富士経済、国内食品ギフト市場調査結果を発表
― 精肉類ギフトは2007年度に前年比6.1%増の700億円の見込み ―
国内食品ギフト市場の調査を実施
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 03-3664-5811)はこのほど、「形式を重視する贈答」から「身近な人への感謝の気持ち」や「自分に対するご褒美」など、パーソナルシーンが拡がり続けるギフト市場を調査した。その結果を報告書「食品ギフト市場マーケティング総覧 2007」にまとめた。
本報告書では、食品ギフトとしてアルコール飲料5品目、嗜好飲料6品目、清涼飲料3品目、調味料・調味食品4品目、ステープル2品目、水産加工品3品目、乳油・畜産加工品2品目、菓子類3品目、デザート2品目、生鮮三品3品目の合計33品目と、非食品ギフトのバス・トイレタリー2品目を調査し、目的やチャネル別のギフト市場の分析と商品価格やトレンドなどを考察したほか、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、ギフト専門店の4チャネルにおけるギフトに対する取り組みを明らかにした。
<注目品目の動向>
◆精肉類◆
2006年度 前年比(%) 2007年度見込 前年比(%)
660億円 110.0 700億円 106.1
精肉類ギフトには肉単体の商品以外に、冬場には鍋物セットとしても品揃えされる。牛肉の品揃えが最も充実しているが、豚肉や鶏肉、猪肉、鴨肉などについてもブランド肉や銘店のメニューセットが展開されている。精肉類は、チョイスカタログの中でも人気商品で、特に歳暮期にはカタログ掲載数の半数近くを占める。生鮮ギフト全体が伸びている中で、06年度は前年比10%増の660億円と拡大した。
精肉類の需要はシーズンギフトが中心となっているが、身近な人へ美味しいものを贈りたいというニーズから母の日・父の日や敬老の日などで増えている。また、チョイスカタログで精肉類が選ばれるケースが多くなっている。牛肉では「松阪牛」、「米沢牛」、「近江牛」、「神戸牛」、「佐賀牛」などブランド肉の人気が高い。また、豚肉や鶏肉についても「黒豚」や「名古屋コーチン」といった認知度の高いものの方が安心して贈れるため、認知度の高さが人気の高さに比例している。価格帯は牛肉では5,000円以上、豚肉や鶏肉などでは3,000円台からと幅広いが、売れ筋価格帯は5,000円前後と10,000円前後である。精肉類ギフトの価格は比較的高めに設定されるため、スーパーやCVSでの取り扱いが少なく、百貨店が60%を占めている。ギフト専門店でも差別化アイテムとして、精肉類をはじめとした生鮮品に注力するケースが目立ってきている。
今後も商品面では肉の美味しさや贅沢感を満喫できるブランド肉と銘店ブランドによるメニューセットの商品化が中心と予測されるが、販売面では各社共に有名ブランド肉や銘店ブランドの商品化に集中するため差別化が難しくなると思われる。
◆米菓◆
2006年度 前年比(%) 2007年度見込 前年比(%)
338億円 104.8 348億円 103.0
米菓ギフトの利用は、歳暮の占める比率が高いが、日持ちがよく、シーズンを選ばないため中元・歳暮に限らず、手土産や返礼ギフト、お供え物など幅広く利用されている。歳暮や年賀用途の需要は、若年層のギフト離れや産地直送品、パティシエスイーツなどに押されぎみであるが、「ぬれせんべい」などの差別化商品の人気や、手土産利用の増加などから市場は拡大しており、06年度は前年比4.8%増の338億円となった。しかし、スーパーやGMSでの早期割引販売などによる単価の下落で、販売量の伸びほど販売額は伸びていない。
直営店舗販売や通信販売に強いもち吉、播磨屋本店、小倉山荘といった老舗メーカーや、スーパーに強い亀田製菓や岩塚製菓、栗山米菓などがシェア上位にあるため、直営店舗販売や通信販売が34%、スーパーでの販売が24%となっている。
シェアトップのもち吉は、直営店舗数の増加により順調に売上を拡大させている。「良品廉価」をテーマに、スーパーやCVSを中心に展開している亀田製菓は、06年発売の「彩結び」を07年にリニューアルする予定で、売上回復を目指している。年商の約6割を通信販売が占める播磨屋本店は、06年度に相次いで新商品を発売したことで売上はプラスに転じ、07年度も引き続き売上増が見込まれる。直営店舗販売を主体に、あられ、煎餅、おかきなどの詰合せ商品を得意とする小倉山荘は、商品力と直営店舗数の増加によって播磨屋本店と肩を並べる売上高となった。04年度に亀田製菓の子会社となったとよすは商品を厳選してリニューアルを行ったことで順調に売上を伸ばしている。
近年の売れ筋価格帯は1,000円~2,000円であるが、中元・歳暮については2,500円~3,000円の商品の割合が高まる。また、高級感のある商品や、単体セットよりも個包装や小量多品種のバラエティセットが好まれている。今後は商品面では原料や製法へのこだわりと、色々な米菓やデザート、お茶などの他の品目との詰合せ商品の拡充が予測される。
◆野菜系飲料◆
2006年度 前年比(%) 2007年度見込 前年比(%)
40億円 105.3 41億円 102.5
06年度も前年度に引き続き天候不順であったが、参入各社が商品ラインナップを強化してきたことや、消費者の健康意識の高まりが追い風となり市場は前年比5.3%増の40億円となった。健康志向や自然志向の強い消費者の需要を獲得し、07年度も引き続き市場の伸びが見込まれる。
野菜系飲料は、清涼感からサマーギフトの比率が最も高いが、日常の健康意識の高まりを受けて、近年はウィンターギフトとしての需要も高まっている。また、法人が粗品やキャンペーンに野菜系飲料を採用するなど需要が拡がっている。
シェアトップのカゴメは、取り扱い店舗の増加や、法人需要の増加、更にメインアイテムが好調で、06年度の売上を伸ばした。07年度も、「野菜生活」をリニューアルし"野菜の4原色"を積極的にPRすると共に、地域特性などに合わせたきめ細やかな商品・販促提案に引き続き注力しており、順調な売上の伸びが見込まれる。野菜系飲料は、依然百貨店とスーパーでの取り扱いが主となっているが、伊藤園は店舗販売に加え、通信販売でも限定ブランドを投入し積極的に展開している。通信販売を主体に展開しているサンスターは、利用者の中心が通常商品のリピーターとなっていることから売上は安定している。
野菜系飲料ギフトはシーズンギフトとしてだけではなく、手土産や返礼などのデイリーギフトにも対応するべく商品が品揃えされているが、売れ筋価格帯は3,000円前後となっている。商品トレンドは各社主力商品と他2種類以上の詰合せが主流となっている。また、ギフト専用商品を詰め合わせた特別感のある商品も見られる。
◆健康油◆
2006年度 前年比(%) 2007年度見込 前年比(%)
215億円 104.2 220億円 102.3
健康油は、健康志向によって特定保健用食品への関心の高まりとともに拡大し、食用油全体の約6割を占めるほどになった。しかし、通常店頭価格の下落や目新しさが薄れたことで成長が鈍化し06年度は前年比4.2%増の215億円、07年度については同2.3%増の220億円にとどまると見込まれる。
健康油のパイオニアである花王「健康エコナ」は、06年度にシェア5割を下回ったものの、圧倒的なブランド力でトップシェアを維持している。07年度は、「エコナドレッシング」を投入し、「健康エコナ」のブランド力を活かしたラインナップを展開している。日清オイリオ「ヘルシーリセッタ」/「ヘルシーコレステ」や味の素「健康サララ」(共に特定保健用食品)は、積極的なCM展開が奏功し、06年度にシェアを拡大した。特に日清オイリオは、べに花油など他の油との詰合せギフトを充実させたことに加えて、07年度はサントリーの「黒烏龍茶」を詰め合わせたバラエティセットの投入で更なるシェアの拡大が見込まれる。昭和産業の「オレインリッチ」(栄養機能食品)は、オレイン酸の特長を訴求して展開しており、一定のシェアを保っている。
今後も消費者の健康志向は継続し、他の食用油や調味料などと詰め合わせたバラエティギフトへのニーズが高まると予想される。
(※ 調査結果の概要などは関連資料を参照してください。)