精工技研、炭化ケイ素(SiC)ウェハーの研磨量産化技術を確立
炭化ケイ素(SiC:シリコンカーバイド)ウェハーの研磨量産化技術の確立について
当社は、創業以来培ってきた精密研磨技術を応用し、次世代半導体基板材料として注目されているSiCウェハーを高速で高精度に研磨加工する技術を確立いたしました。
■ SiCウェハーについて
SiCは、現在の半導体基板材料の主流となっているシリコン(Si)に比べて、高電圧に耐え、高温に強く、電力損失が少ないという特徴を持っています。このため、発電や送電などの電力設備や、通信システムや工場などの電源装置、電車や自動車の駆動装置など、高電圧・高電流を制御する装置に用いられる半導体基板材料として強い期待を集めています。しかし、Siに比べてはるかに硬いために研磨加工が難しく、半導体基板として広く普及するためには、その量産化技術が大きな課題となっていました。
■ SiCウェハーの研磨量産化技術の確立
当社は、従来から保有している精密研磨技術に、独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)が公開している技術を導入し、SiCの単結晶としての物性を余さず引き出せるSiCウェハーの研磨量産化技術を開発することに成功しました。新技術の特徴としては、SiC結晶に余分な圧力を加えずに研磨加工を行うため加工ひずみを大幅に低減でき、ウェハーの面精度も向上いたしました。その表面粗さは、エピタキシャル膜成長に必要とされるRa値の0.3ナノメートル以下を大きく超える、0.1ナノメートル以下のRa値を達成。同時に、研磨時間の短縮によって量産効率を高め、次世代半導体基板として期待されているSiCの実用化を一気に実現レベルまで引き寄せる技術を確立することができました。
この研磨技術はSiCはもとより、市場が急拡大している白色LEDの基板材料となるサファイヤや窒化ガリウム(GaN)、酸化亜鉛(ZnO)結晶などの加工にも応用が可能です。
■ 製造及び販売見通し
当社は、新技術による研磨仕上げのSiC基板を、本年7月から各種研究機関やデバイスメーカーの開発部門に向けてサンプル出荷を開始しました。千葉県松戸市の本社工場の中に、小ロットでも対応が可能な製造体制を整えており、今後、量産に向けた体制を構築していく考えです。
以上