ローム、非極性青紫半導体レーザーの室温連続発振を実現
ロームが非極性(m面)青紫半導体レーザで室温連続発振を実現!
緑色半導体レーザの実用化に向けて前進!
ローム株式会社は、このほど、非極性窒化ガリウムを結晶成長する技術を確立し、青紫半導体レーザの試作に成功しました。
今回の開発では、結晶成長において難しかった問題をローム独自の技術で完全に解決し、半導体レーザの室温連続発振を実現しました。また、今回の技術を応用することで緑色半導体レーザの開発も可能になることから、半導体レーザのR.G.B.3原色化の実現に向けて大きく前進したことになります。
〔技術の一般的説明〕
分極の無い面を使用すれば、電流を変えても一定の波長で、かつ効率良く発光させることができます。
さらに、偏向した光なので低電力でレーザ発振しやすくなります。
〔これまでの技術、現在の状況(背景)〕
現在は、窒化物半導体を用いた405nmの波長をもつ青紫半導体レーザが実用化され、次世代DVDなどの高画質メディアのピックアップ用光源として使用されています。
〔既存技術〕
これらの半導体レーザは、高温の環境下で結晶を成長することで作製されます。この結晶を成長するときに、従来の技術ではc面と呼ばれる面方位に結晶成長をしていました。
〔新技術〕
今回は、m面を使用する結晶成長において、これまで問題だった積層欠陥(断層のような結晶のずれ)を完全に無くす技術を独自に開発しました。この技術を使用して、404nmの半導体レーザの室温連続発振を達成しました。試作した半導体レーザは導波路幅が1.5μmで導波路長が600μmと典型的なものです。端面コート前で、28mAの発振閾値を得て、従来のc面を使用した青紫半導体レーザと同等以上の特性を得ました。
偏向した光を発生できる非極性面の特徴を最大限利用するように導波路を形成しているため、レーザ発振しやすいデバイス構造になっており、さらに低消費電力化も可能となります。
〔技術の波及効果〕
ロームは、現在、青色領域(460nm)の半導体レーザの試作を行っており、今年中には、さらに長波長化して緑色半導体レーザ(532nm)の発振をめざします。従来のc面を使用した技術では、470nm程度までの発振までしか発表されていません。これらのR.G.B.のレーザ光源が実現されれば、NTSCの1.5~1.7倍の色領域をもった大画面・高画質ディスプレイが可能となります。また、緑色半導体レーザができれば、超小型のプロジェクタが可能で、プロジェクタ搭載の携帯電話などの登場が期待されます。今後、ロームは、この新しい材料である非極性面であるm面を使用した発光デバイスの開発を進めていきます。
〔補足〕
ロームは、2006年のCEATECで同じm面を使用した青色LEDを展示し、実際に、偏向する光をデモンストレーションしました。
LEDからの発光がそもそも偏向しているこの特性を活かして、コンパクトかつ高効率の液晶バックライトの普及が期待されています。また、すでに緑色領域でのLEDを試作し、電流の増減に対して波長が変動しない特徴を確認しており、これが緑色半導体レーザ実現の可能性を示すものと考えています。
<ご参考>
非極性面(m面)を使用した青紫レーザの特性
(※ 関連資料を参照してください。)
以 上