ガートナー ジャパン、日米のIT投資動向に関する調査結果を発表
ガートナー ジャパン発表
IT投資目的の日米比較調査
日本企業は「守り」の投資を重視、北米は「守り」と「攻め」の双方を重視
ガートナー ジャパン株式会社 (所在地:東京都目黒区、代表取締役社長:日高 信彦) のリサーチ部門は、日米のIT投資動向に関する調査結果を発表しました。同調査では、日米企業において、IT投資の効果・目的の位置付けが大きく異なる点が浮き彫りになりました。
ガートナーIT投資調査チームが2006年に、日本 (11月) および北米 (9~11月) で実施した調査結果によりますと、投資の促進要因となる「IT投資によって期待する効果・目的」について、日本企業では「業務プロセスの効率化」「業務コストの削減」「社員の生産性の向上」の3項目に回答が集中しており、現場の体質強化を重視する「守り」の投資傾向が強いことが示されました。一方、成長や拡大を目指す「攻め」を示唆する「新規顧客獲得」および「新規ビジネス・製品の開発」を挙げる企業の比率は1割を切っており、「売り上げの増加」も2割弱にとどまるなど、関心の低さが顕著になっています。
日本企業の投資態度について、日本側の調査を担当したアナリストの成澤 理香は、「現場の組織能力は高いものの、それを外部環境における競争力に結び付ける戦略能力が弱い傾向にあり、こうした点がIT投資にも表れています」と述べています。
一方、北米企業においては、「社員の生産性の向上」「業務プロセスの効率化」が上位に挙げられている点は日本と同様の結果となりました。しかし、日本では3割程度しか選択されなかった「顧客満足度の向上」に対し、北米企業では56%が選択しており、第3位にランクインされています。さらに、「新規ビジネス・製品の開発」や「新規顧客獲得」など競争優位を意識した「攻めの投資」に関しても比較的高い選択率を示しており、IT投資に対する姿勢に日本企業との大きなギャップが見られました。
北米企業におけるIT投資動向について、北米側の調査を担当したリサーチ・バイスプレジデントのバーバラ・ゴモルスキーは、「情報システム部門は、絶えず高品質なIT運用を要求される一方で、ビジネスに対するITの戦略的貢献の実現も求められており、このことは、多くのIT組織にとっての課題となっています。本調査結果は、ITリーダーが、単に基幹のITサービスを安く供給するだけでは成功を期待できないことを示しています。より正確に言えば、ITリーダーは、サービスを安く供給すると同時に、プロジェクトを通じて、ビジネスに競争上の差別化を提供し続けることが求められていることを示唆しています」と分析しています。
*添付資料あり。