カネカ、心臓疾患治療用の国内最小径バルーンカテーテルを開発
心臓疾患治療用のバルーンカテーテル。国内最小サイズの開発に成功
― 患者の負担を大幅に軽減 ―
株式会社カネカ(本社:大阪市。社長:大西正躬)は、心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患の治療法の一つであるPCI(Percutaneous Coronary Interventions:経皮的冠動脈形成術)に用いられる国内最小径のバルーンカテーテル*(商品名:『IKAZUCHIRX』)の開発に成功した。本年6月より販売を開始し、すでに大手病院を中心に良好な治療実績を積み重ねている。
*医療用に用いられる中空の柔らかい管の一種で、管の先端部に拡張・収縮が可能な小さな風船(バルーン)がついたもの
『IKAZUCHIRX』は、当社の独自技術によりシャフト部などを小径化したもので、これまでの『IKAZUCHIR』の特徴である病変部での高い通過性や末梢血管への到達性をそのまま保持しながら、従来の直径0.014インチのガイドワイヤー*対応から0.010インチ対応が可能となり、国内では最小のサイズを実現した。この小径化により、PCI時での患者への侵襲性がより一層低減されると共に、高い難易度の高度狭窄病変における治療成功率の向上が期待できる。
*バルーンカテーテル等のインターベンションデバイスを、血液が流れにくくなった血管まで案内するワイヤー。
コレステロール等が原因で、心臓をとりまく血管(冠状動脈)に血栓が詰まると心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患を引き起こす。PCIは狭窄した冠動脈をバルーンカテーテルにより拡張し、血流を回復させる治療法である。この治療法は外科手術に比べて手術時間が短く、また全身麻酔などが不要なため身体への負担が少ないことから、近年急速に普及してきている。現在日本では、1000を超える医療施設で、年間約18万症例のPCIが行われている。
当社の重点戦略分野の事業である医療機器事業は、血液浄化システムを中心とした吸着体事業と、血管内治療に使われる医療用カテーテルを中心としたインターベンション事業を主な柱として展開している。特にインターベンション事業においては、得意とする高分子・加工技術をベースに、1994(平成6)年にバルーンカテーテルの開発を開始して以来、常に医療現場とタイアップしながら、独自技術により高い機能性と品質を有し、特徴ある医療用カテーテルを次々と開発し事業を拡大してきている。
また、本年4月にはベトナムにおける医療用カテーテルの製造販売拠点も竣工稼働している。今後も継続的に新製品を上市しながら、グローバル事業展開を加速させ、事業競争力の強化・拡大を進めていく。
以 上