NECエレクトロニクス、低耐圧パワーMOSFETとシステム電源IC事業を強化
パワーMOSFETおよびシステム電源IC事業の強化について
NECエレクトロニクスはかねてより、パワーMOSFETやダイオードなどのディスクリート、システム電源ICやモータドライバなどのIC、およびリニアCCDやアナログ専用ICなどの半導体事業を「パワーマネジメントデバイス事業」と総称して、製品の開発・生産・販売活動を展開しておりますが、このたび、同事業分野において低耐圧パワーMOSFETおよびシステム電源ICを同事業分野における注力製品のひとつと決め、より一層積極的な事業運営を図ることにいたしました。
今回強化する低耐圧パワーMOSFETは、自動車のパワーステアリング、電源、モーター、液晶パネルのバックライトなどのオン/オフを行う機能を持ち、幅広い分野で応用されているディスクリートです。当社は、マレーシアにある生産拠点のパワーマネジメントデバイス製品の生産能力を50%増強すること、事業部内のリソースをシフトさせ今後1年間で18品種の開発に着手すること、などを行うことにより、2010年度までに低耐圧パワーMOSFETの分野で世界第2位のシェア獲得を目指します。また、システム電源ICはひとつの製品で携帯電話やデジタルスチルカメラなどの機器全体の電源を制御するICです。当社はこの分野において、社内に分散していた開発リソースの統合を行い、開発の効率化による積極的な製品拡充を図ることで、2010年度の売上が200億円に達する事業へと育成します。
これらの事業強化を図ることにより、パワーマネジメントデバイス事業の売上を2006年度の830億円から、2009年度には1,155億円にまで拡大させる計画です。当社のパワーマネジメントデバイス事業は、「Only1 or No.1」をキャッチフレーズとして、世界で唯一当社が事業化している製品、または世界シェア第1位の獲得が可能な製品を戦略製品と定め、事業を展開してまいりました。この事業方針により、デジタルスチルカメラや携帯電話のカメラレンズなどを駆動させるモータドライバ、スキャナやコピー機などの光学読み取り装置に搭載されるリニアCCDなど、多くの製品が現在世界で唯一の製品または世界トップ5のシェアを獲得する製品に育っております。
当社は2006年12月、パワーマネジメント事業を3年間で35%成長させ2008年度には1,000億円の事業に成長させることを決め、その実現を目指し積極的な事業を推進してまいりました。その結果2006年度は計画通り前年度比12%アップの830億円の事業規模まで成長させることに成功いたしました。しかしながら、近年では海外半導体メーカーの低価格攻勢により競争が激化しており、競争力がある分野でいかに効率的にリソースを投入し、市場から認められる製品を提供することが、事業成長を成長させる課題となっております。
このような状況のなか当社は、パワーマネジメントデバイス事業を成長させるためには、すでに世界トップクラスの製品や当社だけが事業化している製品に加え、さらに低耐圧パワーMOSFET、および今後の市場成長が望めるシステム電源ICを注力製品と定め、事業をより一層強化する必要があると判断いたしました。
当社がさらに注力する事業の概要は次の通りとなっております。
1.パワーMOSFET事業
(1)当社の技術とポジショニング
高耐圧と低オン抵抗を両立させる「スーパージャンクション」構造を採用した当社独自のUMOSプロセス技術、およびマルチボンディング、ワイヤレスボンディングなどオン抵抗値低減効果が高いパッケージ技術、などに基づいた高品質の製品を提供している。特に車載用製品では、2007年4月に業界トップクラスとなる1.2ミリオームという低オン抵抗性能と同時に180アンペアまでの大電流に対応し、かつエンジンルームへの搭載を可能とする摂氏175度という高温動作を保証した製品を開発した。現在、特に低耐圧のパワーMOSFET分野では市場シェア世界第3位となっている。
(2)施策
NECセミコンダクターズマレーシアのMOSFETの生産能力を現在の月産3.8億個から2009年度までに月産5.8億個に50%増強する。また、事業部内のリソースを再配置することで、本年度中に18品種の製品開発に着手する。うち、12月までに開発に着手する40V耐圧および55V耐圧製品計4品種に関しては、本年12月中に製品化する。
2.システム電源IC事業
(1)当社の技術とポジショニング
ASIC事業で培ってきた技術の蓄積により、DC/DCコンバータコア、アナログコアなどの豊富な回路設計資産や大電力対応が可能なCMOSプロセス技術を有している。これらの技術を活用することにより、主として国内向け携帯電話、デジタルスチルカメラ、携帯ゲーム機などの実装面積が限定され、低消費電力が必要とされる携帯機器に対して製品を提供している。売上およびシェアは、2006年度において68億円を売上げ、国内市場シェア第3位となっている。
(2)施策
構造改革計画に基づき、社内に分散していたアナログ技術者をはじめとする開発リソースの統合を行いシステム電源ICの設計に従事させることで、開発の効率化を目指す。
そして新製品開発件数を、2010年度までには従来の2倍となる12製品程度となるように製品の開発行えるよう、積極的な製品拡充を図る。そして同事業を2008年度には2006年度比2倍となる130億円、2010年度には同3倍となる200億円の売上を目指す。当社はパワーマネジメント事業を当社の収益を支える事業分野であると考えており、これらの施策を着実に実行することにより、事業拡大を図りたいと考えております。
以 上