富士経済、DNAチップ・再生医療など国内のバイオビジネス市場調査調査結果を発表
DNAチップ、再生医療など国内のバイオビジネス市場調査を実施
-バイオ医薬市場は2016年に7,600億円超へ(06年比 176%)-
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄03-3664-5811)は、研究支援分野のDNAチップ、医療分野の抗体医薬、再生医療、テーラーメイド医療などを中心に期待される国内のバイオビジネス市場の試薬・機器、医療などの28分野と受託サービス7分野について調査を行った。このほど、その結果を報告書「2007 バイオビジネス市場」にまとめた。
<調査結果の概要>
1.バイオビジネス全体市場(国内)
※ 関連資料参照
2004年―2016年の動向
今回調査を行った医療市場(遺伝子組換え、抗体医薬、遺伝子診断、バイオセンサー、再生医療など) と研究支援市場(タンパク質などの解析機器・試薬、オリゴ合成・遺伝子診断などの受託サービス)を合わせたバイオビジネスの全体市場は、06年で約7,500億円であり、04年から2年間年平均約7%で伸びた。
医療市場では、抗体医薬が年平均36%で成長してバイオ医薬分野の年平均9%の伸びに貢献した。
研究支援市場は04年の国公立の研究機関の独立行政法人化にともなう大型機器の買い控えが影響し、04年はマイナス成長となって全体の伸びを抑制する要因となった。その結果04年からの年平均成長率は約5%であった。
今後の全体市場は10年で約9,500億円、16年で約1兆2,000億円と推測される。06年を100とした伸長率は10年126%、16年160%で、年平均成長率は5%と予測する。研究支援分野は、同じ期間で年平均2%強の成長にとどまるが、医療市場分野はバイオ医薬部門が6%に迫るいきおいから、全体では年平均5%を超える伸びを続けると推測する。
今後期待される品目は、医療分野の抗体医薬、予知診断、テーラーメイド医療、研究支援分野のDNAチップ、セルシグナル関連試薬である。しかし遺伝子、タンパク、疾患・生体活動のネットワークの解明にはまだしばらく時間が掛かり、予知診断、テーラーメイド医療が本格的な市場を形成するのは16年以降となると推測される。
2.市場別の推移
(1)医療市場(バイオ医薬、診断、その他)
2006年6,385億円 2016年予測1兆619億円(対06年比 66%増)年平均成長率5.2%
04年にバイオ医薬品市場において実績を大きく拡大した抗体医薬が06年にかけて年平均36%の成長を示してバイオ医薬品市場を牽引した。また分子標的医薬品市場も年平均13%で拡大しており、期待のかかるバイオ医薬品として成長を続けている。抗体医薬の中で注目されるのは1,000億円市場の可能性のある抗リウマチ生物製剤である。糖尿病患者が年々増加しているため、バイオセンサー(血糖自己測定装置、診断薬)が売上を伸ばしており、医療市場のその他分野の06年売上において90%以上を占めている。
診断市場は、中心となるモノクローナル抗体が保険点数を引下げられて伸びなかった。しかし遺伝子診断はHCV、HBVの患者数が増加して04年以降年平均9%以上の成長を示している。また予知診断の市場は、小さいが体質検査、疾患リスク検査というダイエットを目的とする肥満遺伝子のタイプ判定市場を中心に04年以降年平均60%近く成長している。今後、薬剤感受性検査を中心としたヒト遺伝子診断、一般消費者をターゲットとした予知診断(体質検査)が一挙に市場を形成する可能性もある。
その他の分野では、今後も高齢化の進行により、生活習慣病患者の増加が見込まれ、血糖自己測定装置・診断薬は順調に伸びていくと見込まれる。
(2)研究支援市場(解析試薬・機器、受託サービス)
2006年1,128億円 2016年予測1,429億円(対06年比 26.7%増)年平均成長率2.4%
04年、ゲノム解読関連装置市場での国家の大型プロジェクトが終了、06年にかけて解析試薬・機器の不振、受託サービスの低価格化、国公立大学が独立行政法人化などの影響を受け停滞した。しかし、近年はゲノム解読に代わり、タンパク関連研究、細胞関連研究が盛んであり、それに使用される質量分析やセルシグナル関連試薬などの実績が拡大している。また研究試薬は装置に比べ全体としては堅調に推移して、各社とも試薬の販売に注力している。
受託サービスの市場ではオリゴ合成が競合間の価格競争を激化し売上が減少している。また、プロテオーム解析も大型プロジェクトの終了によって市場は減少している。逆にペプチド合成、遺伝子発現解析、遺伝子多型解析は、ノンコード遺伝子の基礎研究の活性化、SNPs(スニップSingle Nucleotide Polymorphismの略=一塩基多型)の医療応用の具体化が進んでいる。
06年以降、全体の伸びは年率2%程度であり、市場全体の伸びは期待出来ない。ただDNAチップ、質量分析装置、セルシグナル関連試薬、セルイメージング装置などは今後大きく期待出来る。受託サービス市場では遺伝子多型解析、遺伝子診断ではある程度の伸びが期待出来る。
3.注目される分野
●抗体医薬
2006年 799億円 2016年予測 2,500億円(対06年比 313%増)年平均成長率12%
抗体医薬とは、生物の体内で免疫反応をつかさどる「抗体」というタンパク質を利用した医薬の総称である。がん細胞など標的細胞だけに結合する抗体の性質を利用して患部をピンポイントで攻撃する事ができ、従来の医薬品では難しい難病の治療や副作用の低減が期待できる。
市場は急拡大を続けると予測される。抗体医薬に注目が集まる要因は、副作用が少ないことと、臨床試験を開始した後に中止になるリスクが少ない事が製薬企業にとって魅力となっているからである。10年頃までは、抗リウマチ生物製剤を中心に一挙に拡大すると思われる。また、抗癌剤市場も既存品の伸びに加え新製品が発売される可能性も高く、16年で2,500億円市場になると予測する。ただ抗癌剤市場は化学療法剤、ホルモン製剤との使い分けが行われるため、11年以降の伸びは鈍化すると推測する。今後も既存治療薬で十分な効果が得られない分野で新薬が開発され市場が拡大していくと見込まれる。
●DNAチップ
2006年 101億円 2016年予測 180億円(対06年比 77%増)年平均成長率6%
DNAチップは価格低下(1枚あたり4万円台)により、06年13万枚と前年比二桁の成長を続けている。今後は診断用としての開発も進められており、チップの枚数は伸び続けると予想される。06年から診断用に対応するチップも発売され始めた。使用される分野は、遺伝子発現解析が70%以上、SNPジェノタイピングが20%を占めており、近年SNPジェノタイピングが伸びている。プロジェクトが5年サイクルで活動する為、機器の購入が一段落すると消耗品のみの購入で研究を進めるケースが多く、チップは枚数ベースとして伸びるが、機器の需要は鈍化する。
この市場の先駆者であるアフィメトリクス・ジャパンは、取り扱うチップが網羅的な解析に特化している事から、市場の約60%以上を占めている。05年10月に発売した「Gene chip Mapping 500Kアレイ」は、アフィメトリクス社のチップの成長を牽引している製品の一つである。将来的にはこのチップを使用し、バイオマーカーの量を測定することで、生活習慣病などの原因探索が進むと期待されている。さらに、06年1月に発売されたタイリングチップは、ヒトとマウスの全ゲノムを解析できるものであり、一定間隔でゲノム上のプローブを合成し、網羅的な発現解析が可能として注目を集めている。
今後期待されている診断分野の市場形成には時間が掛かると思われるが、癌診断に利用される遺伝子変異を解析するCGHアレイ、抗癌剤をターゲットとして薬剤感受性診断のためのSNPアレイの開発が進んでおり、市場が拡大すると期待される。
<調査対象>
※ 関連資料参照
<調査方法>
弊社専門調査員による対象企業および関連企業・団体への面接取材調査
<調査期間>
2006年9月~2007年2月
以上
資料タイトル : 「2007 バイオビジネス市場」
体裁 : A4判 217頁
価格 : 100,000円(税込み 105,000円)
CD-ROM付 110,000円(税込み 115,500円)
調査・編集 : 富士経済 東京マーケティング本部 第三事業部 メディカルグループ
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