富士経済、セキュリティ機器のシステムとサービス市場の調査結果を発表
セキュリティ機器・システム/サービス市場の調査を実施
初めて9つの主要セキュリティシーンの成長を予測
<2010年予測>
全体市場は6,600億円(06年比32%増)。住宅用火災警報器特需、映像監視防犯システム需要が拡大。
注目される利用シーンは
●最大の「ホームセキュリティ」シーン 2,322億円 (06年比27%増)
●急成長する「カーセキュリティ」シーン 939億円 (06年比86%増)
注目される有望機器・システム/サービスは、
●内部統制強化目的から「入退室管理システム」 233億円 (06年比22%増)
●厳格出入りチェックを実現する「共連れ検出装置」 21億円 (06年比3.7倍)
●最大の「ホームセキュリティサービス」に進化の兆し 542億円 (06年比25%増)
●官主導により70万人児童が利用「登下校見守りサービス」 27億円 (06年比13倍)
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄03-3664-5811)は今年2~5月にかけて、ますます関心が高まるセキュリティ関連の機器・システム42品目とサービス9種について調査した。さらに、初めて市場を主要セキュリティシーン9つに分類しその実態と成長性を分析、これらの結果を報告書「2007 セキュリティ関連市場の将来展望」にまとめた。またこのビジネスの上位企業40社の業務内容も収録した。
<調査結果の概要>
今回の調査結果を見ると、今後1、2年の間に、物理的セキュリティと情報 (ヴァーチャル) セキュリティを融合させて、トータルにセキュリティビジネスを展開するベンダが登場すると予測される。
1.セキュリティシーン別市場推移
06年の9分野に分けたシーン別では、ホームセキュリティの規模が1,833億円と最も大きく、全体実績5,018億円の37%を占める。セキュリティの基本となる侵入警戒を中心に幅広く機器・システムが採用されている結果である。次いでビル設備セキュリティが873億円。中央監視盤、侵入センサなど単価の高い設備機器が多く、既に普及が一定に達したためである。今後は新規着工からリニューアルに移行して行くために大きな伸びは期待できない。3位のストアセキュリティは778億円、チェーンストア、ショッピングセンターで万引き防止装置を核にしたロス軽減システムが普及し、金融機関でハイレベルのセキュリティシステムが導入されている。カーセキュリティは車載カメラ、車載DVRなどの機器導入が進んでおり、今後も高い成長が見込まれる。また、オフィスセキュリティは、法規制に後押しされ、今後も高成長が続く分野である。ホームランド、タウン、スクールの各セキュリティシーンは公共投資を伴う特殊用途として位置付けられるため規模はまだ小さい。
●ホームセキュリティ
2006年実績 1,833億円 2010年予測 2,322億円(06年比27%増)
06年は、消防法改正に伴い、住宅用火災警報器などの採用が急伸しているため、防災・危機管理の機器・システムの需要が679億円(前年比201%)となっている。07年は767億円に成長する見込みである。サービスではホームセキュリティサービスが大半を占めているが、価格競争が激しくなり伸びは鈍化するとみられる。
ホームセキュリティの機器・システムの中心となるホームセキュリティユニットは、自主警備系ホームセキュリティ市場の拡大により、高い伸びを示した。住宅用火災警報器は今後既築住宅向けにも採用が広がって行くことから、暫くは市場拡大が続くと考えられる。また、ホームセキュリティの基本となる侵入センサ、自動通報装置なども、堅調に推移している。防犯ガラスも警備会社が戸建て住宅向けのホームセキュリティに組み入れていることから、順調に推移している。
ホームセキュリティサービスは、主に警備会社の機械警備サービスの一環であるホームセキュリティサービスをコアとしている。ホームセキュリティはその他サービスである緊急通報サービス、高齢者在室安否確認サービスとも密接に関係してくるため、ホームセキュリティサービスを展開するベンダのなかにはこうしたサービスも組み入れて提案する企業も多い。また今後高齢者向けサービスが大きく成長する可能性が高いため、ホームセキュリティサービスに取り入れて展開する傾向が強まると予想される。
●カーセキュリティ
2006年実績 504億円 2010年予測 939億円(06年比86%増)
拡大基調にあり、車載・ITSが大半を占める。車載・ITSの06年市場は502億円(前年比22%増)、07年見込みは619億円(前年比23%増)となっている。車載カメラは新車販売に影響され、トヨタ自動車の一部の大衆車クラスにもバックモニタが標準採用されて裾野は拡大しつつある価格の低下が予想される。また、車載ドライブレコーダは、交通事故の検証に有力で、大きく成長する見込みから民生向けが注目されており、10年の予測は130億円(06年比141%増)と予測する。
●オフィスセキュリティ
2006年実績 311億円 2010年予測 501億円(06年比61%増)
入退室管理システムを含むアクセスコントロールが中心であり、06年の市場は約311億円(前年比16%増)となった。映像監視を含めた情報漏洩対策を提案するベンダが増えており、07年は約387億円(前年比24%増)が見込まれる。個人情報漏洩対策の取り組みが各方面で浸透し、日本版SOX法の施行を睨んだ展開も見られる。今後もICカードなどを利用して、文書管理やロッカー管理などと連動させ、シームレスに対応できる提案が活発化する。入退室管理システムの成長はやや落ち着き、入退室管理システムを補強する共連れ検出装置や、監視カメラなどの映像監視機器、バイオメトリクス機器が多く採用され成長していくと見られる。映像監視系では多拠点モニタリングにIP通信を利用するネットワークレコーダや画像監視録画ソフトウェアが堅調に伸びており、10年にはいずれも06年比160%超の伸びを示すと予測する。
●スクールセキュリティ
2006年実績 60億円 2010年予測 85億円(06年比41%増)
06年の防災・危機管理機器が20億円となり前年比11%減少した。侵入者に対して有効な学校内緊急連絡通報システムの需要が沈静化したためである。スクールセキュリティは機器・システムのウェイトが高い傾向にあったが、07年以降はサービスの伸びが有望視される。特に登下校見守りサービスは国の予算事業を受けて、需要が高まると見込まれる。登下校見守りサービスにはFeliCaなどのICカード対応による登下校を確認するメール配信サービスやIC定期券などでのサービスも出てきており、06年は2億円規模であったが行政の施策が後押しし、07年で13億円、10年では27億円と06年の14倍に成長すると予測される。IC定期券でこのサービスに対応することもあって保護者を中心に関心が高まっている。
各セキュリティシーンでは、06年の時点では次のように機器・システム/サービスが採用されている。
「ホームセキュリティ」 機器・システム 映像監視、アクセスコントロール、イベント監視・通報、家庭向け防犯
防災・危機管理
サービス エレベータ異常検知
「カーセキュリティ」 機器・システム 映像監視、車載・ITS
「オフィスセキュリティ」 機器・システム 映像監視、アクセスコントロール、イベント監視・通報
「スクールセキュリティ」 機器・システム 映像監視、アクセスコントロール、イベント監視・通報、家庭向け防犯
防災・危機管理、車載・ITS
サービス 登下校見守り、子供位置情報検索
「ビル設備セキュリティ」 機器・システム 映像監視、アクセスコントロール、イベント監視・通報、家庭向け防犯
防災・危機管理、車載・ITS
サービス エレベータ異常検知
「ストアセキュリティ」 機器・システム 映像監視、アクセスコントロール、イベント監視・通報、家庭向け防犯
防災・危機管理
サービス 画像遠隔モニタリング
「タウンセキュリティ」 機器・システム 映像監視、イベント監視・通報、車載・ITS防災・危機管理
サービス 車両・物品位置情報検知、コミュニティセキュリティ
「ホームランドセキュリティ」 機器・システム 映像監視、イベント監視・通報、防災・危機管理
「パーソナルセキュリティ」 機器・システム アクセスコントロール、防災・危機管理
サービス 被災者安否確認
2.成長が注目される機器・システム
●住宅用火災警報器 2010年予測 1,650万個 609億円 06年比53%増
市場は、消防法改正によって大きく動いた。ホームセキュリティ向け専用で、新築住宅/既築住宅を問わず、すべての住宅に設置が義務付けられる。市場は、04年から成長し始め、06年に急拡大、前年の6倍に成長した。今後も順調に拡大し、10年前後にピークを迎えると予測される。成長市場であることから注目度も高く、参入企業は増えている。参入メーカーは防災機器メーカーの割合が高かったが、06年実績では、その他メーカーのシェアが高まっている。ただ、防災機器大手4社以外にも参入メーカーが増えて価格競争が激しくなっている。
●監視カメラ 2010年予測 129万台 490億円 06年比43%増
映像監視システムの入力系の中心機器である。出力・処理系にも画像記録装置や、画像伝送装置、それらをコントロールする画像監視録画ソフトウェアなどの重要な機器・システムがある。監視カメラは、映像監視ニーズの高まりを受け06年実績は76万台超、342億円で前年比13%増となった。映像監視システム1,223億円の28%を占める規模である。シーン別では、ストアセキュリティが最も多く112億円(06年実績)である。07年上期に日本郵政公社が映像監視システムを導入して、8万台以上の特需が発生する見込みである。学校向けは、東京都が防犯システムの導入を進めたこともあって、3億円、05年に比べて9%の伸びとなった。
●静脈認証 2010年予測 19万台 170億円 06年比24%増
入退室管理やPCアクセス管理などで採用されるバイオメトリクス、指紋認証、静脈認証、顔認証、虹彩認証、音声認証のうち最も成長が見込まれるのが、静脈認証である。06年は金融端末向けにゆび静脈対応ATMの出荷が大きく伸び、需要は4倍以上に急拡大した。ただ、ATMへの搭載は限定的になるため、今後、金融端末向け市場は成長が鈍化し、リプレース需要に移行すると予想される。情報漏えい対策としてオフィス・テナントからの需要が高まっており、拡大し続けている。07年は入退室管理用途でFeliCa対応などのラインアップを拡充する動きや、ATM向けで実績のある富士通の本格的な展開が予想されるため、入退室管理用途市場全体では数量ベースで80%以上の伸びが見込まれる。また、PCアクセス管理用途では、個人情報保護法や、日本版SOX法などの法的要因から、自治体などの採用が急拡大しており、06年は数量・金額ベースともに4倍超の成長であった。
●車載ドライブレコーダ 2010年予測 25万台 130億円 06年比141%増
自動車の走行状態や事故発生前後の記録を映像として保存し、事故原因の究明を目的とする。タクシー業界を中心に事故状況の解析やドライバーの教育で採用されて業務改善に寄与している。国土交通省が車載記録車両の安全装置の効果評価に活用するための検討を始めており、今後搭載義務化の動きが本格化する可能性がある。一般乗用車への普及は10年頃になると予測される。
<調査の概要>
調査方法: (株)富士経済専門調査員による対象メーカーおよび関連事業者に対するヒアリング調査を主体に、公的データを使用して整理・分析
調査期間: 2007年2月~5月
調査対象: セキュリティ関連機器・システム・サービス 計51品目、およびソリューション 10事例
以 上
資料タイトル: 「2007 セキュリティ関連市場の将来展望」
体 裁: A4判 334頁
価 格: 97,000円(税込み価格 101,850円)
調査・編集: (株)富士経済 大阪マーケティング本部 第一事業部
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発行所: 株式会社 富士経済
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