富士経済、チルド食品市場の調査結果を発表
チルド食品市場の調査を実施
☆2006年のコンビニエンスストア(CVS)のチルド食品市場 1兆1,189億円
☆2006年の量販店のチルド食品市場 3兆7,901億円
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄03-3664-5811)は、0℃~10℃未満で要冷蔵管理されているチルド食品市場の調査を実施した。その結果を調査報告書「チルドビジネス要覧」にまとめた。
本報告書では、量販店、コンビニエンスストアの売場部門別にチルド食品市場をとらえ、各部門別のチルド食品の売上規模を品目別に算出(メーカー出荷ベースに換算)するとともに、商流と物流、商慣習、商取引体系、物流条件、温度管理なども明確にした。
日本の消費者は新鮮志向が強く、要冷蔵商品に限らず、常温商品においてさえも新鮮さを価値として評価する。チルド商品は消費期限、賞味期限が短く、商品の回転率が高い。チルド商品を求める消費者は、店舗への来店サイクルが短く、小売業者にとって大切な”お得意様”である。そのような”お得意様”への売場訴求を高めるためにも、小売業者のチルド売場に対する注力度が高まっている。チルド食品の売場は、小売店舗内における定番棚の中では一等地に相当する”メイン・ストリート”に沿って配置されている。
<コンビニエンスストア(CVS)のチルド食品市場>
添付資料1をご参照ください。
CVSの全店舗売上高(小売ベース)は7兆円前後と推定され、そのうち食品売上高は70%超を占めている。本報告書ではメーカー出荷ベースで換算しており、CVSにおける2006年の食品売上総市場は3兆6,344億円、そのうちチルド食品販売額は1兆1,189億円(構成比30.8%)を占めると推定した。米飯類は18~20℃で管理されることが一般的で要冷蔵商品ではないためチルド食品市場には含んでいない。
チルド食品市場は、サンドイッチ、麺類、デザートなどオリジナル商品が牽引して急速に拡大してきた。近年もチルド比率はやや上昇している。CVSの出店余地が少なくなっていることや、オーナー確保の難しさなどにより店舗数の増加ペースが鈍化していることから、各チェーンは既存店の売上高回復に向けてオリジナル食品の強化を継続している。そのため、デザートやサラダ・惣菜、調理麺・調理パンなどのチルド食品の構成比は上昇していくものと見られる。また、ここ数年、九九プラスが展開する「SHOP 99」など生鮮・日配品の構成比が高い生鮮CVSの出店が増加しており、2005年にローソンなどの大手CVSチェーンも生鮮CVSを展開し始めたことも、チルド比率をやや高める要因となっている。2007年には、「ローソンストア100」を展開するローソンが九九プラスとの提携を発表、物流や商品開発を中心に共有化を進めている。大手CVSチェーンの展開力と、生鮮CVSチェーンの生鮮品の仕入れや管理ノウハウによって、生鮮CVS市場の拡大が期待される。
チルド食品には含めていないが、CVSの食品売上高における最大カテゴリーは米飯類であり、2006年は1兆円超と推定される。ここ数年は、単価の高い弁当類から、単価の低い他の食品へと需要が移行し、サンドイッチや調理麺に含まれるそば・うどん、パスタのミニサイズ商品が増加している。また、一食完結型の弁当から需要がシフトしている背景には、「食べきれない」、「カロリーを抑えたい」といった消費者ニーズの他に、手作り風デザートやサラダの品質向上、バリエーション強化からこれらを組み合わせて食べたい、というニーズも高まっていることも要因に挙げられる。そのため、調理麺・調理パン、サラダ・惣菜の構成比が上昇するという傾向にある。デザートは構成比こそ変化が無いものの実績は拡大しており、特に各チェーンが注力している手作り風デザートは好調に推移している。
青果は、スーパーでの買い忘れや緊急需要のための品揃えのため実績は少ないが、生鮮CVSの台頭で注力するチェーンが増加している。日配品はサラダ・惣菜の拡大で漬物や畜肉加工品、水産加工品などがマイナスとなっていることに加え、ほとんどがNB商品で構成されていることから、スーパーと比較され易く、販売額、構成比共に縮小している。チルド飲料では、森永乳業「マウントレーニア」などのカップ飲料が急拡大し、チルド飲料トータルの販売額拡大に大きく貢献している。また、野菜飲料も引き続き好調を維持しており、年々構成比は拡大している。
<量販店のチルド食品市場>
添付資料2をご参照ください。
量販店(GMS、食品スーパー、高級スーパー、生協<店販のみ>)の店舗数は18,000店を超え、2006年の食品の売上高(メーカー出荷ベースに換算)は7兆5千億円近くに達すると推定される。そのうち、チルド食品は50%強の3兆8千億円弱と推定した。
鮮魚部門は、鮮魚に区分されるマグロ・サンマ・アジ・イワシ・タコなど生魚の丸物、切り身、刺身、活貝、ボイル品と、いわゆる塩干品と呼ばれる干物、塩鮭、ちりめん類、さらにはうなぎ蒲焼、生珍味類、魚卵、海藻類などの水産加工品を対象とした。干しエビやかわはぎロールといった乾珍味類、乾燥昆布、しじみ・あさり真空パックなどの非冷蔵商品は、リテール側では水産部門の売上対象となりうるが、本報告書では対象としていない。鮮魚は、資源の減少による相場の高止まりによって割高感があるほか、生魚の調理機会が減少していることから、市場は縮小傾向にあるものの、精肉とともに大きな市場を形成している。
精肉部門のチルド商品は、牛・豚・鶏の食肉と、ハム・ソーセージ類、調理加工品(ミートボール・ハンバーグ)、チキンナゲット、点心の皮類といった畜産加工品で構成される。尚、シューマイやギョーザなどの中華惣菜、メニュー専用調理済食品(日本ハム「中華名菜」等)、ピザ・ナン等については日配部門の売上とした。また調味料については、ドライ規格のクロスMD専用商品も対象外とした。精肉部門の市場全体のうち4分の3程度を占める食肉は、BSEや鳥インフルエンザ問題の影響も払拭され、畜産加工品もベーコンが好調である。トータルでは堅調な推移を辿っており、2006年は9,400億円程度となっている。
洋日配市場には、チルド飲料、デザート類、乳油(スープやピザを含む)が含まれる。チルド飲料が洋日配全体の約半分を占めるが、2006年、2007年ともに、チルド飲料の中でもボリュームの大きい牛乳の減少が影響し、トータルでも微減傾向にある。
和日配市場は、豆腐、漬物、練製品、麺類、納豆、佃煮・煮豆、中華惣菜(点心、メニュー専用調味料)、こんにゃく類を対象としている。和日配は健康イメージの高い品目も多いが、近年は素材から料理を作るケースが減少し、素材商品が多い当該市場は消費者離れが見られ、特に若年齢層は顕著である。洋日配のようにブランド力がある商品も少なくインパクトの高い新商品もほとんど無いため市場は停滞している。納豆や豆腐など一部の品目では増加しているものの総じて市場全体は縮小が続いている。
<調査対象>
量販店(GMS、食品スーパー、高級スーパー、生協<店販のみ>)、CVS、生鮮CVS
(量販店、CVSともに東京・大阪・名古屋エリアで20店舗以上展開しているチェーン、高級スーパーは東京・大阪・名古屋で展開しているチェーン)
<量販店>、<CVS、生鮮CVS>は、添付資料3をご参照ください。
<調査方法>
富士経済専門調査員による調査対象チェーン本部、店舗へのヒアリングをベースに売場別市場規模、カテゴリー別市場規模等を算出(販売金額はメーカー出荷ベース、生鮮品については農協等の出荷団体出荷ベース)
<調査期間>
2007年4月~5月
以 上
資料タイトル:「チルドビジネス要覧」
体 裁 :A4判 193頁
価 格 :150,000円(税込み157,500円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第一事業部
TEL:03-3664-5831(代) FAX:03-3661-9778
発 行 所 :株式会社 富士経済
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