ビクターとケンウッド、経営統合に向け資本・業務提携契約を締結
日本ビクターおよびケンウッドの資本業務提携等および経営統合の検討ならびに
日本ビクターの第三者割当による新株式の発行に関するお知らせ
日本ビクター株式会社(以下、「日本ビクター」という)および株式会社ケンウッド(以下「ケンウッド」という)は、平成19年7月24日開催の両社の取締役会において、カーエレクトロニクス事業分野およびホーム/ポータブルオーディオ事業分野での協業、両社の経営統合の検討の開始を柱とした資本業務提携契約を締結いたしました。
また同日、日本ビクター、ケンウッド、スパークス・グループ株式会社(以下、「スパークス・グループ」という)傘下の投資運用会社スパークス インターナショナル(ホンコン)リミテッドは、日本ビクターがケンウッド、スパークス インターナショナル(ホンコン)リミテッドが運用する複数の投資ファンド(以下、「スパークス運用ファンド」と総称する)を割当先とした第三者割当による新株式の発行、およびそれに伴うケンウッド、スパークス運用ファンドが増資の引受を行なうことを、それぞれ決議または確認いたしましたので、下記の通りお知らせいたします。
なお、増資払込が実施された場合、日本ビクターは松下電器産業株式会社(以下「松下電器」という)の連結子会社から持分法適用関連会社となる予定です。
松下電器は引き続き日本ビクターの筆頭株主として、日本ビクターとケンウッドの経営統合に向けての検討を側面からサポートしていくことで日本ビクター、ケンウッドおよびスパークスと合意いたしました。
なお、スパークス・グループは、本書中、スパークス・グループおよびその関連会社に関する情報以外についていかなる文責も有しません。
記
I.資本業務提携および経営統合の検討について
1.資本業務提携の理由
(1)日本ビクターにおける資本業務提携のねらい
日本ビクターは2007年3月期におきまして、3期連続の最終赤字となり抜本的な経営改革が急務となっております。現在2007年5月30日に発表いたしました自主再建計画を元に経営再建を進めておりますが、市場競争激化の中で経営再建をより確実にし、市場の信頼を取り戻すためには、もう一歩踏み込んだ経営改革が必要であるとの認識に立って、「アクションプラン2007」(*)を策定いたしました。
日本ビクターによるこの度のケンウッドおよびスパークス運用ファンドに対する第三者割当増資の実施は、構造改革資金の調達に加え3期連続の最終赤字によって毀損した自己資本の充実を目的としており、これにより日本ビクターは本日発表いたしました「アクションプラン2007」を実行に移し、2007年度営業利益黒字転換を確実なものにしていく所存です。
(*)「アクションプラン2007」につきましては、本日発表の「アクションプラン2007について」をご参照ください。
コンシューマーエレクトロニクス業界は、大規模な設備投資と膨大なソフト開発工程を要するデジタル商品が中心となっています。また、デジタル化の流れは商品開発サイクルの短縮化とともに、シェア競争と価格競争を熾烈なものにしています。更には、韓国・台湾・中国メーカーの台頭により世界市場での競争構造をより厳しいものにしています。
このような市場環境の中、日本ビクターおよびケンウッドの間では、今回の第三者割当増資を単なる資本の授受として捉えるのではなく、両社が展開しているカーエレクトロニクス事業、ホーム/ポータブルオーディオ事業での協業の開始に合わせて、ますます競争が激化するAV市場の中で勝ち残って行く姿として、両社の経営統合を目標に置いて協議を進めていく事で合意に達しました。
本体制のもとで2007年10月から開始する予定の協業については、特にカーエレクトロニクス事業において両社合わせると1,600億円規模になり、スケールメリットや両社リソースの有効活用を追求した開発面、資材調達面、生産面での業務提携により、お互いの付加価値向上と市場競争
力の強化が期待できます。
また、2008年を目標とする経営統合は、両社の経営全般にわたってシナジー効果を追求し、それぞれの企業価値向上に寄与すべく共同持株会社の設立を検討していく所存でございます。
両社が長年市場で培ってきたブランドをお互いに尊重し、対等の精神のもと、AV業界の新しい経営形態のスタートとして捉え、コンシューマーエレクトロニクス市場の発展と同産業のグローバルな競争力強化に寄与して行きたいと考えております。
(2)ケンウッドにおける資本業務提携のねらい
ケンウッドでは、競争の厳しい成熟分野においてはM&Aや事業提携が自力成長を超えた成長を加速させ、企業価値を創造・拡大する有効な手段だと捉えており、かねてから、日本のコンシューマーエレクトロニクス産業の国際競争力強化に向けて、業界再編を視野に入れたあらゆる方法を検討してまいりました。
この考え方に沿った第一ステップとして、日本ビクターを連結対象としない持分法適用未満の出資を通じた戦略的業務提携により、両社は早期に大きなシナジー効果を期待できるものと考えております。即ち、売上高の6割を占めるカーエレクトロニクス事業の約半分の市販(オーディオ)分野において、日本ビクターの同分野を合わせると事業規模が倍増してグローバルマーケットシェアNo.1となり、カーナビゲーション、ホーム/ポータブルオーディオも含めたマルチメディア分野のJV(合弁会社)等による共同開発や共同資材調達、相互製造委託などによって、スケールメリットによるコスト競争力強化などの大きなシナジー効果を期待しております。
同時に、日本ビクターの経営再建が早期に実現するよう、ケンウッドが2002年度から全社をあげて取り組み、完了した構造改革の経験やノウハウを活かして全力で支援してまいります。
そして、第二ステップとして、両社の経営と業績の安定を見届け、対等の精神で両社の経営統合が実現するよう、検討を進めてまいります。
(3)スパークスの目指すところ
スパークス インターナショナル(ホンコン)リミテッドは、これまでスパークス運用ファンドの投資判断を行うにあたって、ケンウッド経営陣の実行する数々の成長戦略を支持してきました。今回の日本ビクターおよびケンウッドの資本業務提携に関しても、将来的にケンウッドの企業価値を一層向上させる施策の一つであると判断し、引き続き同社経営陣の戦略を支持し、スパークス運用ファンドを通じて本増資に参加をいたします。
さらにスパークスでは、ケンウッド経営陣のこれまでの経験やノウハウが今回の提携を契機として日本ビクターと共有されることにより、高い技術と優れた商品で世界的なブランド力を有する日本ビクターの経営改革が促進され、その大きな潜在能力が再び顕在化することを期待しております。
(4)松下電器の賛同理由
松下電器はこれまで日本ビクターによる自主独立経営を見守ってまいりましたが、グループ成長戦略を検討する中で、日本ビクターとの資本関係について、さまざまな選択肢を検討してまいりました。その結果、日本ビクターが事業への理解も深いケンウッドの協力を得ながら、本日、日本ビクターにて発表の「アクションプラン2007」を実行し、ケンウッドとの経営統合を視野に入れた協業の取り組みを開始することが、日本ビクターの早期再建と企業価値向上にとって最適であると判断いたしました。松下電器は、今回の日本ビクター、ケンウッドおよびスパークスによる資本業務提携に賛同し、今後、日本ビクターの再生に向けた経営・事業運営を筆頭株主として見守ると共に、必要な協力を行います。
2.資本提携について
日本ビクターはケンウッド宛に普通株式200億円、スパークス運用ファンド宛に普通株式150億円の第三者割当増資を実施し、一段の自己資本の充実を図ると共に構造改革資金を確保いたします。発行条件などの詳細につきましては、本資料「II.日本ビクターの第三者割当による新株式発行」をご覧下さい。
3.経営統合の検討について
日本ビクターおよびケンウッドは、両社の経営と業績の安定を前提に、互いのブランドを尊重し、対等の精神を持ってできるだけ早期に両社の経営統合を実施すべく検討を開始いたします。なお、本件経営統合の形式は、共同株式移転により新設される共通の持株会社(東京証券取引所市場第一部に上場するものとする。)が、事業会社である日本ビクターおよびケンウッドの株式を100%保有する形式を含め、資本提携実施後、両社は経営統合に向けて経営統合検討委員会を設置し、具体的な手法、日程等を協議していく予定です。
4.事業提携の内容
ケンウッドおよび日本ビクターは、平成19年10月1日を目処に、両当事者のカーエレクトロニクス事業およびホームエレクトロニクス事業における業務提携を開始いたします。推進計画の細目、その具体的日程等は、両社により設置されるコラボレーション委員会で検討の上決定いたしますが、大枠としては、JV等による共同開発体制の発足・製造委託の相互推進・知的財産権の相互利用を実施する予定です。
※以下、詳細は添付資料をご参照ください。