大日本印刷、オリジナル書体「秀英体」のデジタルフォント開発事業を本格化
大日本印刷 オリジナル書体『秀英体』のデジタルフォント開発事業を本格化
本文用明朝3書体のリニューアルと金属活字時代の見出し用明朝1書体をデジタル化
大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、DNPのオリジナル書体である『秀英体』のデジタル化事業『平成の大改刻(※1)』を開始しました。第1弾として、本文用の明朝3書体のリニューアルと、見出し用書体『秀英初号明朝』のデジタル化を行います。
左から 秀英初号明朝、秀英太明朝、秀英中明朝、秀英細明朝
※参考資料を参照
【秀英体について】
秀英体は、DNPが明治時代から開発を続けているオリジナルの書体で、築地体とともに明朝活字の二大潮流と言われています。優美でしなやかな線画を持ち、美しく読みやすい書体として、100年以上にわたり、出版分野を中心に用いられ、編集者、デザイナーといった本の作り手や読者から高い評価を得てきました。秀英体には、デザイン・字形・保有文字数など、多くのバリエーションがあります。
DNPは、1970年代のCTS(※2)化の流れの中で、本文用の明朝3書体、ゴシック4書体のCTS用デジタルフォントを開発しました。さらに、1980年代の写植機メーカーへのライセンス、1990年代後半の電子書籍への提供、2005年の一般生活者向けワープロソフトへの提供、2006年の高精細ディスプレイ表示用書体の開発と情報端末への搭載など、用途を拡張しながら、秀英体のデジタル化に取り組んできました。今回開発するデジタルフォントは、デザイナーや編集者が、DTP(※3)ソフトで秀英体を利用できるよう、2008年以降に一般への販売も計画しています。
【平成の大改刻について】
DNPは2006年10月に創業130周年を迎え、周年事業の一環として、平成の大改刻に取り組んでいます。本取り組みは、21世紀のデジタルコミュニケーションを支える情報流通基盤を進展させることを目的に、高品位な書体の価値を再構築することを理念としています。
1.本文用明朝3書体のリニューアル
1970年代からデジタル化を始め、文芸書や辞典などに使われてきた『秀英細明朝』、『秀英中明朝』、『秀英太明朝』をリニューアルします。
従来の製版フィルムを使用する印刷では、フィルム複製の課程で文字が太ることを前提に、書体はあえて細身に設計されていました。CTPなどのデジタル製版では、文字の太りがないことを考慮し、文字の線を太くデザインし直します。
また、秀英体ファミリーとして、より統一感のある表情を目指し、3書体間での字形の整合を図ります。
その他、拡大しても美しくアウトラインが印字されるようにする、縦組み、横組み、いずれの場合でもバランスが良くなるようにするなど、デザインを改良します。
書体名 開発終了時期(予定) 文字数
秀英細明朝 2007年末 約20,000文字
秀英中明朝 2009年春 約20,000文字
秀英太明朝 2008年秋 約20,000文字
2.見出し用明朝のデジタル化
活字研究者や本の作り手からの評価が高い最大サイズの金属活字『秀英初号明朝』を、初めて、デジタル化します。
秀英初号明朝は、個性的な力強さを備えており、目を引く効果が高いため、表紙の題字や文中の見出しだけでなく、広告や商品パッケージに使用する書体としても最適です。昭和4年版の「明朝初号活字見本帳」に基づき、手彫りの金属活字が備えていた繊細な味わいや特徴を忠実に再現します。また、旧字体を新字体へ変更、文字のバランスの不具合を整える、などの改良を行います。
書体名 開発終了時期(予定) 文字数
秀英初号明朝 2008年秋 約9,000文字
3.その他の取り組み
2008年以降、ゴシック体の開発、高精細ディスプレイ表示用書体の開発、携帯情報端末向け軽量フォントの開発、ユニバーサルデザインに対応した書体の開発を計画しています。
なお、2007年7月5日から8日に、東京ビッグサイト西1・2ホールで開催される「第14回東京国際ブックフェア」のDNPブースで、本取り組みの状況を紹介します。
(※1)改刻:
書体を作り直すこと
(※2)CTS(Computerized Typesetting System):
コンピュータを使用した組版システム
(※3)DTP(Desktop publishing):
原稿作成から組版までの制作作業を、パソコンを使って行うこと