帝人ファイバー、ポリエステルクッション材「エルク」が次世代新幹線「N700系」に採用
次世代新幹線『N700系』に
ポリエステル製のクッション材「エルク(R)」が採用されました
帝人ファイバー株式会社(本社:大阪市中央区、社長:唐澤 佳長)が生産・販売する高機能・新ポリエステルクッション材「エルク(R)」が、次世代新幹線『N700系』の普通席車両のシート材として採用されました。
『N700系』は2007年7月1日より営業運転を開始した次世代新幹線で、極めて高い車内快適性が実現されています。このたび「エルク(R)」は、そのシート材として背もたれの部分に採用されました。既に納品して使用されているものも含め、帝人ファイバーはシート6万個強に相当するシート材を順次納入していきます。
帝人ファイバーでは、かねてより製品事業の強化に向け、鉄道車両のシート材として「エルク(R)」の拡販を進めてきましたが、このたび日本を代表する技術のシンボルである次世代新幹線のシート材として採用されたのを契機として、今後、各種用途への拡大展開を図っていきます。
なお、これとは別に帝人化成株式会社の特殊ポリカーボネート樹脂「パンライト(R)」製の窓が『N700系』に採用されており、このたび「エルク(R)」がシート材として採用されたことにより、帝人グループが、より幅広い用途で『N700系』を構成する部材を供給することになります。
詳細は下記のとおりです。
記
1.背景
(1)従来、鉄道車両のシート材にはウレタンが使用されていましたが、最近では、消費電力の節減、加速性向上に向けた軽量化や、リサイクルの可能性などを求められることが多く、帝人ファイバーでは、それらの要求特性を満たす素材として、高機能・新ポリエステルクッション材「エルク(R)」の展開を図ってきました。
(2)その結果、現在では、日本全国のJRグループおよび私鉄各社が保有する全鉄道車両約5万両のうち、約20%が「エルク(R)」を使用したシートを装着しています。とりわけ首都圏をはじめとする大都市圏の通勤電車においては、その比率がさらに高くなっています。
(3)こうした中で今回は、従来の成形加工技術を進化させた特殊な技術、および「エルク(R)」やPTT繊維「ソロテックス(R)」など独自機能繊維による複合材料技術によって3次元構造体を開発し、その軽量性と耐久性、さらには環境配慮型設計であることが評価を得たことにより、『N700系』のシートの背もたれ部分に採用されることになりました。
2.製品の特徴
(1)このたび採用されたシートの背もたれは、同体積のウレタンタイプとの対比で、約20%の軽量化を実現しました。
(2)シートの背もたれは「エルク(R)」とPTT繊維「ソロテックス(R)」の複合材料を用いた3次元構造体ですが、表皮部に「ソロテックス(R)」を用いたことにより、従来の「エルク(R)」を使用した通勤電車用シートと比べ、着座時のフィット感がさらに向上しました。
(3)「エルク(R)」は、中空で嵩高性のある繊維と特殊バインダー繊維の交錯部を溶融結合することにより作られているため、柔軟でありながら、しっかりと結びついた立体構造を維持することができます。また、これにより耐久性に優れ、弾力性が長持ちします。
(4)この立体構造により、空気や水蒸気が通る隙間を充分に確保することができ、ウレタンタイプとの比較では、透湿性に優れ、ムレにくくなっています。
(5)材質がポリエステルであるため、完全循環型リサイクルシステム「エコサークル(R)」によってリサイクルすることも可能です。
3.今後の展開
(1)本年11月にドイツ・ケルンで開催される鉄道車両用インテリア素材の展示会に出展を予定しており、EU諸国へのアプローチを開始します。
(2)自動車シート材、航空機シート材、家具などの用途への参入を目指し、販売の拡大を図っていきます。
以上
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