島津製作所、マルチスライスCTを搭載した高性能PET/CTを開発
マルチスライスCTを搭載した高性能PET/CTを開発
―今春発売に向け、東芝メディカルシステムズ(株)と合意―
株式会社島津製作所(本社:京都府京都市、社長:服部重彦)は、がんの発見に役立つことから普及し、世界最高性能として定評のある自社製PET装置に、国内外のCT市場で実績のある東芝メディカルシステムズ(株)(本社:栃木県大田原市、社長:桂田昌生)から供給を受けたマルチスライスCTを組み合わせ、一度の検査でがんの発見だけでなく、がんの正確な位置、性質、周辺臓器との位置関係などの診断に役立つ新型の高性能PET/CTの開発を進めており、この度、完成後の同新製品を島津製作所が国内販売することに関し、両社が合意しました。 今後当社は、4月に開かれる国内最大の展示会「国際医用画像総合展」への出展と、今春の市場投入を目指し、継続して開発を進めていきます。
【新型PET/CTの概要】
全身用としては世界最高の分解能と検査効率を有するPETとマルチスライスCTを組み合わせた新型の高性能PET/CTは、医療現場の課題であり、これまで島津製作所が開発コンセプトとしてきた「人にやさしい低被ばくでの検査」を継承して開発を進めているものです。
新製品は、従来の当社PET装置が有していた高分解能と、高い検査効率(短時間収集機構搭載)を発揮しつつ、高速で広い全身視野をCT撮像できることから、がんの転移や再発の検索などの幅広い検査が可能なため、最近の臨床現場からの要望にも応えることができます。また、PET検査での画像構成において必須の画像補正に、X線CTを使用せず、被ばくの少ないPET検査専用の線源を使用するため、高分解能PETで初期病変をとらえた上で疑いがある部分のみを高速CTで精査する検査方法をとることができ、患者の被ばくを必要最小限に抑えることができます。
さらに一体型のPET/CTでありながら、PET部とCT部が分離独立して機能する個別移動型ガントリであるため、患者の閉塞感などの不安感が減少する他、主にがんの検査を行うPET/CT検査だけでなく、脳機能の検査などで行うPET検査、造影CT検査など、検査装置をフレキシブルに使用できます。
【開発の背景と今後の展開について】
島津製作所は、約30年前からPET開発を手がけてきた国産唯一のPETメーカーとして定評があり、2004年春には、世界最高の分解能で、高感度のPET装置を開発、市場投入しました。PETは、以前は主に脳機能の検査、研究で使用されるものでしたが、がんの発見に役立つことから注目され、さらに患部の詳細な形や位置、性質、周辺臓器との位置関係の把握に有用なCTと組み合わせたPET/CTの開発とその普及により、PET/CTの市場は、今年度は130億~150億円になると推測されます。
そこで当社は、国内外のCT市場で実績のある東芝メディカルシステムズ(株)からマルチスライスCTの供給を受け、世界最高性能の自社製PETとの組み合わせにより、新型の高性能PET/CTを開発、国内市場に投入し、島津製作所が販売、子会社の島津メディカルシステムズがサービスを行う予定です。3年後には国内PET/CT市場でのトップシェア獲得を目指します。