住友電工ネットワークス、高速走行中の車両でも途切れないビデオ送受信に成功
WiMAXフォーラム準拠の技術で、走行中の車両内でも途切れないビデオ送受信に成功
~次世代モバイルブロードバンド実用化に弾み~
住友電工グループの住友電工ネットワークス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:川野 強)は、自社開発したモバイルWiMAX用基地局にWiMAXフォーラム(*1)に準拠したコントロールド・ハンドオーバー(*2,3)機能を実装し、東京都内で実施中の複数の基地局と車両に搭載した移動局によるフィールド実験において、高速走行中の車両内でも途切れないビデオ送受信に成功しました。
モバイルWiMAXはIEEE802.16e-2005規格を基本にWiMAXフォーラムにおいて拡張された高速無線アクセス(BWA)規格で、携帯電話のように屋外の広い地域を移動しながらの高速データ通信が可能となる技術です。
今回、住友電工ネットワークスが成功したモバイルWiMAXによる実験は、時速50キロ程度で走行する車両内において、インターネット上の他のユーザーとの間でSkype(*4)によるビデオ会議を行い、同時にVGA(*5)画質のビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを受信するもので、双方で、ハンドオーバーの瞬間においても切れ目のない映像と音声の受信ができることを確認しました。また、車両の静止状態における受信速度は10Mbpsを越え、走行時でも5Mbps近い性能(モバイルPCカード使用)が確認されており、ADSLに匹敵するブロードバンドサービスを、走行中の車両の中でも利用可能な実用性があることを実証することができました。
なお、住友電工ネットワークスが開発した基地局は無線周波数2.5GHz帯、帯域幅10MHz、最大送信電力20Wとなっており、今回のフィールド実験においてはIP疎通性能、高速ハンドオーバーを確認しましたが、今後は、更にMIMO(*6)の技術を基地局に実装して、より高速で安定した伝送性能を目指した開発を行う予定です。
以 上
【 語句説明 】
(*1)WiMAXフォーラム:
2003年1月にIEEEにより承認された固定無線通信の標準規格WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)に対応した各社の通信機器の互換性と相互運用性をテストし、認証を与える非営利法人
(*2)ハンドオーバー:
通信が途切れないよう、端末の移動に応じて基地局を順次切り替えていく技術。
(*3)コントロールド・ハンドオーバー:
ハンドオーバー前と後の基地局同士が連係動作を行い、ハンドオーバー直前で基地局同士によるデータの受け渡しが行われることで、端末側では実質的に途切れの無いデータ受信が可能となる技術。端末と基地局双方で複雑な連携動作を必要とするため実装が困難であり、従来は非コントロールド・ハンドオーバー方式によりデータの受信が途切れる事が多かった。
(*4)Skype:
Skype Technologies社が開発・公開している、P2P技術を応用した音声通話ソフト。
(*5)VGA:
640×480ドットの表示解像度のこと。
(*6)MIMO:
複数のアンテナを用いた送受信により、通信の安定性と速度向上を実現する技術。WiMAXフォーラムでは、次期仕様のWave2においてMIMOの導入が必須とされている。
【 住友電工ネットワークス株式会社の概要 】
(1)設 立:2002年8月1日
(2)資本金:30億円(住友電気工業(株)100%出資)
(3)代表者:代表取締役社長 川野 強
(4)本社所在地:東京都品川区東五反田3-20-14
(5)事業内容:GE-PON、IP セットトップボックス、VoIPルータ、マンション向けVDSL、PLC等のブロードバンドアクセス通信機器の開発・製造・販売及び保守