免疫生物研究所、北大に寄附分野「神経病理・病態生化学(IBL)分野」を開設
北海道大学に寄附分野「神経病理・病態生化学(IBL)分野」開設のお知らせ
北海道大学大学院薬学研究院(本部:北海道札幌市、研究院長:横沢英良)、株式会社免疫生物研究所(本社:群馬県高崎市、社長:清藤勉、以下「免疫生物研究所」)および清藤勉は、本年4月から寄附分野「神経病理・病態生化学(IBL)分野」を開設しますので、お知らせします。
高度高齢化社会を迎えた我が国および先進諸国では、増加する高齢者が発症する疾患を克服し、健康で豊かな社会を持続する方策が求められています。高齢者の健常な社会生活を損なう要因の一つにアルツハイマー病(*1) があり、その予防と治療は大きな社会的要請となっております。
本寄附分野においては、アルツハイマー病の発症に関わる仕組みと考えられているアミロイドβタンパク(Aβ)(*2) の産生機構の解明に取り組み、新たな創薬ターゲットの開発を目指します。特に病原性の強いAβ42 の生成に関わるγ-セクレターゼ(*3) 複合体の酵素学的特性を解明するとともに、Aβ42生成抑制剤の開発に取り組みます。同時に、γ-セクレターゼ複合体によって切断された代謝産物を利用したアルツハイマー病の診断法の開発も計画いたしております。
本寄附分野は、既存の研究室と密接に関連しながら、神経疾患の分野における薬学領域研究に貢献いたします。北海道大学大学院薬学研究院には神経疾患に関わる先端研究に従事する研究室が集まっており、本寄附分野の設置によって、日本でも有数の脳・神経系の薬学研究拠点を形成できると考えております。
本寄附分野は、免疫生物研究所としては、2番目の寄附分野にあたります。はじめは、北海道大学遺伝子病制御研究所、藤沢薬品工業株式会社(現アステラス製薬株式会社、以下「アステラス製薬」)、株式会社ジーンテクノサイエンスとともに2004年に開設した寄附研究部門「マトリックスメディスン」であり、当社がアステラス製薬に導出した抗オステオポンチン抗体(*4)などをさらに発展させる研究をおこなっております。既に多くの研究成果が見出され、免疫系における医学・薬学分野に貢献しています。
【寄附分野の概要】
1.大学名:
北海道大学大学院薬学研究院
2.寄附分野名称:
「神経病理・病態生化学(IBL)分野」
3.担当予定教員および職名:
客員教授 井原康夫 (現東京大学大学院医学系研究科教授)
特任助教授 森島真帆 (現東京大学大学院医学系研究科講師)
4.寄附金額:
総額1億2500万円(年間2500万円)
5.設立期間:
2007年4月~2012年3月
6.研究内容:
アルツハイマー病の発症メカニズムの解明およびその創薬研究
【用語解説】
1)アルツハイマー病:
脳の萎縮および大脳皮質におけるアミロイドβタンパクの沈着による老人斑を特徴とする疾病のこと。徐々に進行する認知障害を特徴とする。
2)アミロイドβタンパク:
アルツハイマー病の発症原因と考えられているタンパク質。
3)γ-セクレターゼ:
4種類の膜タンパク質によって構成される複合体で、アミロイド前駆体タンパク質などのペプチド結合を切断する酵素。
4)抗オステオポンチン抗体:
オステオポンチンというタンパク質の働きを中和する抗体。
最近の研究において、細胞接着を担う膜タンパク質であるインテグリンを発現している細胞とオステオポンチンが結合すると、生体内での様々な炎症が惹起されることがわかっている。
株式会社免疫生物研究所について
1982年に、医薬品、医薬部外品および研究用試薬の研究、製造、販売を目的に設立されました。抗体を中心とする免疫学の研究成果を基に、研究用試薬の供給および医薬シーズのライセンス事業をおこなっております。従業員は、64名であります。詳細は http://www.ibl-japan.co.jp まで。
以上