宇部興産、低温柔軟性に特徴がある素材「UBESTA XPA」がスキーブーツ材に採用
ポリアミド12エラストマー「UBESTA XPA(R)」が
REXXAMのスキーブーツ材に採用。
宇部興産(株)(社長:田村浩章)が独自に開発したポリアミド12エラストマー「UBESTA XPA(R)」が、国内のスキーブーツメーカーである隆祥産業株式会社(社長:岡野晋滋)の新モデル「REXXAM DATA line DATA-150R(*)」および「DATA-130R(*)」の主材に採用された。
スキーブーツに一般的に使われる材料としてはTPU(熱可塑性ポリウレタン)が代表的であるが、TPUは低温時に硬くなることや比重が大きく(1.20~1.25)、また、温度変化でトルク特性が変化し、微妙なスキーコントロールを要求されるプロスキーヤーなど上級者への対応が難しかった。
欧州のプロスキーヤー向けにさらにトルクの高いブーツを開発していたREXXAMは、温度変化の少ない材料を求めていたが、低温での柔軟性を維持しつつ、低温での耐衝撃性、耐摩耗性、軽量性など、REXXAMの高い要求レベルをクリアした材料が「UBESTA XPA(R)」であった。
スキーブーツ主材としての「UBESTA XPA(R)」の特徴は以下のとおり。
1)低温柔軟性(低温でも硬くならない)
2)優れた成形性(高い意匠性を要求されるスキーブーツに良い外観を与えることができる)
3)軽量(TPUの比重は1.2~1.25だが、XPAは1.01と低比重)
4)耐傷付き性、耐摩耗性(磨耗性は最も優れると言われるTPUに匹敵)
5)耐衝撃性(低温での衝撃に強い)
「UBESTA XPA(R)」は2004年に開発に成功、現在山口県の宇部ケミカル工場で年300t生産されており、主にスポーツシューズの靴底部材、電動工具カバー材や低温倉庫用キャスター部材向けに販売されている。
宇部興産では、今後、「UBESTA XPA(R)」の優れた特性を活かした用途開発に注力すると共に、これらの特性を更に伸ばす技術開発を一層推進していく意向であり、2010年には売上高22億円を目指す。
(*)数値はスキーブーツのトルクを表わす。数値が大きいほうが硬い。通常日本では110程度が上級者モデル。欧州では130程度。今回REXXAMはトルク150を初めて手がけた。
【参考】・・REXXAMカタログより
(※ 関連資料を参照してください。)