日本ムーグ、モータースポーツ向け超小型高性能「燃料圧調整弁」を開発
ムーグ、「F1」で使われる超小型高性能“燃料圧調整弁”を開発
-- 国内モータースポーツへの供給を目指す--
世界26カ国に拠点を置き、高性能モーションコントロール機器業界トップのムーグ社(本社:アメリカニューヨーク州)の100%子会社である、日本ムーグ株式会社(代表:ショーン・ガートランド、本社:神奈川県平塚市)は、最新のテクノロジーが多く使われる自動車レースF1(フォーミュラワン)を中心とした、モータースポーツ業界向けに“超小型/軽量”かつ“高精度” “高応答性”の燃料圧調整弁(フューエル・プレッシャー・レギュレーティング・バルブ:Fuel Pressure Regulating Valve:以下、FPRV)を提供します。日本ムーグが加わって開発されたもので、3月より国内において受注生産での販売を開始します。
FPRVは、一般の量産車輌(自動車、オートバイなど)に比べ、高い圧力で燃料噴射装置に燃料を供給する、レース用車輌向けに専用開発した製品です。一般の量産車輌に搭載されている同機能の製品に比べ、サイズは約1/20という超小型/軽量化を実現しています。さらに、燃料供給ラインに接続するだけで使用することができ、電源などを一切使用しない構造が特長です。
この製品はF1のいくつかのチームで、すでに採用されており、過酷な条件下でも高精度かつ高応答性に優れ、常に安定した性能を発揮していることが証明されています。
また、燃料供給の圧力は、メーカーやチーム、車輌ごとに仕様が異なり、FPRVは同じサイズで、内部の部品などの出荷時調整により3.5~20MPa(35~200bar)までの使用圧力設定に対応可能です。
(参考:2007年F1の燃料供給圧力は、レギュレーションにより10MPa(100bar)。一般の量産車輌(ガソリン車)の燃料供給圧力は、通常数bar程度)
ムーグは、1983年にF1へ初めて実践投入されてから、まもなく他のモータースポーツ業界にも進出し、約25年間その高い技術力が評価され続けています。現在、全てのF1チームとWRC(世界ラリー選手権)に参加する殆どのチームで、ムーグの製品が使われています。代表的な製品は、スロットルの開閉や、クラッチ、ギヤチェンジ、デフなどの作動に使われている高性能小型油圧サーボバルブとアクチュエータ、とパワーステアリングに使われている電磁弁です。
FPRV の主な特長
軽量かつ小型(長さ28.5mm、外径15mm、重量27g)
油中のコンタミナントからパイロット段を保護するためにフィルターを内部構造に持つ
440Cステンレス材の採用により、耐食性に優れている
リリーフ圧力の設定レンジは、3.5~20MPa(35~200bar)で、工場で出荷調整される
最大流量範囲は20L/min
使用可能な流体は、燃料油や鉱物油など
ムーグについて
ムーグ(ニューヨーク証券取引所上場)は、1951年に設立され、本社をニューヨーク州イーストオーロラに置いています。精密制御機器とシステムの設計、製造、構築を世界規模で展開する企業です。ムーグの高性能システムは、航空機、人工衛星、宇宙船、打ち上げロケット、一般産業用機械、医療機器等の制御に利用されています。2006年、ムーグの総売上は、前期比24%増の13億米ドルに達しています。
日本ムーグは、ムーグの完全な子会社です。1970 年に設立され、ムーグの機器とシステムの日本国内での開発、製造、流通、サービスを行っています。詳細は、 www.moog.co.jp をご参照ください。
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