STマイクロ、ARM7ベース・モータ制御開発キットを発表
STマイクロエレクトロニクスは、
コスト重視アプリケーションにおけるベクトル駆動設計を簡素化する
ARM7ベース・モータ制御開発キットを発表
ハードウェアとファームウェアのパッケージにより、
磁場配向PMSMおよび3相AC誘導モータ駆動の評価と開発が容易に
STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、最近発表された32bit STR750マイクロコントローラを中心に組み立てられるモータ制御キットを新たに発表しました。これは、コストを重視する電気機器、産業機器、およびHVAC(冷暖房空調設備など)市場向けに、永久磁石同期モータ(PMSM)と3相AC誘導モータの両方を使用した高性能ベクトル制御アプリケーションの迅速な開発を可能にします。このキットには、事前評価のための24V DC永久磁石モータなど、必要なファームウェアとハードウェアがすべて含まれており、ユーザは数分以内に準備を完了してターゲット・アプリケーションを開発するまで継続して使用できます。
ベクトル(「磁場配向」)制御アルゴリズムは高性能の駆動に広く使用され、正確で反応性のよい速度制御が得られ、過渡駆動中の最適効率が保証されます。
このアルゴリズムには、非同期モータと同期モータの両方を制御するのに同じフレームワークを使用できるという実用的な利点もありますが、これはさまざまな種類の用途やモータを扱う開発チームにとって、コスト低減に役立ちます。その上、ほとんどのセンサレス駆動アルゴリズムは磁場配向技法に基づいているため、さらに駆動コストを低減できる可能性があります。
STR750-MCKITは、ARM7TDMI CPUコアを搭載した集積度の高いSTR750 MCUをベースにしています。内蔵された豊富な周辺回路セットには、3相モータ制御機能を備え、高速ADコンバータと同期し、複雑なベクトル・モード・プロジェクトの搭載を簡素化するために設計されたPWMタイマを含んでいます。
両種類のモータを制御するために、最適化および十分に文書化された無償のCファームウェア・ライブラリがキットに含まれており、アプリケーションのモータ制御部分のほとんどがすでに開発済みであることが保証されます。
業界標準のARMアーキテクチャで設計することにより、独自アーキテクチャを使用するのと比べて開発時間が短縮されます。
最高48Vで動作するPMSMとAC誘導モータのどちらにも、同じハードウェア・プラットフォームを使用できます。ハードウェア設計時間を最短化するために、回路図が提供されています。この開発キットでは、PCベースのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)でリアルタイム制御とモニタを行うか、オンボードのプッシュ・ボタンとトリマを使用してスタンドアロン操作を実行できます。Segger/IAR J-リンク・エミュレーションが含まれ、Flashプログラミングとリアルタイム・デバッグ機能により、同じハードウェアとファームウェア・プラットフォームを評価から詳細開発段階まで継続して使用でき、ユーザはターゲット・システムでの作業を始める前にプラットフォームを構築する必要がなくなります。また、デバッガとプログラマも含まれています。
STR750ファミリは、3.3Vと5Vの両方で54MIPS(60MHz時)のフルスペック動作をサポートする、初の汎用ARM7 Flashマイクロコントローラです。電気的ノイズの多い環境でも、追加コストをかけることなく非常に柔軟に対応できます。
豊富な周辺回路セットには、モータに最適なタイマとADCシステムのほかに、メイン・クロックが故障した場合に動作するバックアップ・クロック、水晶振動子を使っているMCUでは通常1msを要するコードの実行をわずか55μsで開始する高速立上げ機能、低電力のストップ・モードまたはスタンバイ・モードから起動させるための外部信号入力を不要にする自動起動(AWU)機能などの革新的な新機能が含まれています。
STR750ファミリは、その高度なタイマとセキュリティ機能により、洗濯機、食器洗い機、エアコンなどの電気機器、小~中規模の産業用ドライブや電気自動車、HVAC送風機やポンプ、および自動販売機やオフィス・オートメーションでのモータ制御に特に適しています。シリアル通信には、LINプロトコルをサポートする最大3つの高速(2Mb/s)UART、および外部シリアルFlashメモリに直接接続することが出来るシリアル・メモリ・インタフェースが含まれます。
ファミリはおよそ30種の派生製品で構成され、64KB~256KBのFlashメモリのほかにEEPROMエミュレーション用に16KBバンクのRWW機能付きFlashも搭載しています。CPUの負荷を著しく低減する4チャネルDMAコントローラおよび高速10bit ADコンバータと共に、USBやCANなど最大8つの通信ペリフェラルを備えています。ファミリ製品の中には、-40°C~+105°Cという広い温度範囲での動作が可能なデバイスもあります。
STR750-MCKITは現在提供可能で、価格は24V DC PMSMを含めて895ドルです。
評価基板で使用するAC誘導モータは別途発注可能です。
STマイクロエレクトロニクスについて
STマイクロエレクトロニクスは、多種多様な電子機器向けに半導体製品やソリューションを開発・提供する世界的な総合半導体メーカーです。STは、他社の追随を許さない高度なシリコン技術とシステムノウハウを擁しており、幅広いIP(Intellectual Property)ポートフォリオ、戦略的パートナーシップ、大規模な製造力との組合わせにより、SoC(システム-オン-チップ)技術に関し世界的リーダーとしての地位を確立しています。またSTの半導体製品は、市場における技術やシステムのコンバージェンス化を促進するために重要な役目を果たしています。STは、ニューヨーク証券取引所(NYSE:STM)、パリ証券取引所(Euronext Paris)とミラノ証券取引所に上場されています。
2006年の売上は98.5億ドルで、純利益は7億8200万ドルでした。
さらに詳しい情報はSTのホームページをご覧ください。
ST日本法人: http://www.st-japan.co.jp
STグループ(英語): http://www.st.com
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