鹿島、低コストで高度なコンクリートリサイクル技術を開発
低コストなコンクリートの高度リサイクル技術を開発
●天然骨材と同程度の品質の骨材を高効率に製造
●一般の建物の構造用コンクリートに利用可能
●事業性の見込める技術
鹿島(社長:中村満義)は、コマツ(社長:坂根正弘)、(有)大東土木(社長:柳瀬茂夫、本社:千葉県木更津市)と共同で、このたび低コストなコンクリートの高度リサイクル技術を開発しました。
本技術は、ビルの解体などで発生するコンクリート塊(以下、ガラ)から、再生骨材(粗骨材、細骨材)を製造し、建物用の再生骨材コンクリートとしてリサイクルするもので、実際に牟礼団地(東京都三鷹市、施主:UR都市機構)の建替え工事において、集会所の構造用コンクリートとして適用されました。この適用にあたっては、国土交通省から再生粗骨材と天然細骨材を組み合わせた再生骨材コンクリートの認定を取得しています。
建設リサイクル法の施行により、建設業における廃棄物のリサイクルが積極的に行われています。ビルの解体などで発生するガラも、大半が道路用の路盤材としてリサイクルされていますが、都市再開発などで、ガラの発生量は年々増加しています。また、道路整備が進むに連れて、路盤材としての需要は減少しており、新たなリサイクル用途を開拓する必要があります。
そこで、ガラから品質の高い骨材を効率的に製造する「機械式すりもみ装置」を中心とした技術開発を行いました。これまでも同等の技術が開発されていますが、品質の高い骨材を製造するには、加熱による前処理や複数回処理が必要であるなど、効率・コスト面で多くの課題がありました。
このたび開発した「機械式すりもみ装置」は、天然骨材と同程度の品質の骨材を製造できるもので、ガラの処理能力40t/hという高い効率の高度処理を実現しています。
また、中間処理施設での製造を想定した場合、ガラの受入れや運搬費用、立地などの条件が整えば、コストを踏まえ事業的にも採算が見込める画期的なものです。
今後、当社では団地の建替えのみならず、電力施設の立替えや都市再開発事業などへの展開を視野に、グループ会社である鹿島道路を中心として事業化を検討していく考えです。また、本技術により、資源循環型社会の実現に貢献していきます。
【 本技術の特長 】(※ 詳細は関連資料を参照してください。)
本技術の特長は、次のとおりです。
●高効率に高品質の骨材を製造する「機械式すりもみ装置」を開発
本装置は、筒状の本体を仕切り板で細かく区切った空間に鋼球を装填したボールミル方式であり、仕切り板を回転させることにより、ガラに破砕及びすりもみ作用を与え、再生骨材を製造するものです。
これまでの技術のような、加熱による前処理や複数回処理を必要とすることなく、高品質な再生骨材を製造することができます。処理能力は40t/h程度であり、高効率な処理が可能となります。
また、天然骨材と同レベルの高品質な再生骨材を製造できるものです。
国土交通省から再生粗骨材コンクリートとして認定されており、構造用のコンクリートとして使用できます。再生粗骨材は、JIS A 5021のコンクリート用再生骨材Hの規定値を満足するものです。また、再生細骨材は、JIS A 5308附属書1の生コン用骨材の緩和規定値を満たしています。
●事業性の見込める技術
首都圏のガラを受け入れて路盤材料を製造・販売している中間処理施設において、再生骨材事業を行う場合の試算によると、ガラの受入れや運搬費用、立地などの条件が整えば、事業的にも採算が見込める技術です。この事業が実現すれは、中間処理施設としては、路盤材料とは別の骨材という製品を扱うことができるメリットがあります。