして、松本市美術館(住所:長野県松本市、館長:米倉 守)で2007年8月11日から8月26日まで開催される展覧会、「国重要文化財「宋版漢書慶元刊本」の世界-松原葆齋(まつばらほうさい)の足跡-」展において、本アーカイブおよび解説コンテンツが公開されます。同時にインターネットでコンテンツの公開を開始します。
(http://www.city.matsumoto.nagano.jp/index.html)
【宋版漢書慶元刊本とは】
漢書は中国の三大史書(史記・漢書・後漢書)の一つで前漢時代(紀元前206年~紀元後8年)を扱った正史です。中国の南宋時代・慶元年間(西暦1195~1200)に出版されたことから、慶元刊本と呼ばれています。
宋版漢書慶元刊本は文化庁(国宝上杉本:国立歴史民俗博物館所蔵)と中国の北京図書館、そして松本市所蔵の三組しか現存していない、極めて貴重な文化財であり、1980年に国の重要文化財に指定されています。
松本市所蔵の宋版漢書慶元刊本は儒学者松原葆齋が所蔵していたものです。欄外に注記や書き込みが多く見られることが特徴で、室町時代の五山僧(ござんそう)による研究の足跡が伺えます。
【背景】
長野県松本市は1907年に設立され、本年2007年が市制100周年にあたります。
市制100周年記念事業の一環として、所蔵する国重要文化財「宋版漢書慶元刊本」の影印本の出版を計画していました。 この計画にあたり、凸版印刷は研究者のみへの貢献となる影印本の出版だけではなく、広く一般市民に向けた文化財の公開を可能にする高精細デジタルアーカイブ化を提案しました。
研究者向け影印本、研究用データベース、更に広く市民に公開することが可能な解説コンテンツ(専用端末版・インターネット公開版)を制作する提案内容が高く評価されました。
【制作物に関して】
■研究者向け全ページ収録データベース(DVD)
・影印本各セットへの付録、今後の研究促進の為に細部書込を読むための拡大機能、研究メモ保存機能、ブックマーク機能などの機能を充実し、デジタル化した全ページを収録しました。
■一般公開用解説コンテンツ (専用端末版、インターネット公開版)
・研究者以外にも分かりやすく漢書がどのようなものかを解説、現在も使われる諺や、劉邦(漢帝国の創始者)などの有名人が出てくる事を紹介し、漢書を身近に感じてもらう構成になっています。・松本市の著名な学者であり、漢書を松本市にもたらした「松原葆齋」にスポットをあて解説しています。・美術館など松本市の施設に設置する専用端末版コンテンツにはタッチパネルを使用し、凸版印刷が開発した博物館・展示システムを使用しました。アーカイブした漢書を高精細な画像で閲覧出来るほか、松本市所蔵本の特徴について詳しく紹介しています。
■研究者向け影印本
アーカイブデータを全面的に活用した影印本とデータベース(DVD)のセットを以下三種類作成。
・復刻本60冊フルセット+DVD+解題
・復刻本1冊+DVD+解題 (※)
・縮刷本 全3巻(解題含む)+DVD (※)
※参考画像を参照
【今後の展開】
解説コンテンツは、展示会終了後も松本市の文化施設で視聴することができます。凸版印刷は今後も長年培ったデジタルアーカイブのノウハウを活用し、高品質な文化資産のアーカイブ化と活用を推進いたします。
※これら2種類については販売されます。
お問合せ先:松本市教育委員会 文化財課
TEL:0263-34-3292
以 上